文献情報
文献番号
200834018A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性免疫不全症候群に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
原 寿郎(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院成長発達医学)
研究分担者(所属機関)
- 宮脇 利男(国立大学法人富山大学 大学院医学薬学研究部小児科学)
- 有賀 正(国立大学法人北海道大学 大学院医学研究科小児科学分野)
- 土屋 滋(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科小児病態学分野)
- 野々山 恵章(防衛医科大学校 医学研究科小児科学)
- 森尾 友宏(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院発達病態小児科学分野)
- 上松 一永(国立大学法人信州大学 大学院医学研究科移植免疫感染症学)
- 近藤 直実(国立大学法人岐阜大学 大学院医学系研究科小児病態学分野)
- 蒲池 吉朗(国立大学法人名古屋大学 大学院発育・加齢医学講座小児科学)
- 谷内江 昭宏(国立大学法人金沢大学 大学院医学系研究科保健学専攻病態検査学)
- 中畑 龍俊(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科発達病態小児科学)
- 小林 正夫(国立大学法人広島大学 大学院病態情報医科学講座小児科学)
- 布井 博幸(国立大学法人宮崎大学 医学部生殖発達医学講座小児科学分野)
- 岩田 力(東京家政大学 家政学部児童学科)
- 峯岸 克行(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院免疫アレルギー学)
- 千葉 滋(国立大学法人筑波大学 医学部血液内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
37,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本調査研究班の目的は、原発性免疫不全症候群の医療水準と患者QOLの向上である。疫学調査を行い、患者や医療者への情報提供体制を作り、迅速診断法を含む正確な診断体制を確立する。病態解明やその基盤となる責任遺伝子の同定を行い治療法を改善整備する。
研究方法
全国疫学調査、QOL調査を行い、理化学研究所と共同でITによるdata baseを推進する。病態を基盤とした迅速診断法を開発し、理研・かずさDNA研究所と共同で迅速に遺伝子解析を行う。分子免疫学の進歩を基に病態解明や責任遺伝子の同定を行う。ヒト化マウス疾患モデル等を用いて原因・病態を解明し、遺伝子治療等新たな治療法を開発する。より安全な造血幹細胞移植法等のガイドラインを作成し、ホームページや講演会を通して医師、患者へ継続的に情報を提供する。
結果と考察
疫学1次調査では、現在2153例が集計された。2次調査では臨床像を詳細に調査し、IT登録を充実させる。そのほか、1)TRECs・KRECs定量によるSCID、B細胞欠損症迅速診断法の確立、2)Flow cytometerによる好中球二次顆粒欠損症や毛細血管拡張性失調症迅速診断法の確立、3)高IgE症候群の易感染性の原因の解明、4)高IgE症候群の責任遺伝子の同定、5)新規免疫不全症(B細胞・NK細胞・形質細胞様樹状細胞欠損症や選択的IgMメモリーB細胞欠損症)の解明、6)NOD2遺伝子異常症の臨床解析及び遺伝子異常と臨床像との関連解析、7)IL2RG変異とそのreversionによるOmenn症候群発症の解明、8)遺伝学的方法によるXLAやCGDの近接欠損遺伝子の同定、9)WASP/WIP蛋白の特徴と好中球関連遺伝子発現への関与の解明、10)Toll様受容体の構造解析、11)XLAのヒト化マウス疾患モデルの作成、等を行った。かずさDNA研究所では、2008年11月末までに、212検体、1074遺伝子を解析した。SCID、CGD、WASの造血幹細胞移植ガイドライン概要を作成した。XLAマウスモデルを用いた遺伝子治療、Protein transduction domainによる蛋白の細胞内導入を行っている。診断基準や診断に必要な検査項目(遺伝子検査)、専門病院の情報をホームページに掲載し、症例相談を受付け、主治医にむけたアドバイスをしている。患者家族会との連携を深め、講演会や相談会を実施した。
結論
国内患者の状態を把握し、適切な治療を受けQOLを改善させるための今年度の目標を達成し、さらなる情報発信、より良い診断・治療法の開発への貢献をしていく。
公開日・更新日
公開日
2009-03-31
更新日
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