特発性造血障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
200834016A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性造血障害に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 敬也(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 赤司 浩一(九州大学大学院 医学研究院)
  • 内山 卓(京都大学大学院 医学研究科)
  • 岡本 真一郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 金倉 譲(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 黒川 峰夫(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 澤田 賢一(秋田大学 医学部)
  • 朝長 万左男(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 中尾 眞二(金沢大学大学院 医学系研究科)
  • 中畑 龍俊(京都大学大学院 医学研究科)
  • 村手 隆(名古屋大学 医学部)
  • 杉田 稔(東邦大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再生不良性貧血、溶血性貧血、不応性貧血(骨髄異形成症候群MDS)、骨髄線維症を対象疾患とした全国規模の調査研究を、疫学・病因・病態・診断・予後などの幅広い領域にわたって実施した。
研究方法
研究代表者1名、研究分担者11名、研究協力者19名の計31名より構成され、それぞれの疾患領域で研究を立案実施した。
結果と考察
1.再生不良性貧血:(1)臨床調査個人票による解析を実施し、その問題点を明らかにした。(2)日本血液学会と連携し、血液疾患全例登録を継続した。(3)共通免疫抑制療法プロトコールによる臨床試験を継続した。(4)巨核球減少性血小板減少症における免疫病態マーカー検出の意義を示した。(5)ファンコニ貧血の分子病態解析を進めた。(6)慢性赤芽球癆に関する全国調査を実施し、悪性リンパ腫に合併したPRCAの特徴を明らかにした。
2.溶血性貧血: 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)については、新規治療薬エクリズマブの治験データを調査し、PNHの溶血に対して極めて有効な薬剤であることを確認した。自己免疫性溶血性貧血では、クームス陰性例における治療前の赤血球結合IgG量測定の有用性を示した。
3.不応性貧血: (1)前方視的症例登録、セントラルレビュー、追跡調査研究を継続した。小児MDSについても疫学的特徴と予後の解析を行った。(2)MDS症例の日本・中国・ドイツにおける臨床像の比較を行った。(3)5q-症候群に対するlenalidomideの作用機序について検討した。(4)AML/Runx1分子がNF-κBシグナルを活性化し、MDS病態の進展に関与している可能性が示された。(5)WT1遺伝子発現制御メカニズムについて検討した。
4.骨髄線維症: 1999年から2008年の10年間に、432例の新規患者登録を得た。谷本らの分類とCervantesの分類で高リスク群、低リスク群を分けることが可能であり、予後予測分類として有用であることが判明した。
5.その他: 造血幹細胞移植について、慢性GVHDに関する新NIH基準をわが国の症例に当てはめ、その有用性を検討した。鉄過剰症については、体内の鉄動態を検討し、鉄キレート剤の効果を検証する臨床研究を開始した。
結論
特発性造血障害に関する調査研究が、広範囲に計画・実施され、大きな成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-12
更新日
-