文献情報
文献番号
202109019A
報告書区分
総括
研究課題名
喫煙、飲酒等生活習慣の実態把握及び生活習慣の改善に向けた研究
課題番号
20FA1003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
尾崎 米厚(鳥取大学 医学部 社会医学講座 環境予防医学分野)
研究分担者(所属機関)
- 兼板 佳孝(日本大学 医学部 社会医学系公衆衛生学分野)
- 神田 秀幸(岡山大学 学術研究院医歯薬学域)
- 樋口 進(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 臨床研究部)
- 井谷 修(日本大学医学部 社会医学系公衆衛生学分野)
- 地家 真紀(池田 真紀)(昭和女子大学生活科学部食安全マネジメント学科)
- 大塚 雄一郎(日本大学医学部社会医学系公衆衛生学)
- 吉本 尚(筑波大学 医学医療系)
- 金城 文(田原 文)(鳥取大学 医学部 社会医学講座 環境予防医学分野)
- 真栄里 仁(独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター教育情報部)
- 美濃部 るり子(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター)
- 桑原 祐樹(鳥取大学医学部環境予防医学分野)
- 春日 秀朗(福島県立医科大学 衛生学・予防医学講座)
- 伊藤 央奈(高橋 央奈)(郡山女子大学 家政学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
健康日本21(第2次)計画の評価のために、わが国の中高生の喫煙及び飲酒行動の実態を明らかにすることが必須である。新型たばこ(加熱式たばこや電子たばこ)、ノンアルコール飲料、ビンジ(機会大量)飲酒、アルコールをエナジードリンクで割って飲むこと等の新たな実態を把握するために、全国から中学校、高等学校を無作為抽出して調査を実施した。
近年、女性の飲酒が相対的に問題となっている。本研究では、男性と異なる女性の多量飲酒が成立する経過や飲酒行動の特徴を明らかにするために、多量飲酒をする女性へのインタビュー調査を実施した。
近年、女性の飲酒が相対的に問題となっている。本研究では、男性と異なる女性の多量飲酒が成立する経過や飲酒行動の特徴を明らかにするために、多量飲酒をする女性へのインタビュー調査を実施した。
研究方法
2021年度は従来の学校の教室内で紙に印刷した無記名調査票に記入してもらう形式と学校内でウエブ調査に回答してもらう形式を無作為に割り付けて実施した。調査はウェブ回答方式と紙回答方式を併用して実施した。協力が得られたのは、中学校18校(回答率19.8%)、高等学校17校(回答率27.4%)、合計35校(回答率22.9%)であった。従来の全国調査よりも回答率は低かった。
多量飲酒を行い女性の飲酒行動の特徴と成立過程に関するインタビュー調査をスノーボールサンプリング法で対象者を選んで実施した。聴取した情報をまとめ、質的研究方法を用いて、共通的特徴を整理した。
多量飲酒を行い女性の飲酒行動の特徴と成立過程に関するインタビュー調査をスノーボールサンプリング法で対象者を選んで実施した。聴取した情報をまとめ、質的研究方法を用いて、共通的特徴を整理した。
結果と考察
本調査の回答者において、学年調整をした飲酒経験者率は、中学8.5%、高校15.8%、月飲酒者率は、中学1.6%、高校2.9%であった。紙巻タバコ喫煙経験者率は中学1.9%、高校2.7%、紙巻タバコ月喫煙者率は中学で0.2%、高校で0.7%であった。加熱式タバコの経験者率は、中学0.9%、高校1.4%、加熱式タバコ月喫煙者率は中学0.3%、高校0.5%であった。電子タバコ経験者率は、中学0.9%、高校1.5%、電子タバコ月喫煙者率は中学0.3%、高校0.5%であった。タバコは女子より男子で使用経験、月喫煙率が高かった。使用経験は、紙巻タバコ>加熱式タバコ≒電子タバコの順であったが、月使用は、紙巻タバコ<加熱式タバコ≒電子タバコであった。飲酒頻度、喫煙頻度共に、2017年調査と比較して低い値であった。新型コロナウイルス感染症対策による休校で良かった影響としては、「趣味や楽しみに時間が使えて良かった」、「睡眠がとれた」と回答した者が多かった。逆に悪い影響としては、「運動不足になった」、「ゲームやインターネットの時間が長くなった」、「睡眠時間がおかしくなった(短い、長い、昼夜逆転など)」と回答した者が多かった。
女性の多量飲酒につながる要因を明らかにする目的で面接調査を行い、現在の飲酒行動の特徴、現在の飲酒行動に至る経緯について尋ねた。調査時の飲酒量が純アルコール換算140ℊ以上で、かつ医療機関でアルコール依存症と診断されていない女性30名を本分析の対象とした。飲酒または多量飲酒につながる6つの要因に要約した。「飲酒・酩酊が目的」、「手段的飲酒」、「ライフイベント・生活の変化」、「ストレス」、「環境要因」、「習慣的」の6つを抽出した。ライフイベントやストレス、手段的飲酒など本研究で抽出された要因と共通する項目も多く、それらの重要性が確認できた。 “車を運転しない生活”、“一人暮らし”、“自由”、“空き時間の増加”などの生活の変化や、“家族が飲酒に肯定的“、 “安価・大量に入手可能“、“外食・飲み放題だと止まらない“などは本研究に特徴的な項目であった。
女性の多量飲酒につながる要因を明らかにする目的で面接調査を行い、現在の飲酒行動の特徴、現在の飲酒行動に至る経緯について尋ねた。調査時の飲酒量が純アルコール換算140ℊ以上で、かつ医療機関でアルコール依存症と診断されていない女性30名を本分析の対象とした。飲酒または多量飲酒につながる6つの要因に要約した。「飲酒・酩酊が目的」、「手段的飲酒」、「ライフイベント・生活の変化」、「ストレス」、「環境要因」、「習慣的」の6つを抽出した。ライフイベントやストレス、手段的飲酒など本研究で抽出された要因と共通する項目も多く、それらの重要性が確認できた。 “車を運転しない生活”、“一人暮らし”、“自由”、“空き時間の増加”などの生活の変化や、“家族が飲酒に肯定的“、 “安価・大量に入手可能“、“外食・飲み放題だと止まらない“などは本研究に特徴的な項目であった。
結論
中高生の喫煙、飲酒等生活習慣に関する全国調査では、ウエブ回答方式と紙回答方式を併用し、2021年度における、中高生の喫煙率、飲酒率、喫煙、飲酒、睡眠、その他の生活習慣の実態、新型コロナウイルス感染症対策による影響に関する全国調査を実施した。学校回答率が低く、今回得られた飲酒率や喫煙率については、同じ中高生の中でも比較的飲酒率や喫煙率の低い集団におこなった結果であると解釈する必要がある。一方、飲酒者や喫煙者の飲酒行動や喫煙行動については、わが国の中高生の飲酒実態を把握することのできる範囲の調査であり、中高生の飲酒・喫煙対策について、必要な対策が浮かび上がった。コロナ後の調査環境も考慮にいれ、これからの調査方法の工夫の検討が必要である。
わが国の女性の飲酒行動に関するインタビュー調査では、多量飲酒のある女性にインタビュー調査を行い、女性の多量飲酒につながる要因として、「飲酒・酩酊が目的」、「手段的飲酒」、「ライフイベント・生活の変化」、「ストレス」、「環境要因」、「習慣的」の6つを抽出した。令和4年度は、女性の飲酒に関するウエブ全国調査を行い、個人的要因やアルコールへのアクセスについて量的に分析し、女性の問題飲酒を防止するための方策を提言する。
わが国の女性の飲酒行動に関するインタビュー調査では、多量飲酒のある女性にインタビュー調査を行い、女性の多量飲酒につながる要因として、「飲酒・酩酊が目的」、「手段的飲酒」、「ライフイベント・生活の変化」、「ストレス」、「環境要因」、「習慣的」の6つを抽出した。令和4年度は、女性の飲酒に関するウエブ全国調査を行い、個人的要因やアルコールへのアクセスについて量的に分析し、女性の問題飲酒を防止するための方策を提言する。
公開日・更新日
公開日
2023-03-02
更新日
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