文献情報
文献番号
202109018A
報告書区分
総括
研究課題名
生涯にわたる循環器疾患の個人リスクおよび集団リスクの評価ツールの開発及び臨床応用のための研究
課題番号
20FA1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
村上 義孝(東邦大学 医学部医学科社会医学講座医療統計学分野)
研究分担者(所属機関)
- 岡村 智教(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
- 二宮 利治(九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野)
- 大久保 孝義(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
- 磯 博康(大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学講座公衆衛生学)
- 玉腰 暁子(北海道大学大学院医学研究院 社会医学分野公衆衛生学教室)
- 小久保 喜弘(国立循環器病センター健診部)
- 三浦 克之(国立大学法人滋賀医科大学NCD疫学研究センター予防医学部門)
- 大西 浩文(札幌医科大学医学部公衆衛生学講座)
- 辻 一郎(東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
- 櫻井 勝(金沢医科大学医学部衛生学)
- 山田 美智子(公益財団法人放射線影響研究所臨床研究部)
- 坂田 清美(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
- 木山 昌彦(大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター)
- 石川 鎮清(自治医科大学医学部医学教育センター)
- 八谷 寛(名古屋大学大学院医学系研究科国際保健医療学・公衆衛生学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
12,150,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高血圧や脂質異常症、喫煙、糖尿病などのリスク因子は個人の循環器疾患の発症に影響を与えるが、ベースライン時の測定値による発症リスク等の予測能やリスク因子の経時的変動の影響や予測可能な年数など、現時点で結論がでていない課題も多い。今回、わが国の循環器疫学を中心とするコホート統合研究であるEPOCH-JAPAN(Evidence for Cardiovascular Prevention From Observational Cohorts in Japan)により、循環器疾患の生涯にわたるリスクを対象に、危険因子の変動や予測可能期間の影響の検討と、より精緻な予測可能なツールの開発を目的とした研究を企画した。
研究方法
集団のリスク因子のもつ長期予測能をふまえた、循環器疾患等の発症危険度を予測するリスク評価ツール開発については、個人における経時的なリスク因子の変動を考慮した解析を実施した。また21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次))の目標設定に関する検討をEPOCH-JAPAN循環器死亡データベースを用い実施した。リスク評価モデルに関連した統合データ解析を実施し、研究成果を公表した。また個々のコホートの追跡調査の継続とエビデンス公表についても実施した。
結果と考察
2年目の本年は、(1) 個人における経時的なリスク因子の変動を考慮した解析、(2) 21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次))の目標設定に関する検討、(3) リスク評価モデルに関連した統合データ解析、(4) 個々のコホートの追跡期間延長と新規コホートの追跡調査、の4つの研究テーマを実施した。
その結果、(1) 個人における経時的なリスク因子の変動を考慮した解析では収縮期血圧やHbA1cの薬剤治療なしのグループでは単年値を用いたハザード比が、5年平均や5年最大値を用いたハザード比よりも高い傾向が示され、この傾向は疾患種別によらなかった。また経時データのバラツキ(標準偏差)の検討では、収縮期・拡張期血圧ともに治療なしのグループで5年間の血圧平均値を調整してもその影響は有意であった。(2) 21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次))の目標設定に関する検討では、収縮期血圧の集団平均値の低下が2 mmHgで循環器疾患死亡の減少数・割合(%)は6414人(2.5%)、5 mmHgで循環器疾患死亡の減少数・割合(%)が15352人(6.0%)と予想され、国民全体の血圧減少が循環器疾患死亡数に及ぼす影響が示された。 (3) リスク評価モデルに関連した統合データ解析では、生涯にわたる循環器疾患の個人リスクおよび集団のリスク評価ツールの開発で必要となるテーマに関し、統合データベースを活用し、研究成果をまとめた。(4) 個々のコホートの追跡期間延長と新規コホートの追跡調査では、個々のコホート研究から数多くの論文が公表され、統合研究・個別研究で総計90本の論文が学術雑誌に掲載された。なお本研究の本年度の研究成果(公表論文)は資料に一覧表としてまとめた(著作権が出版社にあるものが多いため、リストのみ提示し論文本体はつけていない)。
その結果、(1) 個人における経時的なリスク因子の変動を考慮した解析では収縮期血圧やHbA1cの薬剤治療なしのグループでは単年値を用いたハザード比が、5年平均や5年最大値を用いたハザード比よりも高い傾向が示され、この傾向は疾患種別によらなかった。また経時データのバラツキ(標準偏差)の検討では、収縮期・拡張期血圧ともに治療なしのグループで5年間の血圧平均値を調整してもその影響は有意であった。(2) 21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次))の目標設定に関する検討では、収縮期血圧の集団平均値の低下が2 mmHgで循環器疾患死亡の減少数・割合(%)は6414人(2.5%)、5 mmHgで循環器疾患死亡の減少数・割合(%)が15352人(6.0%)と予想され、国民全体の血圧減少が循環器疾患死亡数に及ぼす影響が示された。 (3) リスク評価モデルに関連した統合データ解析では、生涯にわたる循環器疾患の個人リスクおよび集団のリスク評価ツールの開発で必要となるテーマに関し、統合データベースを活用し、研究成果をまとめた。(4) 個々のコホートの追跡期間延長と新規コホートの追跡調査では、個々のコホート研究から数多くの論文が公表され、統合研究・個別研究で総計90本の論文が学術雑誌に掲載された。なお本研究の本年度の研究成果(公表論文)は資料に一覧表としてまとめた(著作権が出版社にあるものが多いため、リストのみ提示し論文本体はつけていない)。
結論
研究班での検討の結果、本年は(1) 個人における経時的なリスク因子の変動を考慮した解析、(2) 21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次))の目標設定に関する検討、(3) リスク評価モデルに関連した統合データ解析、(4) 個々のコホートの追跡期間延長と新規コホートの追跡調査、の4つの研究テーマが実施され、個々の研究発信がなされた。
公開日・更新日
公開日
2023-03-03
更新日
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