免疫性神経疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
200834031A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫性神経疾患に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
楠 進(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 修一(信州大学 医学部)
  • 出雲 周二(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 糸山 泰人(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 梅原 藤雄(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 大原 義朗(金沢医科大学 微生物学)
  • 荻野 美恵子(北里大学 医学部)
  • 梶 龍兒(徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 神田 隆(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 菊地 誠志(独立行政法人国立病院機構 札幌南病院)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院 医学研究院)
  • 桑原 聡(千葉大学大学院 医学研究院)
  • 高 昌星(信州大学 医学部)
  • 郡山 達男(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 佐古田 三郎(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 清水 潤(東京大学 医学部)
  • 清水 優子(東京女子医科大学 神経内科)
  • 鈴木 則宏(慶應義塾大学 医学部)
  • 錫村 明生(名古屋大学 環境医学研究所)
  • 園生 雅弘(帝京大学 医学部)
  • 祖父江 元(名古屋大学大学院 医学系研究科)
  • 田中 正美(独立行政法人国立病院機構 宇多野病院)
  • 中村 龍文(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 西澤 正豊(新潟大学 脳研究所)
  • 野村 恭一(埼玉医科大学 総合医療センター)
  • 原 寿郎(九州大学大学院 医学研究院)
  • 藤井 義敬(名古屋市立大学大学院 医学研究科 )
  • 松井 真(金沢医科大学 脳脊髄神経治療学)
  • 松尾 秀徳(独立行政法人国立病院機構 長崎神経医療センター)
  • 水澤 英洋(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 本村 政勝(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 山村 隆(国立精神・神経センター 神経研究所)
  • 吉川 弘明(金沢大学 保健管理センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
指定対象疾患7疾患、並びに関連のある免疫性神経疾患を対象とし、臨床疫学調査、病態および発症機序の解明、診断・治療ガイドライン作成、新しい画期的な治療法の開発などを目的とする。
研究方法
上記の目的のため、遵守すべき研究に関連する指針に則り、倫理面には十分に配慮して研究を行った。
結果と考察
全国疫学一次調査にて、小児ADEM約300人、小児MS約130人と推計された。抗AQP4抗体について、ELISA、FACS、Sf9細胞などを用いた新規測定法が試みられた。抗AQP4抗体がアストロサイトを標的として傷害をきたすことややBBBバリア機能を低下させることが示唆された。IFN-βはBBBバリア機能を高め、BDNF増加により神経修復している可能性がある。抗AQP4 抗体陰性OSMSはTh1シフトを、抗体陽性群はTh2シフトを示し、OSMSではIL-17を主とした反応がみられた。MS発症にIL-17産生に特化した活性化innate Tが関与している。MS患者のCD4陽性CD28陰性T細胞ではCRYAB特異的T細胞を多く含む。MS補助診断としてSema4A測定や補体C4のフラグメントが有用である。診断から胸腺摘徐までの期間が短いほどMG症状はより改善する。MG胸腺摘出術前のステロイド投与は摘出後のクリーゼを抑制する。小児の胸腺摘除術はステロイド抵抗性の全身型MGに有効例が多かった。胸腺腫合併MGでは全例で筋組織にMHC-class Iの発現を認めた。抗Syp抗体はLEMS/MGおよび肺小細胞癌のマーカーとなる可能性がある。抗GD1a/GD1b 抗体陽性GBS ではステロイド併用が有効な可能性がある。抗GM1/GalNAc-GD1a抗体は純粋運動型GBSに関連する。Rho-kinase阻害剤がCIDP治療薬となる可能性がある。脛骨神経SEPはCIDP診断に有用である。
結論
小児におけるADEMとMSの患者数が推計された。より簡便で感度の高い抗AQP4抗体の新規測定法の確立が進められている。抗AQP4抗体がMS/NMOの病態を引き起こすメカニズムが明らかにされつつある。MS発症におけるT細胞の詳細な役割の解析が行われた。MSの新たな補助診断法が検討された。MGの胸腺摘徐術に対する方向性が示された。GBSやCIDPの病態や発症機序、さらには診断や治療法について新たな知見があった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-13
更新日
-