文献情報
文献番号
200834019A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管炎に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
槇野 博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
研究分担者(所属機関)
- 尾崎承一(聖マリアンナ医科大学、リウマチ・膠原病・アレルギー内科)
- 山村昌弘(愛知医科大学リウマチ科)
- 有村義宏(杏林大学第一内科)
- 和田隆志(金沢大学大学院医学系研究科血液情報統御学)
- 小林茂人(順天堂大学附属順天堂越谷病院内科)
- 針谷正祥(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科薬害監視学)
- 藤井隆夫(京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学)
- 天野宏一(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ膠原病内科)
- 佐田憲映(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
- 重松 宏(東京医科大学外科学第二講座)
- 磯部光章(東京医科歯科大学大学院循環制御内科学)
- 井上芳徳(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科血管・応用外科学分野)
- 小室一成(千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学)
- 能勢眞人(愛媛大学大学院医学系研究科ゲノム病理学分野)
- 石津明洋(北海道大学医学部保健学科検査技術科学専攻病態機能学講座病理形態機能学分野)
- 加藤智啓(聖マリアンナ医科大学生化学教室)
- 鈴木和男(千葉大学大学院医学研究院・免疫分子生物学)
- 岩月啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
44,000,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
血管炎の病因・病態の究明は依然として進展しておらず有効な治療法は確立されていない。欧米の臨床研究と比較すると、EBMに準拠した治療指針の作成や新規治療法の開発で立ち遅れており全国規模で専門医の総力を結集して研究を遂行することが不可欠である。
研究方法
本研究班の研究分担者および研究協力者から基礎・病理分科会、大型血管炎に関する分科会、中小型血管炎に関する分科会の3分科会を組織し研究にあたった。
結果と考察
血管炎データベース構築に向けて、国際的な評価基準を取り入れた研究プロトコル作成を完了し患者登録システムを確立した。また、治療中止の可能性に関するプロトコルも完成している。個人調査票の解析では、欧米との血管炎分類の相違が明らかになった。アレルギー性肉芽腫性血管炎では疫学班と合同調査を開始した。Buerger病では、原因の一つである歯周病との関連を検討した。治療面では、HGFプラスミドを用いた治療の有用性が明らかにされ、細胞治療の有用性と作用機序、遺伝子治療例との比較検討も行っている。Buerger病に対する血管新生療法については観察研究を続けている。動物モデル解析では、新たな感受性遺伝子、血管炎特異的自己抗体の同定や、自己血管反応性T細胞の発現機構、血管炎発症におけるTh17活性化ならびにANCA産生機構、ケモカインアンタゴニストによる治療モデルの確立などの成果を得た。また、ヒト血管炎では、血管炎に係わる抗内皮細胞抗体やペプチドの同定、重症度・治療反応性に関連する遺伝子やゲノム多型の同定、診断、予後を規定する病理パラメーターの解析などの成果を挙げている。皮膚血管炎アトラスの作成にも取り組んだ。ANCA関連血管炎で欧米との間で発症頻度、臨床症状、ANCAの種類の頻度に差異を認めるため、国際的な研究協力が必要である。これに関連して、宮崎県行われている疫学調査が更新され、EULAR/ACRによる新しい血管炎の定義・分類基準作成の会議に参加した。
結論
来年度より開始されるコホート研究から欧米との差異を明らかにし、治療指針がさらに発展することが期待される。大型血管炎でも疫学調査をもとに治療の実態が明らかにされ、新規治療法の開発が進展することが期待される。新たな血管炎モデルの開発とその解析を通じて、ヒト血管炎の病因・病態解析のブレークスルーが可能となり、これらの成果に基づく治療モデルの開発は、血管炎治療の創薬への展開が期待できる。ヒト皮膚血管炎アトラスの作成は皮膚血管炎の高度な診断と治療に貢献できる。
公開日・更新日
公開日
2009-04-02
更新日
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