神経・筋疾患のRNAiを用いた画期的治療法の開発

文献情報

文献番号
200833069A
報告書区分
総括
研究課題名
神経・筋疾患のRNAiを用いた画期的治療法の開発
課題番号
H20-こころ・一般-019
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(東京医科歯科大学大学院歯学総合研究科 脳神経病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 横田 隆徳(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 脳神経病態学分野)
  • 木村 展之(医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、アルツハイマー病などの神経変性疾患や脳血管障害、多発性硬化症、ウイルス感染症などに対するsiRNAを用いた画期的治療法の開発を推進する。


研究方法
対象疾患に対する特異的siRNAを設計し培養細胞にてその効果を評価するとともに、ベクターとデリバリーの改良を進め動物モデルの治療を目指す。また、様々な副作用を検証しそれを克服しつつ臨床応用へ近づける。

結果と考察
肝臓での変異トランスサイレチン(TTR)が末梢神経等に沈着して発症する家族性アミロイド多発ニューロパチー(FAP)の治療を目的に、AAV8をベクターとしてFAPモデルマウスとヒト肝細胞キメラマウスに静注し、変異TTRを長期に抑制することに成功した。また、shRNAがmicroRNAとの競合により肝毒性をきたす副作用については、shRNA発現量の調節により回避出来ることを明らかにした。さらに、ALSの遺伝子治療開発の基礎研究として、高齢カニクイザル脳におけるTDP-43の病理変化を明らかにした。
結論
血液脳関門のない肝での変異TTR治療にて治癒可能であるFAPについて、同じ遺伝子変異を持つマウスモデルとヒト肝細胞を持つキメラマウスにおいて、標的遺伝子の発現を抑制できたことは、ヒトへの臨床応用に向けて大きな進歩である。また、shRNAの副作用のメカニズムの一端とその回避策を示したことも大きな意義を持つ。これらは、siRNAによる遺伝子治療研究に大きな貢献であり、さらなる発展が期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-05-25
更新日
-