急性高度難聴に関する調査研究

文献情報

文献番号
200834036A
報告書区分
総括
研究課題名
急性高度難聴に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-021
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小川 郁(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 喜多村 健(東京医科歯科大学 医歯(薬)学総合研究科)
  • 中島 務(名古屋大学 医学系研究科)
  • 宇佐美 真一(信州大学 医学部)
  • 岡本 牧人(北里大学 医学部)
  • 暁 清文(愛媛大学 医学系研究科)
  • 福田 諭(北海道大学 医学(系)研究科(研究院))
  • 佐藤 宏昭(岩手医科大学 医学部)
  • 山岨 達也(東京大学 医学部附属病院)
  • 水田 邦博(浜松医科大学 医学部)
  • 福島 邦博(岡山大学 医学部・歯学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では対象疾患を急性高度感音難聴と進行性または慢性高度感音難聴の高度感音難聴として、高度感音難聴を呈する疾患の難聴発症メカニズムを解明して、各標準的な治療方針を定めて、治療・予防法を確立することが目標である。
研究方法
1)突発性難聴の病態に関する研究
2)突発性難聴、加齢性難聴の関連遺伝子に関する研究
3)突発性難聴のQOLに関する研究
4)内耳画像診断法に関する研究
5)突発性難聴の局所療法、内耳低温療法に関する検討
①突発性難聴の局所療法
②突発性難聴に対する内耳低温療法
6)急性低音障害型感音難聴に対する単剤治療における共同研究
7)聴覚障害の病態解明のための基礎研究
①蝸牛器官培養におけるmicroRNA発現
②音響外傷蝸牛に対するインターロイキン6阻害剤の効果
③内耳病変のパラフィン包埋法のヒト側頭骨分子病理学的研究
④ラット台形体におけるサリチル酸の効果
⑤選択的セロトニン再取り込み阻害薬によるマウス下丘神経細胞自発発火パターンの変化
⑥一過性虚血後の内耳障害に対する低体温の影響
結果と考察
特に今回の3年間の研究では高度感音難聴発症に関与する遺伝子または遺伝子変異を検出し、難聴発症機構を分子細胞レベルで解明することを大きな目標の一つとした。超高齢化社会を迎えた本邦において聴覚障害の克服は大きな課題であり、高度難聴による重篤なコミュニケーション障害のハンディキャップが適切に克服されれば、国民の健康増進という厚生労働行政上の観点からも重要な研究テーマである。
本研究では3年間に多施設横断的研究で各高度感音難聴を来す疾患の1)疫学調査、2)発症に関連する遺伝子または遺伝子異常の検出、3)QOLへの影響、4)発症と予後に関わるバイオマーカーの検索、5)新しい治療法としての鼓室内局所療法の有効性の検証を行い、最終的にこれらの所見から各疾患の診断基準の見直しと、診療ガイドラインの作成を目指すことが大きな目的である。一方で各施設での独創的なアプローチによる3T-MRIによる内耳画像診断法などの新しい診断法や各種実験動物モデルの検討による急性高度感音難聴の発症機序の解明と新しい治療法の確立も積極的に推進したい。
臨床的研究のみならず、これら基礎的研究による新たな展開も不可欠であり、これらの研究が表裏一体として進行することを目指したい。
結論
聴覚障害の病態解明のための基礎研究は不可欠であり、臨床的研究と表裏一体で進行することを目指したい。

公開日・更新日

公開日
2009-04-13
更新日
-