ニューロパチーの病態解明に関する研究

文献情報

文献番号
200833064A
報告書区分
総括
研究課題名
ニューロパチーの病態解明に関する研究
課題番号
H20-こころ・一般-014
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
高嶋 博(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 有村 公良(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 田中 章景(名古屋大学大学院医学系研究科、神経内科学)
  • 滋賀 健介(京都府立医科大学、神経・筋疾患)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々が開発した遺伝性ニューロパチー診断DNAマイクロアレイチップを用いて、遺伝性ニューロパチーの診断、分子疫学の調査、解析および新規原因遺伝子の同定を目指す。遺伝性、免疫性、薬剤性、代謝性ニューロパチーの病態につき検討する。
研究方法
インフォームド・コンセントを得た遺伝性ニューロパチー CMT1, CMT2, DSS Giant axonal neuropathy や小脳失調症など特徴的な症状を持つもの(SCAN1, AOA1, AOA2)、2.薬剤性ニューロパチー、3.免疫性ニューロパチー(CIDP、AASNなど)、4.代謝性ニューロパチー患者について遺伝学的検討を行う。
実験は、ヒトDNAを検体として、PCRで増幅し、作成した遺伝子診断チップと反応させ、遺伝子診断DNAアレイシステムで解析する。また、臨床的解析も行う。本研究は各大学ヒトゲノム使用研究に関する倫理委員会で承認された。
結果と考察
CMT診断アレイ実験は、PCRのステップの最適化が行われ、2日で8アレイまで施行可能となっている。現在まで180例(コントロール36名含む)のアレイ実験が行われ、CMT症例では、PRX, MFN2, MPZ, GJB1, DNM2などに、AOA2例では、SETXに病的異常が確認された。SETX異常のAOA2については、詳しい臨床病態が報告された。
免疫性ニューロパチーの研究では、急性自律性感覚性ニューロパチー(AASN)について、抗ganglionic acetylcholine receptor抗体との関連はなく、autonomic ganglinopathyとは、異なる病態であることが報告された。我々は、Charcot-Marie-Tooth病患者会から研究発展の要望を受け、その患者、家族、医療の社会的な負担は莫大であり、本研究は、その根本的または重要な原因を同定し、治療の基礎的データの構築を目ざすもので、国民のニーズにも合致するものと考えられる。
我々のマイクロアレイチップによる遺伝子解析は、遺伝子異常を調べるコストと時間を飛躍的に縮小させ、患者1例あたりのスクリーニングの費用は従来の方法では140万円かかるものを、約7万円にまで20分の1に軽減できた。データの質も良く、今後の症例の蓄積により、遺伝子新診断の速度と精度が改善させるものと思われる。また、新規の候補遺伝子についても、変異が見つかっており、今後、新規のCMTの原因の確立が期待される。

結論
Charcot-Marie-Tooth病の診断DNA Chip チップは、遺伝子診断に極めて有用であり、今後の発展が期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-05-25
更新日
-