リワークプログラムを中心とするうつ病の早期発見から職場復帰に至る包括的治療に関する研究

文献情報

文献番号
200833055A
報告書区分
総括
研究課題名
リワークプログラムを中心とするうつ病の早期発見から職場復帰に至る包括的治療に関する研究
課題番号
H20-こころ・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 剛(NTT東日本関東病院 精神神経科)
研究分担者(所属機関)
  • 川上 憲人(東京大学大学院医学系研究科・精神保健学分野)
  • 尾崎 紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 五十嵐 良雄(メディカルケア虎ノ門)
  • 田中 克俊(北里大学医療系研究科産業精神保健学)
  • 中村 純(産業医科大学医学部精神医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
職域におけるうつ病について
①産業医等による早期発見や正確な診断
②リワークプログラムや職場の体制による職場復帰への援助
③再発なく職場復帰を行えるための指標の開発
④抗うつ薬の作業能力に対する影響の検討
を施行できる体制の実現を目的とする。
研究方法
早期発見や診断については、
①うつ病スクリーニング調査票カットオフ点の見直し
②簡便な新しい構造化面接法 の開発を行った。
職場復帰への援助については、
①リワークプログラムの効果を評価するRandomized Control Trial の準備と施行
②リワークプログラムの実施状況の調査
③標準化リワークプログラム評価シートの作成
④職域のニーズ調査研究 を行った。
職場復帰に関する指標の開発については
①職場復帰準備性評価シートの作成
②社会適応評価ツールの有用性の検討
③精神的ストレスの生物学的なマーカーの検討 を行った。
抗うつ薬の作業能力への影響については、運転課題成績への影響に関する検討を行った。
結果と考察
①調査票カットオフ点について、一般労働者集団では10点、ハイリスク集団では5点を基準とした方がいいことが明らかになった
②構造化面接では、選ばれた9項目は、診断補助や二次スクリーニングに有用と考えられた。
③職場復帰援助プログラムの効果を実証的に検討するための無作為化比較試験が計画され、実施が開始された。
④実施状況調査で、専門施設の治療構造の分析による施設基準の明確化、心理療法の研修、他の医療機関の主治医との情報共有、リワーク施設の定員の増加、双極性障害の患者への対応の必要性が確認された。
⑤標準化リワーク評価シートが作成された
⑥職域のニーズ調査研究で、復職後に必要な就業上の配慮に関する情報、事業者が職場復帰可否の判断を行うための基準、主治医とスムーズな情報交換を行うための仕組み、就労能力についての評価方法などのニーズが明らかになった。
⑦職場復帰準備性評価シートが完成され、追跡調査が開始された。
⑧社会適応については、BDIよりもSASSの方が評価尺度として優れていることが明らかになった。
⑨血中BDNF、 MHPG濃度が職場ストレスの生物学的指標になる可能性が考えられた。
⑩抗うつ薬は運転技能に影響があり、抗うつ薬の選択がうつ病患者の社会復帰や労働災害への危険性に関連することが示唆された。
結論
今年度の成果を踏まえ、来年度はさらに課題の達成を進める。

公開日・更新日

公開日
2009-05-25
更新日
-