プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200834028A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-013
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学(神経内科学)分野)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 正仁(金沢大学大学院医学系研究科・脳老化・神経病態学)
  • 細矢 光亮(福島県立医科大学・医学部・小児科学講座)
  • 市山 高志(山口大学大学院医学系研究科・小児科分野2500)
  • 金子 清俊(東京医科大学神経生理学講座)
  • 坂口 末廣(徳島大学疾患酵素学研究センター神経変成疾患研究部)
  • 毛利 資郎(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構・動物衛生研究所)
  • 作道 章一(大阪大学・微生物病研究所難治感染症対策センター・ウィルス免疫分野)
  • 小林 篤史(東北大学大学院医学系研究科・CJD早期診断・治療法開発分野)
  • 横山 隆(動物衛生研究所プリオン病研究センター)
  • 田中 元雅(独立行政法人理科学研究所・脳科学総合研究センター・田中ユニット)
  • 桑田 一夫(岐阜大学人獣感染防御研究センター・プリオン研究部門)
  • 村山 繁雄(東京都老人総合研究所・老年病ゲノム解析チーム・高齢者ブレインバンク)
  • 松田 治男(広島大学大学院生物圏科学研究科生物機能開発学専攻分子生命開発学講座)
  • 新 竜一郎(長崎大学大学院・医歯薬学総合研究科・感染免疫学)
  • 調 漸(長崎大学医学部・歯学部附属病院へき地病院再生支援・教育機構)
  • 湯浅 龍彦(医療法人木下会鎌ヶ谷総合病院千葉神経難病医療センター)
  • 堀内 基広(北海道大学大学院獣医学研究科・プリオン蛋白研究部門プリオン蛋白分子解析分野)
  • 照屋 健太(東北大学大学院医学系研究科・プリオン蛋白研究部門プリオン蛋白分子解析分野)
  • 山田 達夫(福岡大学医学部・神経内科学)
  • 中村 好一(自治医科大学地域医療センター公衆衛生学部門)
  • 三條 伸夫(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科・脳神経病態学)
  • 楠原 浩一(法人九州大学大学院・成長発達医学分野)
  • 堀田 博(神戸大学大学院医学系研究科座微生物学分野)
  • 柳 雄介(九州大学大学院医学系研究院・ウイルス学分野)
  • 澤 洋文(北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター分子病態・診断部門)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所・ウィルス第1部第3室)
  • 網 康至(国立感染症研究所村山庁舎 動物管理室(実験))
  • 岸田 修二(都立駒込病院・脳神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
94,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プリオン病、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳症(PML)のわが国における疫学的実態を明らかにし、発症機序の解明、治療法・予防法の開発、感染予防対策、患者等のケアなどを推進する。
研究方法
プリオン病、SSPEはサーベイランス委員を研究協力者として組織し各都道府県の行政担当者、難病担当専門医と協力して全国サーベイランスを行い、PMLも分科会にて協議の上で疫学研究を推進する。発症機序等の研究は基礎医学者、獣医学者、臨床研究者が研究分担者・研究協力者として各々の研究を推進するとともに共同研究など緊密な連携により全体の向上を目指し、国際的にその成果を発信する。

結果と考察
プリオン病では全国サーベイランス体制のもとに1129例を認定し疫学・臨床研究の成果より、若年性CJDの中にはvCJDとの鑑別が困難となる例が存在すること、早期診断にはFDG-PETや脳血流シンチが有用であることなどが判明した。医療行為を介する二次感染対策として、各事例に対応すると共に「プリオン病感染予防ガイドライン」改訂版の出版・配布を行った。SSPEは全国疫学調査を行いデータの解析を続け、PMLサーベイランスの準備を進め世界での研究の進歩も紹介した。プリオン病の診断では遺伝子・髄液検査を集中化し、MRI等画像診断の標準化を進めた。基礎研究ではプリオン蛋白の正常機能と異常化の機序、モデル動物を用いた感染効率の研究、SSPEにおけるサイトカインの作用、感受性遺伝子の人種間比較評価、SSPEモデル動物の開発、PMLの発症機序、JCウイルス遺伝子変異の検索、JCウイルス結合蛋白の同定等の領域で顕著な研究成果が得られ、多くは国際的一流誌に掲載され世界へ向けて発信された。プリオン病のペントサン治療の臨床試験、SSPEのリバビリン治療の臨床試験が進展し、ホ-ムページや冊子体を活用してSSPEやPMLの診療ガイドラインの普及に努めた。プリオン病の国際会議に参加し、SSPEでは海外多発地域との共同研究が進展した。

結論
対象三疾患いずれも疫学研究、診断法開発や試験治療を含む臨床研究、発症機序に係わる基礎研究などが大きく進展した。プリオン病に続き、SSPEやPMLでも疫学調査体制を整備し、二次感染対策や患者等のケア対策も推進した。これらの成果は、国際会議や共同研究などを通じて発信され国際的にも高く評価されている。

公開日・更新日

公開日
2009-04-19
更新日
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