オンライン特定保健指導・オンライン診療におけるPHR活用による行動変容に関する研究

文献情報

文献番号
202109023A
報告書区分
総括
研究課題名
オンライン特定保健指導・オンライン診療におけるPHR活用による行動変容に関する研究
課題番号
20FA1007
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
米田 隆(国立大学法人金沢大学 融合研究域融合科学系)
研究分担者(所属機関)
  • 稲津 明広(金沢大学 保健学系)
  • 村山 敏典(金沢大学附属病院 臨床開発部)
  • 野村 章洋(金沢大学 附属病院 先端医療開発センター)
  • 古川 健治(北陸先端科学技術大学院大学 保健管理センター)
  • 米田 貢(金沢大学 医薬保健研究域保健学系)
  • 高村 禅(北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科)
  • 出村 昌史(金沢大学 医学系)
  • 唐島 成宙(金沢大学 国際基幹教育院(GS系))
  • 米谷 充弘(国立大学法人 金沢大学 附属病院)
  • 南保 英孝(金沢大学 理工学域)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、健康・医療政策をデジタルトランスフォーメーション推進という観点から、マイナポータルと民間PHRをAPI連携し、オンライン特定保健指導、オンライン診療の場でPHR活用の長期有用性評価を行い、デジタルヘルス改革を行う。民間PHRアプリを用いて、マイナポータルから得られる健診・検診データをいかに効果的に表示・提供するか、その利活用による個人の行動変容に関するエビデンスの確立を目的とする。
研究方法
民間PHRアプリを用いて、ライフログと保健医療情報を効果的に明示するPHRアプリを用いた臨床研究を実施する。
① 特定保健指導実施者ならびに健康上問題のある方々に対するPHRの長期の有用性の検討:
研究概要:保健指導対象者の行動変容を検証する2018~2019年度AMED IoT等活用行動変容研究事業「生活習慣病に対するオンライン保健指導サービスと行動変容への検証研究」のデータ・研究フィールドを活用・発展させ、マイナポータル健診データと民間アプリの組み合わせ活用による長期有効性を検証する。加えて、通常健診での単純肥満、運動不足、フレイル・サルコペニア等の方々も対象とする。アプリ介入ではAIキャラクターが、自動メールで、「マイナポータル健診データを閲覧」を促すように設定、健診データを基に行動目標等を決め、行動変容機能で、被検者の行動を評価する。
②  オンライン診療を用いた生活習慣病診療におけるPHRの有用性の検討
研究概要:オンライン糖尿病診療で、マイナポータル健診データと民間アプリの組み合わせ活用の有用性を、従来診療群とランダム化比較試験(RCT)で評価する。現在、通常診療でのPHRアプリを導入RCT研究が、2018年に開始、50例の症例登録済み、これを継続、発展、終了し、「オンライン診療におけるPHRアプリの有用性の検討」との比較データとする。オンライン診療研究(図5)では、新規に血糖管理+マイナポータル閲覧奨励追加アプリを用い、3か月毎の対面診療、その間の1か月毎のオンライン診療を組み込む。介入群では、民間アプリのAIキャラクターが、定期的に「マイナポータル健診データの閲覧」を促し、診察時は、医師(ヒト)が、マイナポータル健診経年データを活用し指導する。(オンライン診療時は、血圧、体重、運動、食事、睡眠等データのみだが、対面診療時は、血糖、HbA1C、脂質値等生化学データも用いる。)
結果と考察
① マイナポータルのよる健診データ閲覧可能時期予定が、10月まで遅れることに対応し、マイナポータル機能の代替え可能な健診データを扱う民間アプリ『パシャっとカルテ』を用いることとし研究の遅れを回避した。
健診データ閲覧頻度に関するアンケート調査を被検者1145名に行い解析した。被検者は月1回程度の閲覧が半数、週1回程度の閲覧が1/4の人々が有効と考えていた。アンケートは、健診対象者だけでなく、②の研究にも関連して、医師側の健診データに関する意識調査も行った。対象は金沢医師会に所属する184施設206名の医師で、望ましい介入頻度は、月1回程度(45%)と週1回程度(36%)であった。いわゆる実際のデータ閲覧は月1回としても、PHRによるリマインド頻度は週1回であるのがよいのではと考えられた。
② マイナポータルのよる健診データ閲覧可能時期予定が、10月まで遅れることに対応し、研究内容を一部変更した。PHR使用しなくても実際の診療(オンライン診療も含む)で家庭での健診データ(紙ベースの結果の閲覧と受診時の採血データ(紙ベース)の閲覧を促がすことによる食事ならびに運動に対する行動変容ヘの影響と体重,血圧、臨床データへの影響を調査した研究自体がなく、PHRによる介入デザインを決めるために行った。対象(118名、33名はオンライン診療、糖尿病患者42名を含む)紙ベースのデータ閲覧でも診療が行え、効果的に行動の変化を起こすことができた。オンライン診療ではさらにスムーズ診療が可能でその効果も有用であった。結果としては、週1回程度のデータ閲覧が上記①の結果もあわせ有用であると判明した。昨年度に作成済みであったオンライン診療での研究プロトコルを修正し、倫理審査委員会(令和3年10月)、承認、研究開始した。
結論
2020年度はコロナ禍、それに伴うDxの早急化等どの政策方針の変更などもあり、研究計画の一部変更ならびに実施の遅れもあり、マイナポータルの開始も2021年10月と遅れたが、臨機応変に対応し、週1回程度のデータ閲覧が行動変容に有用と判明、それに基づき、2021年に研究が開始、特定保健指導実施者ならびに健康上問題のある方々に対するPHRの長期の有用性とオンライン診療を用いた生活習慣病診療におけるPHRの有用性の研究が進行中である。

公開日・更新日

公開日
2022-11-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-11-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202109023Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
8,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 553,733円
人件費・謝金 3,892,916円
旅費 0円
その他 1,707,351円
間接経費 1,846,000円
合計 8,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-11-30
更新日
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