国内外の精神科医療における疾病分類に関する研究

文献情報

文献番号
200833057A
報告書区分
総括
研究課題名
国内外の精神科医療における疾病分類に関する研究
課題番号
H20-こころ・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
飯森 眞喜雄(東京医科大学 精神医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 丸田 敏雅(東京医科大学 精神医学講座)
  • 染矢 俊幸(新潟大学 医学部 )
  • 中根 秀之(長崎大学 医学部)
  • 針間 博彦(都立松沢病院)
  • 新井 平伊(順天堂大学 医学部)
  • 大久保 善朗(日本医科大学 医学部)
  • 三國 雅彦(群馬大学 医学部)
  • 小澤 寛樹(長崎大学 医学部)
  • 大野 裕(慶応義塾大学 保健管理センター)
  • 青木 省三(川崎医科大学 児童・思春期精神医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1989年に国際疾病分類第10版 (ICD-10) が作成され、既に18年が経過した現在、WHOは平成19年4月からICD-11に向けて改訂作業を進めている。現行のICD-10はWHOが保健医療統計分野において国際比較可能性向上のために定めた統計分類であり、我が国の死因及び統計分類にも用いられている。しかし特に「精神と行動の障害」に関しては、現在の医学水準や医療の進歩および我が国における状況が必ずしも反映されておらず、様々な問題点が指摘されている。よって、本研究ではICD-10の「精神と行動の障害」の問題点を抽出分析し、ICD-11へ我が国の意見を反映できるような提言を作成し、ICD-11がより我が国の臨床業務、研究及び精神保健行政を行う上で有益になるような対応ができるような成果を得ることを目的とする。
研究方法
① WHO本部からの情報収集および調整.WHOおよび各国の動向を把握するため、本研究員らは様々な国際会議への出席している。またこれには我が国におけるICD-11に向けた取り組みをアピールする狙いもある。
② 各カテゴリーの診断分類や診断基準に対する専門家の提言.ICDにおけるF0から9の各カテゴリーにつき本研究員を専門性によって配置し、さらに研究協力者を募った上で、有識者会議により問題点の明確化にあたる。
③ ウェブサイトによる幅広い意見の吸い上げ.本研究では専用のウェブサイトを開設し、精神医療に関わる様々な方面から幅広くICD-10 に関する問題点を取り上げる。なお、ウェブサイトは、ICD-10全体や各診断カテゴリーに関しての問題点や改正点を記入し送信できるように設計されている。
結果と考察
主な結果としては以下の通りである。まずICD-11に向けて提案された5大分類について、日本における精神科医は概ね好意的に受け止めている;司法精神医学においては、ICD-10による操作的診断基準が適用されず、伝統的な診断名が用いられるケースがいまだに見られる;現在までの医学研究により病因が解明されつつある障害に関して、呼称の見直しが必要と思われる診断名がF0に多く見られる;統合失調症における緊張病症状は、統合失調症の一亜型とみなすのでなく独立した診断名が妥当な可能性がある;うつにおいて、反応性のものと非反応性のものを区別する必要性がある、等である。
結論
本研究おいて、現在の医学水準、医療の進歩、および日本の現状に照らし合わせ、問題となる点が多数指摘された。今後WHOおよび諸外国の動向を見据え、より的確な現状の把握と問題点の掘り下げを行っていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-11
更新日
-