文献情報
文献番号
200835012A
報告書区分
総括
研究課題名
救急医療体制の推進に関する研究
課題番号
H18-医療・一般-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小濱 啓次(財団法人日本救急医療財団)
研究分担者(所属機関)
- 小関 一英(川口市立医療センター)
- 野口 宏(愛知医科大学高度救命救急センター)
- 福田 充宏(加納総合病院)
- 益子 邦洋(日本医科大学千葉北総病院救命救急センター)
- 甲斐達朗(大阪府済生会千里病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国の救急医療体制を改善する為に、ドクターヘリやドクターカーの運用が都道府県単位の広域救急医療体制の構築、僻地・離島救急医療の改善、また救命救急センターと二次救急医療機関の連携と集約化に役立つのか、さらには、消防機関との連携とメディカルコントロール体制(MC体制)の現状とわが国の大学附属病院の救急診療体制の現状を調査検討することを目的とする。
研究方法
研究目的に沿いアンケート調査、過去の調査結果の検討、検討会の設置等をそれぞれの研究内容に応じて行う。
結果と考察
地域における救命救急センターと地域の救急医療機関との連携と機能強化の方策に関する研究においては、救命救急センターにおける医師不足から、病院間連携と集約化、さらには消防機関に対するMC体制が不十分な状況にあった。今後は医師を充実させ、地域における病院間連携とMC体制の充実が望まれた。都道府県を中心とした救急医療体制のあり方と救急医療機関の連携と機能強化に関する研究では、都道府県単位のドクターヘリを中心とした広域救急医療体制のガイドライン作成が関係諸機関の協力体制作りに有効であり、都道府県単位の救急医療体制とMC体制の構築に役立った。僻地・離島救急医療体制における救急医療機関の連携と患者と医療資源の集約化に関する研究においては、医師教育と医師の確保が最も重要であるが、僻地拠点病院の充実も大切であることが理解できた。ドクターヘリの病院間の連携、患者と医療資源の集約化への効果についての研究では、ドクターヘリは僻地救急医療、小児救急医療、周産期救急医療、救命救急医療においても病院間の連携と集約化に有効であることが確認され、フライトナースの役割もドクターヘリ有効活用に必要であることが確認された。ドクターカーの病院間の連携、患者と医療資源の集約化への効果についての研究では、ドクターカーが病院選定困難傷病者の搬送先病院の選定に有効であること、また乗用車型ドクターカーが運営費軽減において有効であることが判明した。以上の結果から、ドクターヘリやドクターカーは医療機関の連携、集約化に有効であることが判明した。ドクターヘリは現在全国に展開中であるが、ドクターカーはまだ不十分な体制下にあり、救急医療崩壊が進行しつつある現在、早期に全国展開が行われることが望まれる。
結論
救命救急センターと医療機関の連携と集約化にはドクターヘリの運航とドクターカーの運行が必要かつ重要であることが確認できた。今後は、これらの救急診療と救急搬送の有効な資源をいかに全国の都道府県に拡げていくかが大きな問題であると思われた。
公開日・更新日
公開日
2009-06-25
更新日
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