稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
200834043A
報告書区分
総括
研究課題名
稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-028
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
岩月 啓氏(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 天谷 雅行(慶應義塾大学 医学部皮膚科)
  • 橋本 隆(久留米大学 医学部皮膚科)
  • 青山 裕美(岐阜大学 医学部附属病院皮膚科)
  • 照井 正(日本大学 医学部皮膚科)
  • 許 南浩(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科細胞生物学分野)
  • 小宮根 真弓(自治医科大学 皮膚科)
  • 清水 宏(北海道大学 大学院医学研究科皮膚粘膜病学)
  • 橋本 公二(愛媛大学 医学部皮膚科)
  • 金田 安史(大阪大学 大学院医学系研究科遺伝子治療学)
  • 池田 志斈(順天堂大学 医学部皮膚科)
  • 山本 明美(旭川医科大学 皮膚科)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学 医学部衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
天疱瘡,先天性表皮水疱症,膿疱性乾癬と先天性魚鱗癬様紅皮症を対象疾患として,1)臨床疫学統計,2)遺伝学的調査,3)診療ガイドライン作成・改訂,4)病態解明,5)治療法開発を目的とした研究を進める.
研究方法
(臨床疫学統計)個人調査票による疫学統計を継続し,症例レジストリによる前向き調査に取り組む.(天疱瘡)国際分類や重症度判定の新知見を取り入れた診療ガイドライン作成・改訂.天疱瘡モデルマウスと単クローン性天疱瘡抗体による棘融解機序の解析を継続.天疱瘡特異的T細胞クローンとT細胞受容体解析を実施.天疱瘡抗体による接着構造変化と細胞内シグナルの解明.標的抗原不明の自己免疫性疾患の抗原解析.(先天性表皮水疱症)遺伝子異常と病型解析.疾患モデル動物を用いて骨髄幹細胞移植による遺伝子治療の検討.三次元培養皮膚治療の推進.(膿疱性乾癬)乾癬疾患遺伝子ゲノムワイド解析の第三次絞込みと,候補遺伝子機能解析および薬剤感受性遺伝子解析を実施.樹状細胞を機軸とする炎症機転,表皮増殖と炎症の連鎖の解明.(先天性魚鱗癬様紅皮症)診断基準を新たに作成.角質増殖機序,変異ケラチン導入による解析を実施.
結果と考察
臨床疫学調査結果を報告した.症例レジストリのプロトタイプを作成し,膿疱性乾癬から登録を開始した.天疱瘡研究では,国際的重症度判定基準PDAIを導入し,診断基準を作成中.天疱瘡抗原の成熟過程が明らかになり,より精度の高い診断キットが開発された.天疱瘡抗体に誘発されるデスモゾーム構造の分子変化と細胞内シグナルの新知見を得た.膿疱性乾癬では,S100A8/A9蛋白やYKL-40など新たなマーカーが見出された.樹状細胞を機軸とする炎症反応と核内受容体解析LXRにつて新知見を得た.臨床調査結果を診療ガイドラインに反映させた.表皮水疱症では疾患モデル動物を用いた骨髄幹細胞導入療法が良好な結果を得た.三次元培養皮膚移植は改良を加えて,実際の治療として実施している.新たに研究対象疾患に加えられた先天性魚鱗癬様紅皮症は,疾患分類と診断基準を整備して,初の全国調査に向けて準備を開始した.
結論
臨床疫学統計,遺伝的解析,診療ガイドライン作成・改訂,病態解明,診断法と治療法開発など,初年度の研究目標をバランスよく,ほぼ達成することができた.次年度は予定の研究目標とともに生体試料の管理・運用についても他研究班と共同研究を予定.

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
-