文献情報
文献番号
202111067A
報告書区分
総括
研究課題名
難病患者の総合的地域支援体制に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20FC2003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
小森 哲夫(独立行政法人国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 宮地 隆史(国立病院機構柳井医療センター)
- 阿部 達哉(国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター 神経内科)
- 原口 道子(公益財団法人東京都医学総合研究所 社会健康医学研究センター難病ケア看護ユニット)
- 中山 優季(公益財団法人東京都医学総合研究所 社会健康医学研究センター難病ケア看護ユニット)
- 中馬 孝容(滋賀県立総合病院 リハビリテーション科)
- 植木 美乃(名古屋市立大学医学研究科リハビリテーション医学分野)
- 小倉 朗子(公益財団法人東京都医学総合研究所 社会健康医学研究センター難病ケア看護ユニット)
- 千葉 圭子(公益社団法人京都府看護協会)
- 江口 尚(産業医科大学 産業生態科学研究所)
- 植竹 日奈(国立病院機構まつもと医療センタ- 相談支援センター)
- 溝口 功一(国立病院機構静岡医療センター)
- 今井 富裕(国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター)
- 石山 麗子(国際医療福祉大学 大学院 医療福祉経営専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
27,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
令和3年度の研究課題は、令和2年度の課題から引き続いての研究を中心にした。難病法5年後見直しに対する難病対策委員会の意見書が公表されたことも受けて、難病法下の総合的地域支援体制に資することを意識した。前年度に引き続き「継続的難病医療体制」「難病の包括的地域支援」「難病従事者の教育・研修」3つのカテゴリーで難病施策の基礎となる研究成果を目的とした。
研究方法
課題ごとに必要な情報を集約するために、それぞれが対象とする職種に絞ったアンケート、行政や医療機関への組織構成などの調査、専門職種へのヒアリングなどを組みあわせた。COVID-19の影響を受けて対面調査を避け、多くはWEB調査に切り替えて実施した。また、WEB研修会を開催し、その参加者にアンケート調査する場合もあった。
結果と考察
「継続的難病医療体制」では、まず都道府県の難病診療分野別拠点病院の活動実態を調査した。分野別拠点病院の役割が都道府県によって異なるため、一概に結論づけることは困難であるが、難病診療連携拠点病院や地域の協力病院との連携が一定程度取れていることが明らかとなった。難病医療は拠点病院での診断後に患者が居住する地域の身近な医療機関や訪問看護、訪問介護など多職種・多機関からなる地域支援事業者の連携が支援に必須となる場合もあり、医療機関と地域資源の連携を整理して支援の構造化と支援機能から継続的支援指標の作成に到るべく前年度の基礎的データの収集を受けて連携の具体例をヒアリングして収集した。また、在宅療養を継続するために欠かせない訪問看護事業者からの情報を基に在宅療養看護必要指標を考案するため、提供する看護内容と対処となる患者の病態や生活実態との関係を調査した。その際、「難病の包括的地域支援」における研究課題とした保健所機能や難病相談支援センター機能との情報交換も意識して実施した。さらに、継続的難病医療で患者から必要とされる難病のリハビリテーションの効果を同一患者の経年的3度目の調査から、コロナ禍でも専門スタッフの1日60分以上の関与がADLの低下を予防した事実を明らかにした。また、介護保険サービスで実施されるリハビリテーションに関してケアマネジャーへの実態調査から改善点を抽出した。
「難病の包括的地域支援」では、保健所における難病対策地域協議会の機能強化と均霑化を目指した運営ガイドラインの改訂を実施、さらに頻発する災害時対策として保健師の視点を涵養する研修を企画した。内容はダウンロード可能な成果物とし、全国の保健所での利用を期待した。また、難病相談支援センターに関して、難病相談支援センター機能の標準化を念頭に、前年度の難病相談支援センター施設長、自治体(難病対策所管課・保健所)担当保健師等、難病患者就職サポーターへのアンケート調査を参考に運営主体の異なるセンターを選んでヒアリング及び相互意見交換の場を開催した。難病相談支援センターがハブとなる就労支援に関して、難病患者の就労に至る要因として医療機関と難病相談支援センターの連携を促進する研修を実施した。コロナ禍で難病患者の就労が失われた場合と在宅ワークの普及で就労維持につながった場合を分析した。地域で難病患者の生活を支える介護支援専門員のケアマネジメントの事態を始めて調査し、課題が明らかとなった。継続的に取り組んでいる難病の災害対策は、個別避難計画の努力義務化をきっかけとして既存の成果物をアップデートした追補版を作成した。
「難病従事者の教育・研修」は、本研究班の全課題に関わる多職種に共通する課題であり、研究分担者や研究協力者全体で取り組む必要があった。教育・研修には様々な側面があるが、現任教育として難病従事者のニーズに応える方法や内容を指向する必要があった。前年度の難病従事者5000人アンケートからe-learningへの希望や期待が明らかとなったため、研修や学習内容に優先度を導入して基本的なプラットフォームとしての構造を明確にした。
難病法見直しに関する意見書と基本的考え方に対して、研究班の立場で提案書と難病患者の災害対策に関する提言書を難病対策課に提出した。
「難病の包括的地域支援」では、保健所における難病対策地域協議会の機能強化と均霑化を目指した運営ガイドラインの改訂を実施、さらに頻発する災害時対策として保健師の視点を涵養する研修を企画した。内容はダウンロード可能な成果物とし、全国の保健所での利用を期待した。また、難病相談支援センターに関して、難病相談支援センター機能の標準化を念頭に、前年度の難病相談支援センター施設長、自治体(難病対策所管課・保健所)担当保健師等、難病患者就職サポーターへのアンケート調査を参考に運営主体の異なるセンターを選んでヒアリング及び相互意見交換の場を開催した。難病相談支援センターがハブとなる就労支援に関して、難病患者の就労に至る要因として医療機関と難病相談支援センターの連携を促進する研修を実施した。コロナ禍で難病患者の就労が失われた場合と在宅ワークの普及で就労維持につながった場合を分析した。地域で難病患者の生活を支える介護支援専門員のケアマネジメントの事態を始めて調査し、課題が明らかとなった。継続的に取り組んでいる難病の災害対策は、個別避難計画の努力義務化をきっかけとして既存の成果物をアップデートした追補版を作成した。
「難病従事者の教育・研修」は、本研究班の全課題に関わる多職種に共通する課題であり、研究分担者や研究協力者全体で取り組む必要があった。教育・研修には様々な側面があるが、現任教育として難病従事者のニーズに応える方法や内容を指向する必要があった。前年度の難病従事者5000人アンケートからe-learningへの希望や期待が明らかとなったため、研修や学習内容に優先度を導入して基本的なプラットフォームとしての構造を明確にした。
難病法見直しに関する意見書と基本的考え方に対して、研究班の立場で提案書と難病患者の災害対策に関する提言書を難病対策課に提出した。
結論
調査研究の手法に制限は生じたが、各課題は着実に調査を積み重ねた。2年目の研究として成果物が作成された。引き続き、さまざまな課題解決への研究を進め、難病患者の総合的地域支援体制構築に向けた政策提言に繋げる必要性を感じた。これらの10課題15研究の研究成果は可能な限り研究班ホームページに掲載し、広く利用できるよう配慮している。(https://plaza.umin.ac.jp/nanbyo-kenkyu/)
公開日・更新日
公開日
2022-06-07
更新日
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