特定疾患の微生物学的原因究明に関する研究

文献情報

文献番号
200834050A
報告書区分
総括
研究課題名
特定疾患の微生物学的原因究明に関する研究
課題番号
H20-難治・一般-035
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
宮﨑 義継(国立感染症研究所 生物活性物質部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 一博(東京慈恵会医科大学 ウイルス学講座)
  • 朝長 啓造(大阪大学 微生物病研究所)
  • 山谷 睦雄(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 佐多 徹太郎(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 渋谷 和俊(東邦大学医学部 病院病理学講座)
  • 和田 昭仁(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 竹末 芳生(兵庫医科大学 医学部)
  • 河野 茂(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定疾患を引き起こす病原体と発症機序を解明し、その結果として発症の予防あるいは効果的な治療法の開発に寄与することを目的とする。
研究方法
遺伝子破壊、培養細胞や動物への遺伝子導入や発現制御、臨床検体や動物由来検体の遺伝子解析や生化学的分析、質量分析、トランスジェニックマウスの作成、後方視的あるいは比較臨床研究、など、それぞれのテーマで必要な研究方法を用いた。
結果と考察
それぞれのテーマにおける研究結果と考察は以下の通り。1)難治性血管炎を誘発する真菌特異的分子; phosphomannanとβ-1,2構造がサイトカイン誘導能に影響することが示唆された。2) 劇症肝炎とウイルスの関与;小児劇症肝炎例ではウイルス病原体を示唆する配列は検出されなかった。3) 神経変性疾患と遅発性ウイルス感染との関連性; ボルナ病ウイルスの特定遺伝子が神経疾患と関連する事が示された。4) 神経疾患及び消化器疾患の起因ウイルスの解明;HHV-6潜伏感染蛋白が躁症状を引き起こすことを示した。5) 慢性肺気腫ないし呼吸不全とウイルス感染;肺気腫患者の急性増悪にRSウイルスが関与することを示した。6) マイコプラズマ感染と特定疾患の関連;マイコプラスマ感染による滑膜炎を再現しえた。7) 腸管スピロヘータが炎症性腸炎に及ぼす影響. Brachyspira 属が関連する炎症性腸炎(潰瘍性大腸炎)報告例は極めて少なかった。8) 糸状菌吸入による肺高血圧および血管構築改変の機序に関する解析;S. chartarum による肺動脈病変の形成にはマウスの疾患感受性が存在した。9)炎症性腸疾患に対する病原微生物の関与. 切開創手術部位感染は大腸癌と比較して有意に炎症性腸疾患で高率であった。10) IgA腎症など進行性腎障害と感染症.  IgA腎症モデルマウスへのTLR9リガンド投与により、腎病変の増悪を認めた。
結論
真菌が関与する可能性のある難病として血管炎と原発性肺高血圧症、ウイルスでは劇症肝炎や神経疾患、呼吸不全、細菌では関節リウマチ炎症性腸疾患、腎疾患に関して新知見をえた。

公開日・更新日

公開日
2009-03-31
更新日
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