指定難病の普及・啓発に向けた包括的研究

文献情報

文献番号
202111087A
報告書区分
総括
研究課題名
指定難病の普及・啓発に向けた包括的研究
課題番号
21FC2001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
和田 隆志(国立大学法人 金沢大学 事務局)
研究分担者(所属機関)
  • 千葉 勉(京都大学 医学研究科)
  • 村山 圭(千葉県こども病院 代謝科)
  • 山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 横手 幸太郎(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院)
  • 福井 亮(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科)
  • 楠 進(近畿大学 医学部(神経内科))
  • 塚本 達雄(田附興風会医学研究所北野病院 腎臓内科)
  • 中村 誠(神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野)
  • 錦織 千佳子(国立大学法人神戸大学 大学院医学研究科)
  • 平井 豊博(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
  • 山科 章(桐生大学・桐生大学短期大学部 医療保健学部看護学科)
  • 大木 隆生(東京慈恵会医科大学 血管外科学講座)
  • 大竹 明(埼玉医科大学 医学部)
  • 佐藤 晃一(独立行政法人国立病院機構 金沢医療センター 腎・膠原病内科)
  • 原 章規(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 盛一 享徳(国立成育医療研究センター  研究所 小児慢性特定疾病情報室)
  • 直江 知樹(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 飯野 ゆき子(自治医科大学附属さいたま医療センター耳鼻咽喉科)
  • 小崎 健次郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 千原 和夫(社会医療法人愛仁会明石医療センター 糖尿病・内分泌内科)
  • 松田 秀一(京都大学大学院医学研究科整形外科)
  • 宮坂 信之(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学)
  • 秋丸 裕司(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 難治性疾患研究開発・支援センター)
  • 越坂 理也(千葉大学医学部附属病院 糖尿病・代謝・内分泌内科)
  • 佐々木 秀直(北海道大学 大学院医学研究院)
  • 古澤 嘉彦(武田薬品工業 ジャパンメディカルオフィス)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
27,750,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関変更 研究分担者 飯野 ゆき子 東京北医療センター 耳鼻咽喉科 難聴・中耳手術センター(~令和3年7月15日)→自治医科大学 医学部(令和3年7月16日~)

研究報告書(概要版)

研究目的
難病法に基づき、指定難病患者への医療費助成や、調査及び研究の推進等が実施されている。現在338疾病にまで指定難病は増加した。一方で、指定難病制度に係る普及・啓発、指定難病の選定の公平性および疾患群間の診断基準や重症度分類の整合性や公平性の担保および難病患者のデータベース(以下、DBという)の研究への利活用等が重要な課題として指摘されている。
これを受け、本研究班では、①指定難病制度の運用に係る基盤構築、②指定難病制度に係る情報化促進のための方策を討議することを目的とし研究を実施した。
研究方法
(基盤分科会)
1) 各指定難病の疾患群の整理:各指定難病の疾患分類を、「難病情報センターの分類」を基に、再検討をおこなった。現在の指定難病の疾患群について再検討を行った。
2) 指定難病を各疾患群へ分類する試み方法の検討:上記1)の検討に基づき、問題点のある指定難病について、各疾患群への分類を試みた。各指定難病を各疾患群に分類する際の方策について検討した。
3) 循環器疾患、腎泌尿器疾患、消化器疾患の重症度基準(医療費助成基準)についての問題点の整理と提案:上記2)に基づいて、循環器疾患、腎泌尿器疾患、消化器疾患の重症度基準について、様々な問題点を検討した。
(情報促進化分科会)
1) 前研究班において、医師のみならず、患者と医療事務等の医療従事者を含めた3者を同時に普及・啓発の対象とする電子カルテおよび医事会計システム(以下、医療システムという)の導入をおこなった。本システム改良による申請率の変化や指定難病制度の普及状況等の効果を評価するためのアンケート調査を実施した。
2) 指定難病データベースおよび小児慢性特定疾病データベースの研究利用におけるfeasibility studyの追加解析のためにデータ利用申請のための準備をすすめた。
結果と考察
(基盤分科会)
1) 従来、難病情報センターのホームページでは、指定難病は15疾患群に分類されていた。この点について、昨年度の検討において、形成外科疾患は数も少なく、整形外科疾患などへ分類することが可能であると考えられた。また耳鼻科系疾患と聴覚・平衡機能系疾患を耳鼻咽喉科疾患として統一させ、全体として14疾患群とすることが適切と考えられた。
2) 最も適切な疾患群(1疾患群)に分類することを試みるが、1疾患群のみに分類することが困難な場合は、2疾患群に重複させることも可能とすべきと考えられた。
3) 多くの疾患で構成される指定難病について、別の指定難病として独立させたほうが良いと思われる疾患や逆に、独立した指定難病が重複して分類されている例、等が指摘された。
4) 循環器疾患、腎泌尿器疾患、消化器疾患について検討した。その結果、循環器疾患はNYHA分類、腎泌尿器疾患はCKD分類を多くの疾患に適応できる可能性が示された。一方、消化器疾患については、現行の重症度基準は疾患ごとに大きく異なっており、現時点では共通の重症度分類を適応することは困難と思われた。しかしながら、各疾患への助成の公平性を維持することは重要であり、可能な限り共通の基準を設ける努力が必要であると思われた。
(情報促進化分科会)
1) 前研究班において、医療システムの試験的改良による「指定難病支援機能」を研究代表者が所属する金沢大学附属病院で開発した。令和3年3月17日から本機能の使用を開始した。このシステムの稼働に伴い、3者の指定難病に対する普及・啓発が進み、①指定医以外の医師への指定難病等に対する理解の向上、②患者の指定難病に対する認識の向上、③医療事務等の医療従事者の指定難病への意識の向上等を通じ、申請率の向上、指定難病制度のさらなる活用が期待された。システム改良後に、システム改良に伴う効果(申請率の向上、指定難病制度の普及状況など)を評価するにあたり、アンケートを作成、実施した。アンケート結果については、導入後約1年にあたる令和4年3月に同院職員に対してアンケートを実施した。申請率の変化や指定難病制度の普及状況等の効果を評価する予定である。
2) ウェルナー症候群およびミトコンドリアのデータ利用を前提として各資料作成を行った。今後はデータ利用申請を行う予定である。
結論
本研究班は、①重症度分類の疾患間の整合性、公平性についての検討、②金沢大学附属病院における医療システムの試験的な改良の効果の検討および検証的研究による指定難病DBの有用性の確認について、検討を行った。引き続き、研究を継続し、①各指定難病間での整合性、公平性の向上、②指定難病制度の普及、効果的なデータの収集・評価による研究開発の促進等の成果を期待する。

公開日・更新日

公開日
2022-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202111087Z