精神科薬物療法アルゴリズムの最適化と均てん化に関する研究

文献情報

文献番号
200833053A
報告書区分
総括
研究課題名
精神科薬物療法アルゴリズムの最適化と均てん化に関する研究
課題番号
H20-こころ・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 元一郎(慶應義塾大学 医学部 精神神経科)
研究分担者(所属機関)
  • 大久保 善朗(日本医科大学 精神医学教室)
  • 本橋 伸高(山梨大学 大学院 医学工学総合研究部)
  • 渡邊 衡一郎(慶應義塾大学 医学部 精神神経科)
  • 齊藤 卓弥(日本医科大学 精神医学教室)
  • 落 裕美(久留米ヶ丘病院)
  • 原 広一郎(浅井病院)
  • 鈴木 健文(井之頭病院)
  • 岸本 泰士郎(大泉病院)
  • 田 亮介(駒木野病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の精神科薬物治療においては、向精神薬の多剤大量療法の問題が指摘されており、統合失調症やうつ病に対する精神科薬物療法ガイドラインの早急な整備が望まれている。これらの疾患に対する治療ガイドラインの作成・整備・普及には、薬物療法アルゴリズムの確立が必須である。ところが本邦では、アルゴリズムによる治療群(ALGO: Algorithm-guided treatment)と従来治療による治療群(TAU: treatment as usual)の比較を行う介入研究によってアルゴリズムの有効性を評価した研究は非常に少ない。本研究では、統合失調症薬物療法アルゴリズムとうつ病薬物療法アルゴリズム: JAPAN - S and D (The Japanese algorithm project of antipsychotics and antidepressants on net effectiveness – Schizophrenia and Depression)を開発する。その後、薬物アルゴリズム(ALGO)の有効性について、ALGO群とTAU群とを統計学的に比較する研究を行う。本研究では、わが国の多剤大量処方の現状を踏まえた上で、科学的データに基づいた薬物療法の最適化と均てん化をはかることを目的とする。
研究方法
研究全体の計画としては、まず、平成20年度に統合失調症とうつ病に関して、エビデンスに基づく精神科薬物療法アルゴリズムを作成した。そして、平成20年度には、作成したアルゴリズムの実行可能性(feasibility)を検討し、評価尺度や検査の信頼性を検討した。
結果と考察
統合失調症薬物療法アルゴリズムとうつ病薬物療法アルゴリズム: JAPAN - S and D を開発した。薬物療法の効果の客観的評価を確立するために、精神症状、社会的機能、認知機能などの評価法・検査法の講習会を臨床心理士10名および医師数名を招集して開催し、その信頼性を検討し向上させた。また、薬物療法アルゴリズム関連の臨床研究として、統合失調症において簡便な社会機能評価法の新たな開発を行った。
結論
今後は、作成した薬物療法アルゴリズムを多施設で適用し有効性を確かめることが重要である。すなわち、アルゴリズムによる治療群(ALGO群)と従来治療による治療群(TAU群)の比較を行う介入研究によってアルゴリズムの有効性を評価したい。なお、ALGO群とTAU群の各群はそれぞれ総数100例以上となるように研究体制を構築したい。

公開日・更新日

公開日
2009-07-21
更新日
-