5類型施設における効率的な臓器・組織の提供体制構築に資する研究-ドナー評価・管理と術中管理体制の新たな体制構築に向けて-

文献情報

文献番号
202114002A
報告書区分
総括
研究課題名
5類型施設における効率的な臓器・組織の提供体制構築に資する研究-ドナー評価・管理と術中管理体制の新たな体制構築に向けて-
課題番号
19FF1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
田崎 修(長崎大学 病院 高度救命救急センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 移植医療基盤整備研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
5,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

概要版(繰越課題)
日本において脳死下臓器提供が少ない要因の一つとして臓器提供に関わる5類型施設の体制整備が十分でないことが指摘されている。特に「脳死判定」以降のドナー評価・管理や摘出手術術中管理、家族サポート体制については多くの課題があり、体制整備が十分とは言えない。本研究の目的は、関係学会や日本臓器移植ネットワーク等の協力を得て、全国の様々な5類型施設が自立してドナー評価・管理、摘出術術中管理、家族サポートを行うことができるように、臓器提供マニュアル・ガイドライン等の作成と体制構築を目指すことであった。また、令和3年度より、厚生労働科学特別研究事業「コロナ禍における脳死下・心停止下臓器提供経験施設の実態調査に基づく臓器提供施設の新たな体制構築に資する研究」班が当研究班に統合されることになった。本研究の目的は、コロナ禍においても安全な臓器提供の環境整備を目指すことであった。
令和3年度は、令和2年度までに作成したマニュアルの検証に向けて、大阪大学の倫理委員会での承認を得た後に、全国の5類型施設に向けてアンケート調査を行った。また、マニュアルに対して、関連学会の承認を得た。さらに、検証機関による検証も実施した。そして、令和4年1月にパブリックコメントを募集した後にマニュアルを確定し、成果物として全国の5類型施設に送付した。
「コロナ禍における脳死下・心停止下臓器提供経験施設の実態調査に基づく臓器提供施設の新たな体制構築に資する研究」においては、COVID-19流行下の臓器提供に関する職員意識調査について、596名から回答を得た。一方、コロナ禍でのカルテレビューについては、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、予定していた大阪大学内の倫理審査(一括倫理審査)への申請に時間を要し令和3年度末においてもその審査終了が見込めなくなったため、事業を令和4年度に繰り越して継続することになった。

公開日・更新日

公開日
2023-03-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-03-07
更新日
2023-12-13

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202114002B
報告書区分
総合
研究課題名
5類型施設における効率的な臓器・組織の提供体制構築に資する研究-ドナー評価・管理と術中管理体制の新たな体制構築に向けて-
課題番号
19FF1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
田崎 修(長崎大学 病院 高度救命救急センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 移植医療基盤整備研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本において脳死下臓器提供が少ない要因の一つとして臓器提供に関わる5類型施設の体制整備が十分でないことが指摘されている。特に「脳死判定」以降のドナー評価・管理や摘出手術術中管理、家族サポート体制については多くの課題があり、体制整備が十分とは言えないという背景があった。本研究の目的は、関係学会や日本臓器移植ネットワーク等の協力を得て、全国の様々な5類型施設が自立してドナー評価・管理、摘出術術中管理、家族サポートを行うことができるように、臓器提供マニュアル・ガイドライン等の作成と体制構築を目指すことであった。また、令和3年度より、厚生労働科学特別研究事業「コロナ禍における脳死下・心停止下臓器提供経験施設の実態調査に基づく臓器提供施設の新たな体制構築に資する研究」班が当研究班に統合されることになった。本研究の目的は、コロナ禍においても安全な臓器提供の環境整備を目指すことであった。
研究方法
令和2年度までに作成したマニュアルの検証に向けて、大阪大学の倫理委員会での承認を得た後に、全国の5類型施設に向けてアンケート調査を行った。また、マニュアルに対して、関連学会での承認を申請した。さらに、臓器提供に造詣の深い検証機関による検証も依頼した。そして、令和4年1月にはパブリックコメントを募集した。多方面より得られた意見を基に、班会議で修正を重ね、令和4年3月に「臓器提供を見据えた患者評価・管理と術中管理のためのマニュアル(付)COVID-19後の臓器提供について/重症患者の家族サポートに関する考え方」を発行した。
また、令和3年度より統合された「コロナ禍における脳死下・心停止下臓器提供経験施設の実態調査に基づく臓器提供施設の新たな体制構築に資する研究」における研究計画は2点であった。第1は、集中治療室で診療を行う医師、看護師、院内コーデイネーターに対するWebアンケートによる意識調査を行うこと、そして第2は、COVID-19流行前後の死亡症例のカルテレビューを行うことである。
結果と考察
本研究で作成したマニュアルは、臓器提供側、および臓器移植側の関連学会の協力を得て、集学的に作成された。今回整備したマニュアル等によって、ドナー評価・管理、摘出手術術中管理体制、家族サポート体制といったこれまで整備が不十分であった領域の体制が整備され、臓器提供推進の一助となることが期待される。マニュアルの検証を目的に行った令和3年度のアンケート調査では、マニュアルが有用と思う施設は90%を超えた。各施設にとって待望のマニュアルになることを期待する。
一方、臓器提供側の施設にとっては逆に負担増につながる可能性もある。来院するMedical Consultant(MC)への対応はなくなるが、これまでMC医師が行っていた業務を提供側が担うことになるため、マンパワー不足に悩む小規模の病院にとっては、通常勤務の遂行が困難となる可能性もある。マンパワーの少ない施設に対して、何等かの形で院内体制が充実している施設からの支援が必要である。令和元年度から日本臓器職ネットワークが実施している臓器提供施設連携体制構築事業は、実施可能な支援策となる可能性がある。
COVID-19の流行は、研究班の活動にも大きな影響を与えた。令和元年度は対面での会議を行うことができたが、それ以降はすべてZoom会議となった。また、全国の臓器提供数も減少した。しかし、コロナ禍にあっても臓器提供、および臓器移植が行われることが重要であり、本研究班でも、COVID-19流行下での臓器提供についての成果物を作成した。これらは、今後の「with コロナ」時代の臓器提供・移植において有用な資料となると考えられる。
一方、死亡症例のカルテレビューについては、令和3年度に倫理審査を終了することができず、令和4年度も、またもや第7波および第8波の影響で6月に終了予定であった倫理審査が11月にまでずれ込んだ。現在3施設においてカルテレビューを行っており、今後可及的すみやかに解析を行う。また、コロナ禍を含めて心停止後臓器提供事例を経験した医療機関の負担に関するアンケート調査についても現在解析中であり、今後に資する結果を公表したい。
結論
本研究において、ドナー評価・管理、摘出術術中管理、家族サポート、およびコロナ禍における臓器提供に関するマニュアル等を作成することができた。これまでの成果物と合わせ、わが国の実情に即した、臓器提供課程すべてを網羅した院内体制マニュアルが整備されることになる。これにより、体制が整っている施設の質を更に向上させ、体制が整っていない施設の体制整備につながることを期待する。

公開日・更新日

公開日
2023-12-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-12-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202114002C

収支報告書

文献番号
202114002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,735,000円
(2)補助金確定額
7,735,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 952,556円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 1,749,078円
間接経費 1,785,000円
合計 4,486,634円

備考

備考
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、予定していた大阪大学内の倫理審査(一括倫理審査)への申請に時間を要し令和3年度末においてもその審査終了が見込めなくなったため、事業を令和4年度に繰り越して継続することになったため。

公開日・更新日

公開日
2023-03-07
更新日
-