精神障害者の認知機能障害を向上させるための「認知機能リハビリテーション」に用いるコンピュータソフト「Cogpack」の開発とこれを用いた「認知機能リハビリテーション」効果検討に関する研究

文献情報

文献番号
200833052A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の認知機能障害を向上させるための「認知機能リハビリテーション」に用いるコンピュータソフト「Cogpack」の開発とこれを用いた「認知機能リハビリテーション」効果検討に関する研究
課題番号
H20-こころ・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
池淵 恵美(帝京大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 安西信雄(国立精神・神経センター病院)
  • 岩田和彦(大阪府立精神医療センター)
  • 古川俊一(東京大学医学部付属病院リハビリテーション部)
  • 山本佳子(福島県立医科大学付属病院神経精神科)
  • 亀田弘之(東京工科大学コンピュータサイエンス学部)
  • 伊藤憲治(東京大学大学院工学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先行研究で有用性が実証されているコンピュータソフトの日本語版を開発し、これを利用した認知機能リハビリテーションを実施して、統合失調症の認知機能改善についてエビデンスを確立すること,また就労支援と組み合わせて実施することによって、就労に関連する指標に改善が見られるか検討することを目的とする。平成20年度は、次年度以降の介入研究の基礎研究を行った。
研究方法
・認知機能リハビリテーションのパイロットスタディ
統合失調症を対象として、無作為に認知機能トレーニング群と、通常の治療を継続する群に割り付けた。認知機能トレーニング群は、Neuropsychological Educational Approach to Cognitive Remediation に基づき、週2回1回30~60分、全19回実施した。トレーニングを2回行う毎に1回、トレーニングの内容が日常生活で役立てるための言語グループを行った。実施前後に認知機能(BACS-J)、精神症状(PANSS)、社会機能(LASMI-I&W)の評価を行った。各所属施設において倫理委員会の許可を得た。
・認知機能リハビリテーションおよび就労支援マニュアルの作成
認知機能リハビリテーションおよび就労支援について先行研究を調査し、介入研究が行われている鳥取大学との交流などに基づき、デイケアや外来などで実施可能な方法を検討した。就労支援の実績のある施設の参加を得て研究会を4回開催し、米国で効果を上げている援助付き雇用と従来からわが国で実績のある就労支援との統合を目指した。
結果と考察
①コンピュータソフト「Cogpack」の日本語版作成
平成21年3月末に、使用可能な日本語版完成を目標としている。
②NEARを用いたパイロットスタディ
 帝京大学病院、大阪府立精神医療センターおよび三家クリニック、東大病院、福島県立医科大学病院を合わせた28例が研究に参加した。現在データ解析中であり、次年度に報告する。参加症例を検討すると脱落率が低く出席率が高いため、実用可能と考えられた。精神症状は大きな変化はなく、認知機能及び社会機能は一部改善する傾向が見られた。
③次年度に予定しているフィールドトライアルに用いる認知機能リハビリテーションおよび就労支援実施マニュアルを作成した。
結論
認知機能リハビリテーションは構造が明確で具体的であり、認知課題処理方法の改善に取り組みやすく、就労支援に生かしていくことで臨床的・行政的有用性が高まると考えられる。援助付き雇用をハローワークなど雇用支援の専門家と連携して実施していくシステムや技術が必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-15
更新日
-