国民代表集団のコホート研究によるウィズ・コロナ時代の健康格差・健康寿命の規定要因の解明および健康調査のオンライン化の検討:NIPPON DATA80/90/2010

文献情報

文献番号
202109054A
報告書区分
総括
研究課題名
国民代表集団のコホート研究によるウィズ・コロナ時代の健康格差・健康寿命の規定要因の解明および健康調査のオンライン化の検討:NIPPON DATA80/90/2010
課題番号
21FA2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 克之(国立大学法人滋賀医科大学 社会医学講座公衆衛生学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 岡山 明(合同会社生活習慣病予防研究センター)
  • 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学教室)
  • 大久保 孝義(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
  • 奥田 奈賀子(人間総合科学大学 人間科学部 健康栄養学科)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部 健康社会医学講座)
  • 門田 文(滋賀医科大学 医学部)
  • 喜多 義邦(敦賀市立看護大学 看護学部)
  • 西 信雄(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター)
  • 早川 岳人(立命館大学 衣笠総合研究機構 地域健康社会学研究センター)
  • 由田 克士(大阪市立大学大学院 生活科学研究科 食・健康科学講座)
  • 渡邉 至(独立行政法人国立循環器病研究センター予防医療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 国民健康・栄養調査(循環器疾患基礎調査、国民栄養調査)受検者のコホート研究であるNIPPON DATAは1980、1990、2010年の調査参加者を対象とし、計約2万人、合計50万人年におよぶコホート研究である。全国から層化無作為抽出された地区で構成され、全ての都道府県・年齢層を網羅する国内唯一の調査である。本研究では、NIPPON DATAおよび既存の国民健康・栄養調査データを用いて以下7ワーキンググループにより多角的に検討し、ウィズ・コロナ時代の健康格差と健康寿命の規定要因を解明すると共に、デジタル化時代における今後の各種健康調査・追跡調査のオンライン化の可能性について提言する。
研究方法
① 過去約25年間の国民健康・栄養調査データをパネル分析し、ハードエンドポイントからみた健康格差の推移と関連要因を明らかにする。
② NIPPON DATA2010追跡にて、COVID-19蔓延前後の肥満度、身体活動量、食習慣などの生活習慣や危険因子の変化や日常生活動作(ADL)および生活習慣病発症への影響を解明する。
③ NIPPON DATA2010追跡にてオンライン調査の実施可能性を検証する。
④ 平成30年および令和元年の国民健康・栄養調査データを用いて、令和元年に採用された電子圧力柱血圧計による血圧測定値の補正式等を検証し、従来測定法との比較可能性を検証する。
⑤ NIPPON DATA2010の10年追跡情報を確定し(発症調査結果や人口動態データとの突合)解析を進め、最新の国民の社会的要因・生活習慣・危険因子と、心不全、心房細動を含む生活習慣病発症リスクとの関連を明らかにする。引き続き11-13年目の追跡調査を行い、追跡期間を延長する。
⑥ NIPPON DATA90の30年追跡の実施とデータ作成(人口動態データとの突合)を行い、30年追跡死亡リスク・健康寿命の関連要因を解明する。
⑦ NIPPON DATA2010で尿ナトリウム、カリウム排泄、ナトリウム/カリウム比の2010年から2020年までの10年間の変化とその関連要因を解明する。
結果と考察
 本年度の成果として、①では、平均寿命に関連する生活習慣の要因を明らかにし、生活習慣を地域レベルで改善する必要性を示唆した。②では、コロナ渦中における体重増減と関連する要因(身体活動、間食、野菜摂取、アルコール摂取)を明らかにした。③では、既存のオンライン調査の実例を参考に試案を作成し、オンライン調査に関する費用および課題点の整理を行った。④では、令和元年度国民健康・栄養調査実施保健所に対する質問調査案を作成した。⑤では、令和3年度の第11回追跡調査を行うとともに、第10回追跡調査の脳卒中・心筋梗塞・心不全・糖尿病発症者についての医療機関二次調査を実施し、追跡データベースの整備を進めた。また、身体不活動およびテレビ視聴時間と社会経済状況との関連を論文公表した。⑥では、NIPPON DATA90対象者の30年目の生死を確認した。また、循環器疾患死亡と安静時心拍数・血清アルブミン、追跡期間による冠動脈疾患危険因子の変化、高次生活機能と全死亡、非空腹時TG値と循環器疾患死亡、下肢骨折の危険因子を論文公表した。⑦では、尿中NaおよびKと関連する食品群摂取状況を明らかにし、ベースライン時と10年後の尿中Na/K比および推定食塩摂取量とカリウム摂取量の推移を観察した。
 本研究はCOVID-19渦中に開始した。それにより大きく変わってきた国民の生活様式に応じて、NIPPON DATA2010のオンライン化の検討は非常に重要な課題である。NIPPON DATA2010は追跡率90%を超える全都道府県・年齢層を網羅した調査として日本国民代表性の高い調査である。NIPPON DATA80/90にはなかった発症イベントも含めた10年追跡コホートは貴重なデータである。また、NIPPON DATA90の30年に及ぶ追跡コホートは世界的にも稀有である。尿中ナトカリ比の推移分析や電子圧力柱血圧計変更による調整法なども含めたNIPPON DATAの成果から、健康日本21(第二次)最終評価や各種ガイドラインおよび政策に活用し得るエビデンス構築を進める予定である。
結論
 COVID-19による国民の生活習慣の変化、パネル分析やNIPPON DATA80/90/2010より成果発表を行った。また、次年度のオンライン調査や追跡コホートデータ作成等に向けた準備を進めた。引き続き追跡調査、分析を続け、わが国の健康増進と現代社会に応じた生活習慣病予防対策立案のためのエビデンスの充実を図る。

公開日・更新日

公開日
2023-08-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-08-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202109054Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,000,000円
(2)補助金確定額
26,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,350,028円
人件費・謝金 14,480,619円
旅費 11,700円
その他 6,157,653円
間接経費 1,000,000円
合計 26,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-01-20
更新日
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