移行期JIAを中心としたリウマチ性疾患における患者の層別化に基づいた生物学的製剤等の適正使用に資する研究

文献情報

文献番号
202113008A
報告書区分
総括
研究課題名
移行期JIAを中心としたリウマチ性疾患における患者の層別化に基づいた生物学的製剤等の適正使用に資する研究
課題番号
21FE1003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
森 雅亮(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 梅林 宏明(宮城県立こども病院・総合診療科)
  • 岡本 奈美(大阪医科薬科大学・医学部医学科)
  • 清水 正樹(東京医科歯科大学・大学院医歯学総合研究科)
  • 大倉 有加(国立大学法人北海道大学 大学院医学研究院)
  • 楢崎 秀彦(日本医科大学・大学院医学研究科)
  • 岩田 直美(あいち小児保健医療総合センター・免疫・アレルギーセンター)
  • 山﨑 雄一(鹿児島大学 鹿児島大学病院)
  • 大島 至郎(国立病院機構大阪南医療センター・臨床研究部 免疫疾患センター)
  • 西山 進(倉敷成人病センター リウマチ膠原病センター・診療部リウマチ科)
  • 橋本 求(公立大学法人大阪・大阪市立大学・大学院医学研究科)
  • 松井 利浩(国立病院機構相模原病院・臨床研究センター・リウマチ性疾患研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
5,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本課題では、小児期と成人期での生物学的製剤使用の相違点を明らかにするために、令和5年度末までにエビデンスレベルを可能な限り示した、JIAおよび類縁疾患の代表的疾患である小児期発症全身性エリテマトーデス (SLE)における生物学的製剤の診療ガイドライン等の指標を作成し導出することを目標にする。
研究方法
研究班全体を2つの分担班(JIA分担班、類縁疾患(SLE)分担班)に分け、それぞれの疾患について、最終的な研究班目的である両疾患の生物学的製剤の診療ガイドライン等の指標作成の礎となる作業を開始した。詳細については、それぞれの分担報告書をご参照いただきたい。
結果と考察
以下、本年度の成果を具体的に記載する。
(1)移行期JIA分担班:
1) 小慢データおよびCoNinJa5年目のデータ入手準備
・本年度は、CoNinJaデータ管理部署(国立病院機構相模原病院)担当者と、レジストリ業務引継ぎ、小慢データとのリンケージ可能かどうかの検討、小慢データを使用した研究の申請ならびに倫理申請の準備を行った。
2) メディカルスタッフ向け手引きの作成準備、初期診療の手引き改訂作業開始
・本年度は、CQの作成と回答執筆担当者の選定を行った。CQ作成ならびに回答執筆にあたっては、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士など多職種の方々を執筆協力者とし、連携を図った。
3) 患者・家族向けQ&A集の作成準備
・本年度は、JIA患者および家族会(あすなろ会)に質問原案を依頼、チーム内でブラッシュアップ、執筆担当者の選定を行った。執筆にあたっては小児科医、内科医、整形外科医など移行期を意識した記載を行うよう複数科に執筆者を依頼した。
(2) 移行期類縁疾患(SLE)分担班:
1)日本人小児SLE患者における全身性エリテマトーデス分類基準の妥当性に関する検討
・日本人小児SLE患者の臨床的特徴を明らかにするため、2016年4月から2021年12月までに小リウマチ性疾患データベースに登録された日本人小児SLE患者の臨床データを用いて、SLEの有病率、発症年齢、性差、臨床症状の特徴、治療法、予後に関する調査を実施中である。さらにEULAR/ACR2019分類基準の妥当性について、小児SLE診断の手引き、SLICC分類基準との比較検討を行っている。
2)小児・成人期SLEの臨床像の異同に関する検討
・厚生労働省の小児慢性特定疾病児童等データベースおよび指定難病患者データベースに登録されたJIAおよびSLE患者の臨床データの使用に関して申請準備を行った。
3)小児SLE診療ガイドラインの作成準備
・小児SLEの診療に関わる専門学会(小児リウマチ学会、小児腎臓病学会、小児神経学会、小児血液・がん学会、小児皮膚科学会、小児眼科学会)からガイドライン作成委員を選出し、日本リウマチ学会と協同でガイドライン作成委員会を組織し、これまでスコープの作成準備を行なった。
小児リウマチ性疾患の移行期におけるガイドラインを作成するためには、その情報を供与するレジストリの構築および継続性の問題をまず整備する必要がある。このため、両分担班ともにまず初めにこの整備に取り掛かった。
JIA分担班では、これまで作成されていなかった『メディカルスタッフ向け手引き』『患者・家族向けのQ&A集』の作成準備を予定通り進めることができた。多職種のメディカルスタッフおよび患者会からの期待度も高く、成果の導出が強く求められている。
また、類縁疾患(SLE)分担班では、日本人小児SLE患者の臨床的特徴、成人との差異を明らかにすることで、SLEの移行期医療の礎となる提言を発信するデータの収集・解析を進めている。生物学的製剤等の適正使用を目的とした小児SLE診療ガイドライン作成の準備を行うことができたので、残りの研究期間での成果導出を図りたい。
結論
本研究は、『移行期リウマチ性疾患に対して、「病態の見える化に基づく層別化医療及び予防的・先制的医療の実現」を通じて、ライフステージに応じて、安心して生活できる社会を構築する』という事業目標と合致しており、将来診療ガイドラインの作成・見直し・改善点補填・再作成というPDCA サイクルを回転させることができると考えている。また、先駆的研究(ID:16822387)で構築した全国的な診療ネットワークを駆使して、本成果を現場で利活用することが可能である。その結果、日本全国で両疾患の診療に携わっている小児科・成人診療科医およびメディカルスタッフに万遍なく生物学的製剤の適正使用を啓発・普及することが可能となり、治療の標準化により個々の患者のQOLの向上に繋がることが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2022-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202113008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,000,000円
(2)補助金確定額
7,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,767,109円
人件費・謝金 36,000円
旅費 42,060円
その他 2,544,991円
間接経費 1,615,000円
合計 7,005,160円

備考

備考
自己資金5160円

公開日・更新日

公開日
2022-06-03
更新日
-