健康増進に向けた住宅環境整備のための研究

文献情報

文献番号
202109017A
報告書区分
総括
研究課題名
健康増進に向けた住宅環境整備のための研究
課題番号
20FA1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
林 基哉(北海道大学 大学院工学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 佐伯 圭吾(奈良県立医科大学 医学部 疫学・予防医学講座)
  • 杉山 大典(慶應義塾大学看護医療学部)
  • 池田 敦子(荒木 敦子)(北海道大学 大学院保健科学研究院)
  • 長谷川 兼一(秋田県立大学 システム科学技術学部)
  • 森 太郎(北海道大学 工学研究院)
  • 桑沢 保夫(建築研究所 環境研究グループ)
  • 東 賢一(近畿大学医学部環境医学・行動科学教室)
  • 阪東 美智子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 開原 典子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 金 勲(キム フン)(国立保健医療科学院 生活環境研究部 建築・施設管理研究領域)
  • 小林 健一(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、既往の特別研究の成果に基づいて、健康住宅に求められる条件を整理し、健康住宅のガイドライン作成のための基礎資料を得るとともに、住宅環境改善の健康状態に対する効果の検証を行うことを目的としている。
研究方法
 令和2~3年度に、住宅環境に係る健康影響に関するエビデンスの収集・整理を行い、住宅環境の実態と健康影響レベルの想定に関する分析方法を確立する。令和2~4年度に、住宅環境の実態を踏まえた健康リスクの想定を行うとともに、令和3~4年度に、省エネルギー住宅の普及などの動向を踏まえて、住宅環境の改善にともなう健康状態の改善に関する推定と検証を行う。
 居住に係る健康エビデンスの収集・整理(R2~R3)では、住宅環境と健康影響・健康増進に関する最新情報を収集してガイドラインに向けて整理する。住宅環境の実態と健康影響の分析(R2~R4)では、総務省統計局住宅・土地統計調査、省エネ住宅普及率を用いた住宅性能の実態の整理、アメダス気象データ、人口動態統計、家計調査を用いた気象と死亡率の関係の分析、室温の死亡率上昇閾値の推計:既存データとコホートデータリンケージによる分析、化学物質及びダンプネスによる健康リスクの実態の調査を行う。住宅環境改善の健康状態に関する効果の検証(R3~R4)では、研究1、研究2を踏まえて、住宅環境の改善による健康増進効果の可能性を明らかにする。
結果と考察
 令和2年度までに、健康維持増進住宅研究から、空気質、温熱環境、コミュニティと健康との関連性、屋外環境の影響を金額へ換算する手法、スマートウエルネス住宅研究からは、断熱改修前後における居住者の血圧や活動量の変化と健康影響評価に関する知見を得た。文献調査からは、WHO健康と住宅のガイドラインと関連情報、騒音による循環器疾患への影響に関する知見が得られた。また、気象データと人口動態統計を用いた死亡の季節依存性、コホート研究による死亡率の外気温閾値の推定、化学物質及びダンプネスによる健康リスクの実態分析によって、住環境改善による健康リスク低減を示す基礎を得た構。さらに、1990年時点の断熱等級別の住宅ストックをベースに断熱等級別の着工戸数を積み上げる方法により、健康影響抑制の将来推計方法の基礎を構築した。
 令和3年度には、我国の健康維持増進住宅研究の成果から、社会経済要因・健康志向行動・室温の関連構造に関する知見が得られ、海外の動向に関する調査からは、空気環境、温熱環境と生活習慣病との関連性が注目された。うつ病発症と日照度の関連、SVOC、エンドトキシン、温熱環境特に低湿度環境と健康、居住リテラシーとCOVID-19 の影響に関する知見をまとめた。また、死亡率が上昇する室温閾値の推計、死亡の季節依存性に関する経時的分析、化学物質及びダンプネスによる健康リスク、ダストと子供のアレルギーの関係に関する調査を進めた。省エネルギー法の普及に伴う室内温熱環境の改善効果推定では、住宅の室内環境に大きな地域差が続くことが明らかになり、居住リテラシーと健康リスク低減に関する情報整理によって、居住者の健康増進を図るためには、居住リテラシーの醸成が必要であることが改めて確認された。
結論
 既往の研究、分析に基づいて、我国の気象、住宅の環境性能と居住リテラシーの実態と動向を踏まえて健康住宅のガイドラインに向けた取りまとめが可能となった。

公開日・更新日

公開日
2023-04-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-04-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202109017Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,000,000円
(2)補助金確定額
7,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,695,429円
人件費・謝金 1,458,356円
旅費 837,208円
その他 1,012,962円
間接経費 0円
合計 7,003,955円

備考

備考
自己資金3,955円

公開日・更新日

公開日
2023-02-17
更新日
-