文献情報
文献番号
202109016A
報告書区分
総括
研究課題名
特定給食施設等における適切な栄養管理業務の運営に関する研究
課題番号
19FA2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
市川 陽子(静岡県公立大学法人 静岡県立大学 食品栄養科学部 栄養生命科学科)
研究分担者(所属機関)
- 赤尾 正(大阪樟蔭女子大学 健康栄養学部)
- 宇田 淳(滋慶医療科学大学大学院 医療管理学研究科)
- 桑原 晶子(大阪公立大学 生活科学研究科)
- 神田 知子(同志社女子大学 生活科学部 )
- 高橋 孝子(大阪市立大学大学院 生活科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
16,078,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、特定給食施設等の適切かつ持続可能な栄養管理の推進と、効率的・効果的な給食管理業務の運営に向けて関与する多岐にわたる因子について調査等を行い、各種特定給食施設等において、より効率的・効果的な給食管理業務、栄養管理業務を推進するための方策を検討すること、また、医療の一環に位置づけられている医療施設の入院時の食事について、医療機関の給食部門で広く適用可能な新しい給食管理手法を検討することである。
研究方法
1) 保育所・認定こども園(2府3県の全施設対象)の給食管理業務に関する実態調査を行い概要をまとめ、栄養士の配置との関連を調べた。
2) 医療機能、病床規模、地域等を考慮した10施設を対象に、病院の給食管理業務に関するフォーカス・グループインタビュー(GI)を実施して課題を整理した。また、代表的な治療食における栄養基準量等の集約と適用に関する試案、食形態別使用食品の基準と適用の目安表の試案を作成した。さらに、令和元年度調査で治療食の最頻エネルギー区分であった200 kcal 幅について、実際の食事の栄養素等含有量を測定し、献立展開の妥当性を検証した。
3) セントラルキッチン(CK)およびサテライトキッチン(SK)の視察・インタビューを行い、これまでに視察したCKも含めて運営の現状をまとめた。
4) 生産管理方法の効率化として、朝食に調理済み食品を導入した9病院を対象にアッセンブリーシステムの経済効果を試算し、メリット・デメリットを検討した。また、老健で提供される刻み食の刻みサイズとその理由を調査した。
5) 老健で使用される冷凍食材について、栄養素等含有量を生食材と比較した。また、「お浸し」に使用した際の喫食率、労務費用を生使用時と比較した。
6) 医療機関において簡素化できる帳票類とその代替手段を、小規模アンケートを行って検討した。
7) 事業所給食を介した勤労者の栄養管理の状況を、「健康な食事・食環境(スマートミール:SM)」認証制度の審査書類、認証結果から分析した。
2) 医療機能、病床規模、地域等を考慮した10施設を対象に、病院の給食管理業務に関するフォーカス・グループインタビュー(GI)を実施して課題を整理した。また、代表的な治療食における栄養基準量等の集約と適用に関する試案、食形態別使用食品の基準と適用の目安表の試案を作成した。さらに、令和元年度調査で治療食の最頻エネルギー区分であった200 kcal 幅について、実際の食事の栄養素等含有量を測定し、献立展開の妥当性を検証した。
3) セントラルキッチン(CK)およびサテライトキッチン(SK)の視察・インタビューを行い、これまでに視察したCKも含めて運営の現状をまとめた。
4) 生産管理方法の効率化として、朝食に調理済み食品を導入した9病院を対象にアッセンブリーシステムの経済効果を試算し、メリット・デメリットを検討した。また、老健で提供される刻み食の刻みサイズとその理由を調査した。
5) 老健で使用される冷凍食材について、栄養素等含有量を生食材と比較した。また、「お浸し」に使用した際の喫食率、労務費用を生使用時と比較した。
6) 医療機関において簡素化できる帳票類とその代替手段を、小規模アンケートを行って検討した。
7) 事業所給食を介した勤労者の栄養管理の状況を、「健康な食事・食環境(スマートミール:SM)」認証制度の審査書類、認証結果から分析した。
結果と考察
1) 保育施設における栄養士の配置は、食育に関する指導や献立作成の面で効果的と考えられたが、給食の品質管理の面では配置の有無にかかわらず課題が多かった。今後は給食施設として管理栄養士・栄養士のスキル、専門性を活用した基準等が必要と考えられた。
2) 病院の給食管理業務に関するGIより、人員確保は朝・夕食が課題であり、クックサーブ採用施設においてはカット野菜、冷凍食品、完全調理済食品の有効活用が必須と考えられた。レディフード(RF)システムの導入、CK活用の適否は、地域、建物の竣工時期や面積、給食受託会社のノウハウによると推察された。献立展開、調理作業工程の最小化には、栄養士・管理栄養士の給食提供に関する実践的能力が重要であり、スキルのある病棟担当栄養士の配置が適切な栄養管理、個別対応に繋がると考えられた。今回、代表的な治療食における栄養基準量等の集約案、食形態別使用食品の適用に関する目安表を作成した。また、栄養素等成分分析の結果、治療食のエネルギー区分として200 kcal 刻みの栄養計画は、提供する食事に反映されており妥当と考えられた。
3) SKでは設備、人材・人員確保等の状況によりCKに求める内容が異なっていた。同一・系列法人で複数施設をもつ法人がCKを設置・稼働し、給食業務を集約している事例、1施設が単独で給食受託会社のCKを利用して給食業務の合理化を図る事例がみられた。各SK施設の状況、条件に合わせたCKの配食対応は、給食業務の効率化、労働力不足の解決に有効な手段と考えられた。
4) 病院でのアッセンブリー導入は食材費を上げるが、人件費削減効果の方がはるかに大きいことが示された。
5) 老健での冷凍野菜の使用は喫食率に影響せず、労務費の削減につながっていた。
6) 事務作業の軽減には、データの一元管理による重複回避、電子媒体での管理・保存等が考えられた。
7) 勤労者の健康の維持・増進に寄与する事業所給食の栄養管理の状況について、SMのオプション項目の認証数には、地域と管理栄養士の食堂配置が関与していた。
2) 病院の給食管理業務に関するGIより、人員確保は朝・夕食が課題であり、クックサーブ採用施設においてはカット野菜、冷凍食品、完全調理済食品の有効活用が必須と考えられた。レディフード(RF)システムの導入、CK活用の適否は、地域、建物の竣工時期や面積、給食受託会社のノウハウによると推察された。献立展開、調理作業工程の最小化には、栄養士・管理栄養士の給食提供に関する実践的能力が重要であり、スキルのある病棟担当栄養士の配置が適切な栄養管理、個別対応に繋がると考えられた。今回、代表的な治療食における栄養基準量等の集約案、食形態別使用食品の適用に関する目安表を作成した。また、栄養素等成分分析の結果、治療食のエネルギー区分として200 kcal 刻みの栄養計画は、提供する食事に反映されており妥当と考えられた。
3) SKでは設備、人材・人員確保等の状況によりCKに求める内容が異なっていた。同一・系列法人で複数施設をもつ法人がCKを設置・稼働し、給食業務を集約している事例、1施設が単独で給食受託会社のCKを利用して給食業務の合理化を図る事例がみられた。各SK施設の状況、条件に合わせたCKの配食対応は、給食業務の効率化、労働力不足の解決に有効な手段と考えられた。
4) 病院でのアッセンブリー導入は食材費を上げるが、人件費削減効果の方がはるかに大きいことが示された。
5) 老健での冷凍野菜の使用は喫食率に影響せず、労務費の削減につながっていた。
6) 事務作業の軽減には、データの一元管理による重複回避、電子媒体での管理・保存等が考えられた。
7) 勤労者の健康の維持・増進に寄与する事業所給食の栄養管理の状況について、SMのオプション項目の認証数には、地域と管理栄養士の食堂配置が関与していた。
結論
本研究により、1) 保育所・認定こども園における給食管理業務、事業所給食におけるSMを介した栄養管理の状況の把握、2) 病院の給食管理業務における課題の深掘り、3) 食事提供数や食種が比較的安定した医療機関等が利用できる給食管理手法の提案、4) 院外調理等CKシステムの運営状況の整理、5) 労務費削減、品質管理、喫食率向上の面からのRF、アッセンブリーシステムのメリット・デメリットの整理、6) 事務作業の軽減に向けた帳票類削減案の提示等を行うことができた。
これらの成果は、特定給食施設における適切かつ持続可能な栄養管理の推進のための基礎資料として活用されることが期待できる。
これらの成果は、特定給食施設における適切かつ持続可能な栄養管理の推進のための基礎資料として活用されることが期待できる。
公開日・更新日
公開日
2022-11-15
更新日
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