要介護高齢者等への医療ニーズを把握する指標の開発研究

文献情報

文献番号
202116011A
報告書区分
総括
研究課題名
要介護高齢者等への医療ニーズを把握する指標の開発研究
課題番号
21GA2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
松田 晋哉(産業医科大学 医学部・公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
  • 村松 圭司(産業医科大学 医学部 公衆衛生学)
  • 藤本 賢治(産業医科大学産業保健データサイエンスセンター)
  • 松垣 竜太郎(産業医科大学 医学部公衆衛生学教室)
  • 劉 寧(リュウ ネイ)(産業医科大学 医学部)
  • 野元 由美(米田 由美)(学校法人産業医科大学 産業保健学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
6,024,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢化の進展は医療と介護とのニーズを複合化させる。そのため、介護現場では脳血管障害、認知症、筋骨格系疾患のみならず糖尿病、慢性心不全やがんといった多様な疾患への対応が必要となっている。介護老人保健施設や介護医療院における利用者の適切な受入のためには利用者の医療ニーズを的確に把握することが必要である。そこで、本研究では医療・介護のレセプトデータや高齢者の状態・ケアの内容等に関するデータを収集して、老健等における医療ニーズの評価指標の作成を試みた。
研究方法
本研究では以下の2つの研究を行った。
1. 老人保健施設における医療ニーズの検討: 東日本の1自治体における平成29(2017)年度から30年(2019)度の医療保険と介護保険レセプトを個人単位で連結したデータベースを用いて、2017年度に老人保健施設に入所した者について、以下の分析を行うことでその医療ニーズを検討した。
2. 慢性期における医療ニーズ調査票の設計:上記分析結果を踏まえて、慢性期における医療ニーズを把握するための調査票(β版)の設計を行った。
結果と考察
1.老人保健施設における医療ニーズの検討
(1) 老人保健施設退所者の医療介護サービスの利用状況に関する検討: 分析の結果、訪問診療と医療保険による訪問看護が入る病態で医療費が多くかかっていることが明らかになった。薬効別医薬品費の分析から、これらの疾患は特掲診療料の施設基準等別表第7号に掲げる疾病等(多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病など)の難病が多く含まれることが示唆された。また、高額な血液凝固阻止剤の使用を必要とする心房細動も医療費を高める要因として検出された。
(2) 所定疾患施設療養費対象患者の退所後の追跡: 所定疾患療養費の算定状況の分析では、要介護度がその算定に有意に関連していた。上記の感染症に使用する抗菌薬等の影響は、大きくなく、有病率も勘案すると、現行の所定疾患療養費制度で対応できていると考えられた。ただし、令和2(2020)年から流行が続いている新型コロナ感染症においては、高齢者施設におけるクラスターが大きな問題となっており、施設での対応が求められていることを考えると、重症度を加味した医療ニーズ及びそれに対する介護報酬(あるいは医療報酬)上の評価の再検討が必要である。
2.医療ニーズを把握するための調査票(β版)の設計
1.の分析結果及び我々のこれまでの研究成果を活用して、主治医意見書の「4.生活機能とサービスに対する意見」の「(3) 現在あるかまたは今後発生の可能性の高い状態とその対処方針」に記載のある情報を用いたサービスの質評価も踏まえた医療ニーズ調査票(β版)を作成し、またICTを活用して収集するシステムをPC上でモデル的に作成した。
結論
医療保険及び介護保険で収集している各種情報(認定調査票、介護保険レセプト、医療保険レセプト、主治医意見書)を用いることで、複数の慢性疾患を持った要介護高齢者の医療ニーズを評価する体系を構築できることを示した。また、この評価票を分析することで、医療ニーズに対応した質評価の評価体系を作成できることも示した。適切な評価を行うためにも、こうした質評価の仕組みの実装が不可欠であると考える。

公開日・更新日

公開日
2023-02-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-03-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202116011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,830,000円
(2)補助金確定額
7,817,000円
差引額 [(1)-(2)]
13,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,590,893円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 4,421,000円
間接経費 1,806,000円
合計 7,817,893円

備考

備考
千円未満切り捨て

公開日・更新日

公開日
2023-05-01
更新日
-