文献情報
文献番号
202116009A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の自立支援・重度化防止を効果的に進めるための栄養専門職と介護職等による栄養・食生活支援体制の効果検証のための研究
課題番号
21GA1003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
本川 佳子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム)
研究分担者(所属機関)
- 西村 一弘(駒沢女子大学 人間健康学部 健康栄養学科)
- 田中 弥生(関東学院大学 栄養学部管理栄養学科)
- 大河内 二郎(社会医療法人 若弘会 介護老人保健施設 竜間之郷)
- 飯島 勝矢(国立大学法人 東京大学 高齢社会総合研究機構/未来ビジョン研究センター)
- 吉田 直美(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科口腔健康教育学分野)
- 大渕 修一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター)
- 平野 浩彦(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 歯科口腔外科/研究所 口腔保健と栄養)
- 岩崎 正則(東京都健康長寿医療センター研究所)
- 白部 麻樹(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム)
- 山田 律子(北海道医療大学 看護福祉学部)
- 池田 紫乃(園田 紫乃)(慶應義塾大学 医学部 医療政策・管理学 / ウェルビーイングリサーチセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,433,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
国民全員が状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」を図る重要性が平成 30 年度介護報酬改定で示された。さらに令和 3 年度介護報酬改定では2040 年を見据え、介護保険の持続可能性を確保しながら、「高齢者の自立支援・重度化防止」を効果的に行う制度整備が求められている。また介護サービス需要が増加・多様化する中で、現役世代(担い手)の減少が進むことが予想され、介護現場における ICT 利用促進が求められている。「高齢者の自立支援・重度化防止」を重点的に推進される介護保険サービス対象者の実態の報告は多く、本研究事業テーマである栄養関連報告では、介護保険施設の低栄養リスク者が半数以上、通所サービス利用者においても低栄養リスク者が30%以上との報告が有る。我々の研究においても、食欲低下、低栄養リスクが介護保険施設入所者の生存率に有意に関連することを報告している(Mikami,Motokawa)。その他の多くの報告知見からも介護保険関連サービス利用者の自立支援・重度化防止には早期からの栄養管理は必要不可欠であり、介護現場で低栄養リスクを早期に把握し栄養専門職へつなぐ栄養指標提示が必要である。
令和3年度の介護報酬改定において、栄養関連の施設系サービスでは、栄養専門職配置を強化し入所者の状態に応じた計画的な栄養管理の実施など、通所系のサービスでは、栄養専門職と介護職員等との連携による栄養アセスメント実施などへ、介護報酬としての評価が検討されている。さらに、栄養管理介入のみならずリハビリテーションおよび機能訓練、さらには口腔・嚥下機能への介入を連携し実施することが効果的であるとの報告(Yoshimura,Shiraishi)がある。以上から、高齢者の自立支援・重度化防止を効率的に行うために、栄養管理も包含した多職種による総合的なリハビリテーション・機能訓練、口腔健康管理が連携し一体的に実施されることが重要である。以上を介護保険等のサービスとして地域等において効率的に実装されることを目的に調査事業を実施する。
令和3年度の介護報酬改定において、栄養関連の施設系サービスでは、栄養専門職配置を強化し入所者の状態に応じた計画的な栄養管理の実施など、通所系のサービスでは、栄養専門職と介護職員等との連携による栄養アセスメント実施などへ、介護報酬としての評価が検討されている。さらに、栄養管理介入のみならずリハビリテーションおよび機能訓練、さらには口腔・嚥下機能への介入を連携し実施することが効果的であるとの報告(Yoshimura,Shiraishi)がある。以上から、高齢者の自立支援・重度化防止を効率的に行うために、栄養管理も包含した多職種による総合的なリハビリテーション・機能訓練、口腔健康管理が連携し一体的に実施されることが重要である。以上を介護保険等のサービスとして地域等において効率的に実装されることを目的に調査事業を実施する。
研究方法
研究1年目は、調査事業 「介護職等から栄養専門職につなぐための簡易な栄養評価指標作成」のための栄養評価指標作成データベースの構築を進め、それを基に介護職等と栄養専門職をつなぐツール作成のための栄養指標の検討を行った。
結果と考察
通所施設利用者および通いの場参加者のデータ収集を進めN=1168のデータセットを作成した。
また栄養指標の検討にあたり、アウトカムを設定するため、これまで我々調査した通所施設の縦断データを使用し、低BMIと転帰の関連について検討し、通所施設継続には他の因子を調整してもBMIが独立して有意に関連することが明らかとなった。
以上より、低BMI(BMI 21.5kg/m2未満あるいはBMI 18.5kg/m2未満)をアウトカムとし、口腔・栄養スクリーニング加算の同等の項目・後期高齢者の質問票の栄養口腔評価項目の2通りで、感度・特異度・Area Under Curve (AUC)を算出した。結果、口腔・栄養スクリーニング加算の同等の項目4つでのアウトカム検出能について検討したところ、4項目中1項目以上該当している者の割合は81%であった。4項目中1項目以上該当する場合、BMI 18.5kg/m2未満を感度81%、特異度19%でスクリーニングできた。
栄養評価項目2つでのアウトカム検出能について検討したところ、4項目中2項目以上該当している者の割合は19%であった。4項目中2項目以上該当する場合、BMI 18.5kg/m2未満を感度26%、特異度78%でスクリーニングできた。
また栄養指標の検討にあたり、アウトカムを設定するため、これまで我々調査した通所施設の縦断データを使用し、低BMIと転帰の関連について検討し、通所施設継続には他の因子を調整してもBMIが独立して有意に関連することが明らかとなった。
以上より、低BMI(BMI 21.5kg/m2未満あるいはBMI 18.5kg/m2未満)をアウトカムとし、口腔・栄養スクリーニング加算の同等の項目・後期高齢者の質問票の栄養口腔評価項目の2通りで、感度・特異度・Area Under Curve (AUC)を算出した。結果、口腔・栄養スクリーニング加算の同等の項目4つでのアウトカム検出能について検討したところ、4項目中1項目以上該当している者の割合は81%であった。4項目中1項目以上該当する場合、BMI 18.5kg/m2未満を感度81%、特異度19%でスクリーニングできた。
栄養評価項目2つでのアウトカム検出能について検討したところ、4項目中2項目以上該当している者の割合は19%であった。4項目中2項目以上該当する場合、BMI 18.5kg/m2未満を感度26%、特異度78%でスクリーニングできた。
結論
通いの場あるいは通所介護(デイサービス)において、低BMI検出にあたっては、口腔・栄養スクリーニング加算の項目を用いると高い感度が得られた。口腔・栄養スクリーニング加算の項目を用いた介護職等と栄養専門職とつなげることが適切であると考えられ、介護職等と栄養専門職をつなぐツールを作成し、事業を進める予定である。
公開日・更新日
公開日
2023-02-14
更新日
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