ライソゾーム病(ファブリ病含む)に関する調査研究

文献情報

文献番号
200834008A
報告書区分
総括
研究課題名
ライソゾーム病(ファブリ病含む)に関する調査研究
課題番号
H19-難治・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
衛藤 義勝(東京慈恵会医科大学 ライソゾーム病寄付講座研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 義之(国際医療福祉大学大学院)
  • 芳野 信(久留米大学 医学部 小児科学)
  • 田中 あけみ(大阪市立大学大学院医学研究科 医学部 発達小児医学)
  • 島田 隆(日本医科大学 生化学・分子生物学)
  • 酒井 規夫(大阪大学大学院医学研究科 小児発達医学講座)
  • 高橋 勉(秋田大学 医学部 小児科学)
  • 高柳 正樹(千葉県こども病院 代謝科)
  • 大野 耕策(鳥取大学医学部 脳神経小児科学)
  • 辻 省次(東京大学大学院医学系研究科 医学部 神経内科学)
  • 難波 栄二(鳥取大学 生命機能研究支援センター)
  • 鈴木 康之(岐阜大学 医学部 医学教育開発研究センター)
  • 桜庭 均(明治薬科大学 分析化学教室)
  • 北川 照男(東京都予防医学協会 )
  • 奥山 虎之(国立成育医療センター 臨床検査部)
  • 坪井 一哉(名古屋セントラル病院 血液内科)
  • 松田 純子(東海大学 糖鎖科学研究所)
  • 加藤 俊一(東海大学医学部 基盤診療学系再生医療科学)
  • 遠藤 文夫(熊本大学大学院医学薬学研究部 小児科学)
  • 下澤 伸行(岐阜大学 生命科学総合研究支援センター)
  • 今中 常雄(富山大学大学院医学薬学研究部 分子細胞生物学)
  • 小林 博司(東京慈恵会医科大学 DNA医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の最終目的はLSD患者の予後、ADL、QOLの改善にあり、この目的のために現時点での臨床像を明らかにし、同時に病態を詳細に解析することで、新たな診断・治療法の開発につなげていく。
研究方法
I臨床像把握ではQOLスクリーニング実施、新生児スクリーニング方法開発、イソフラボン試験治療調査、ムコリピドーシス(ML)の自然歴、II病態解析ではMLの遺伝子解析、ゴーシェ病遺伝子とパーキンソン病の関連性、ニーマンピックA/Bでの蓄積脂質排泄刺激による評価、ペルオキシソーム膜形成の分子病態解析が為され、III.治療ではゴーシェ病への治療に向けNOVを経口投与した際の効果、AAV・レンチウイルスベクターを用いた遺伝子治療、造血幹細胞移植の全国移植施設へのアンケート調査を行い、移植方法および治療効果に関する解析を進めている。更にライソゾーム病疾患モデルマウス由来のiPS細胞樹立を試みた。
結果と考察
I-cell,ムコリピドーシスの自然歴、ムコ多糖症(MPS)の酵素補充患者のフォロー更に患者家族の意識調査を施行。MPSI、Pompe病スクリーニングは乾燥濾紙血液で患者群と正常群に有意な差を確認、ファブリー病でも同法で有意な差異が得られた。GBA遺伝子関連のパーキンソンの発症機序の解明、サポシンA/C/D欠損マウスの作製、ファブリー病バイオマーカーの測定法開発、MLの遺伝子解析がほぼ完了、ペルオキシソーム膜形成における因子Pex19p,Pex3pの相互作用の重要性を指摘。ゴーシェ病、βガラクトシダーゼ欠損症のシャペロン療法の開発進展、MLDに対する遺伝子治療ではAAVの各サブタイプベクターを作製しマウスでの評価法を確立、髄腔内注射の有効性検討と静脈内注射の問題点の検討、クラッベ病ではレンチウイルスの性能改善などの成果を挙げつつある。イソフラボン療法は1年の治験期間を終え臨床、生化学データを蓄積。造血幹細胞移植に関しては病初期に移植実施できたほど効果が高く、進行期の移植例は予後不良との結論を考察していく。更にiPS細胞研究はFabry病, Krabbe病, ムコ多糖症VII型のモデルマウスよりiPS細胞の樹立に成功している。
結論
 今回も引き続きライソゾーム疾患の臨床予後、QOLの改善を目指して様々な研究が行なわれた。酵素補充療法がいくつかのライソゾーム疾患で保険適応となり臨床面でも新しい展開を迎えつつある現在、ますます精力的な調査研究を進めていく必要があると思われる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-27
更新日
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