新型コロナウイルス感染症によるがん診療及びがん検診などの受診状況の変化及び健康影響の解明にむけた研究

文献情報

文献番号
202108056A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナウイルス感染症によるがん診療及びがん検診などの受診状況の変化及び健康影響の解明にむけた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21EA2003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 宏和(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター検診研究部検診実施管理研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 後藤 温(国立がん研究センター 社会と健康研究センター 疫学研究部 代謝疫学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
3,485,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型コロナウイルス感染症の影響により、がん検診やがん医療の受診状況に変化が起きていること示唆されている。がん検診については、2020年4月から5月にかけて受診者が減少していることが、医療機関から報告されており、がん医療については受診控えによるがん発見や治療の遅れが危惧されている。本研究においては、わが国におけるがん検診の受診状況や、がん医療の受療行動における、新型コロナウイルス感染症の影響を検討することを目的とする。
研究方法
がん検診の受診状況や、がん医療の受療行動における、新型コロナウイルス感染症の影響を把握するために、1)がん検診受診者数、2)がん罹患者数、3)受療行動について検討する。研究統括は高橋、祖父江が行う。

1)がん検診受診者数
地域住民検診によるがん検診受診者数は、地域保健・健康増進事業報告で年次ごとに集計されているため、新型コロナウイルス感染症による影響を評価するのは難しい。そのため、がん検診受診者数の月次データを計上できる検診実施機関に協力を募り、前年同月比を算出する。すでに、厚生労働科学研究班「がん検診の適切な把握法及び精度管理手法の開発に関する研究」班において、これらデータの提供を受けている日本対がん協会、全国労働衛生団体連合会、聖隷福祉事業団から協力への同意を得ており、引き続き連携体制を維持する。(町井)
2)がん罹患者数
2020年の新型コロナウイルス感染症に関するがん罹患・診療への影響を迅速に把握するため、全国がん登録よりもより早くデータが収集され、日本のがん患者の約70%をカバーする院内がん登録を用いて、がん罹患数を推定するとともに、前年2019年診断例と比較しての検診での発見例の割合、UICC TNM分類による病期分布等のがん診療について把握を行う(奥山)。
3)受療行動
新型コロナウイルス感染症はがん医療へのアクセスにも影響することが予想される。がん診療連携拠点病院等への調査により、がん診療への影響を検討する(高橋)。受診行動や受療行動の変化については、Webによる全国調査を解析することにより評価を試みる(松本)。さらに、JMDCレセプトデータやDPCデータにより、2019年~2020年の2年間の受療行動の比較を行う(後藤)。
結果と考察
〇がん検診受診者数
聖隷福祉事業団・宮城県対がん協会・全国労働衛生団体連合会より情報提供を受け、データを解析し、以下の結果を確認した。
・2020年4-5月のがん検診および健診受診者数は前年同月と比べ大幅に減少した
・2020年6月以降は前年同月とおおよそ同程度に受診者数は回復した
・2020年度のがん検診受診者数は、2019年度と比べおおよそ2割~0割減であり、職域検診に比べ住民検診の減少が大きかった

〇がん罹患者数
院内がん登録データを解析し、以下の結果を確認した。
・院内がん登録実施病院863施設の全登録数は、前年度と比較し594施設で減少(平均4.6%減、がん診療連携拠点病院等では平均5.3%減)
・男性は胃・大腸、女性は乳房・胃の登録数が減少、肝臓は男女ともほぼ横ばい
・2020年の全登録数は、2016-2019年の4年平均と比べ14,046件減少(98.6%)
・がん検診発見数は、それ以外と比べ登録数の減少割合が大きい
・特定警戒地域は、その他の地域と比べ一時的に大きく減少し、その後差は縮小
・2020年の部位別増減率は、 2016-2019年の4年平均と比べ胃・大腸・子宮頚・甲状腺・前立腺・皮膚などで減少

〇受療行動
大阪大学関連施設における手術症例数の年次変化の比較検討、および日本外科学会によりNCDデータを解析し、以下の結果を確認した。
・がん検診に関連する手術数は他と比べ大きく減少した
・進行度別では、早期がんが進行がんと比べ大きく減少した
・感染程度の高い地域は低い地域と比べ大きく減少した

がん研究会有明病院における外来患者数、外来化学療法件数、手術件数は2020年4-5月に減少したのち、徐々に回復した。

がん検診やがん治療に関するwebアンケートを健常者およびがん患者それぞれおよそ2000人に対して実施し、以下の結果を確認した。
・がん検診を受けなかった理由の2-3割は、コロナの影響の可能性
・要精密検査の7%は、感染が心配で精密検査を受けていない可能性
・がん患者の14%が、コロナの影響により治療や通院が延期・変更(うち7割は、医療機関側の理由による)
結論
新型コロナウイルスのがん検診およびがん医療への影響を検討した。本年度の成果については、厚生労働省「第34回がん検診のあり方に関する検討会」に報告しており、引き続き成果の公表および情報提供を適宜行う。

公開日・更新日

公開日
2022-05-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202108056Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,230,000円
(2)補助金確定額
3,230,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,199,167円
人件費・謝金 0円
旅費 38,276円
その他 1,247,940円
間接経費 745,000円
合計 3,230,383円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
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