間脳下垂体機能障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
200834023A
報告書区分
総括
研究課題名
間脳下垂体機能障害に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-008
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大磯 ユタカ(名古屋大学 大学院医学系研究科病態内科学講座糖尿病・内分泌内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 長村義之(東海大学医学部病理診断学)
  • 平田結喜緒(東京医科歯科大学分子内分泌内科学)
  • 大関武彦(浜松医科大学小児科学)
  • 須田俊宏(弘前大学内分泌代謝内科学)
  • 森昌朋(群馬大学病態制御内科)
  • 寺本明(日本医科大学神経病態解析学)
  • 肥塚直美(東京女子医科大学内分泌内科学)
  • 石川三衛(自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科)
  • 島津章(京都医療センター)
  • 苛原稔(徳島大学女性医学分野)
  • 置村康彦(神戸大学内分泌代謝学)
  • 柳瀬敏彦(九州大学病態制御内科)
  • 有田和徳(鹿児島大学脳神経病態制御外科学)
  • 岩崎泰正(高知大学内分泌代謝・腎臓内科学)
  • 高野幸路(東京大学腎臓内分泌内科学)
  • 清水力(北海道大学内分泌内科学)
  • 巽圭太(大阪大学内分泌内科学)
  • 菅原明(東北大学先端再生生命科学)
  • 有馬寛(名古屋大学糖尿病・内分泌内科学)
  • 横山徹爾(国立保健医療科学院人材育成部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
間脳下垂体機能障害の特徴は、ホルモン分泌異常に加え、生体の統御中枢である視床下部の障害により全身的に多様な病態を形成する点と発生した疾患が何十年という経過を示すためQOL維持などを考慮した治療が必要となる点である。今年度は、1)抗利尿ホルモン分泌異常症、2)プロラクチン分泌異常症、3)ゴナドトロピン分泌異常症、4)成長ホルモン分泌異常症、5)副腎皮質刺激ホルモン分泌異常症、6)下垂体腺腫、7)間脳下垂体疾患の生命予後・QOL 調査目的でデータベースを構築・維持し診断・治療法の有効性評価回研究対象とし、研究を通し病態解析に基づく早期発見、有効な治療、質的に高レベルの医療の実践をわが国において遂行するための指針を策定することを目的とする。
研究方法
1)SIADHの標準治療法を基礎実験に基づき設定する。また中枢性尿崩症の増悪因子をモデル動物を用い検討する。
2)高プロラクチン血症の実態調査を行い、その対応指針を策定する。
3)LH、FSH、LH/FSH比のカットオフ値を再設定しより精度を高めた診断基準を設定する。
4)下垂体腺腫の細胞増殖をNotchシグナル系などにより検討し、分子標的治療を設定する。
5)成人GH分泌不全症(GHD)でQOL質問紙を用いGH投与後の変化を評価する。小児期のGHDが成人期移行における動脈硬化症進行と薬物治療の効果を検討する。
6)サブクリニカルクッシング病の高感度診断法を開発する。また、各種薬剤の効果と腫瘍縮小効果を評価する。
7)生命予後・QOLなどと治療法の関連を評価するため間脳下垂体疾患データベースを用い行う。
結果と考察
1)病態の解明:下垂体腺腫の増殖機構の解明による特異的診断・治療ストラテジーへの応用、2)新規治療の開発:病態生理の解析などにより有効で効率的な治療法の展開、3)診断基準と治療効果の妥当性評価:間脳下垂体疾患データベース構築とそのフィードバックによる診断・治療の適正性の評価、4)原病治療による合併症の発症抑制、長期予後の改善に向けた指針などの結果が得られた。
結論
間脳下垂体機能障害に関する調査研究の遂行により、上記の成果が得られらた。その結果、わが国における視床下部・下垂体領域の医療水準の向上および今後の難病治療の政策決定に寄与するばかりではなく、難病患者の健康余命の延長、QOL向上などの社会貢献へ寄与するものと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2009-06-11
更新日
-