夜型社会における子どもの睡眠リズムによる心身発達の前方視的研究と介入法に関する研究

文献情報

文献番号
200833039A
報告書区分
総括
研究課題名
夜型社会における子どもの睡眠リズムによる心身発達の前方視的研究と介入法に関する研究
課題番号
H19-こころ・一般-015
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
新小田 春美(九州大学大学院医学研究院 保健学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 浅見 恵梨子(千里金蘭大学 看護学部)
  • 加藤 則子(国立保健医療科学院)
  • 西岡 和男(大牟田保健所)
  • 内村 直尚(久留米大学 医学部)
  • 樗木 晶子(九州大学 医学(系)研究科(研究院))
  • 末次 美子(九州大学 医学(系)研究科(研究院))
  • 松本 一弥(広島文教女子大学 人間科学部)
  • 加来 恒壽(九州大学 医学(系)研究科(研究院))
  • 神山 潤(社団法人地域医療振興協会 東京北社会保険病院)
  • 大久保 一郎(筑波大学 人間総合科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
【目的】夜型社会における乳幼児期の睡眠の安定性が精神に及ぼす影響を明らかにし、睡眠に乱れが認められる場合のその介入法を構築する。要観察児の臨床評価と睡眠教育への啓発につながるポピュレーションストラテージ開発のためのデータ蓄積に貢献する。

研究方法
【研究方法】福岡市、奈良市で実施された乳幼児健診でエントリーし、現在4回目調査を継続できているChiSCoP(Child Sleep Cohort Project)会員509名の、H19年10月およびH20年2月の縦断調査結果を分析した。対象は、4か月健診時リクルート者(97名→92名),1歳半健診(96名→90名),3才児健診(85名→80名)である。さらに、大牟田市では乳児家庭訪問時に聞き取り調査(1年目110例、2年目147例)を導入し、子育て早期の睡眠生活リズムの実態を分析した。調査は、10日間の「睡眠日誌」と「睡眠・生活リズム調査票」および、精神行動をスクリーニングするための乳幼児行動チェックリスト(CBCL=child behavior checklist)の3種類とし、養育者に記載して頂く留め置き、郵送法で実施した。
結果と考察
【結果と考察】就床タイプの推移は、遅寝から早寝方向への改善群69.1%、未改善群35.5%であった。遅寝、早寝の経時的就床率をみると遅寝群は早寝群より遅い時間にシフトし就床時刻への影響が示唆された。CBCL得点と、就寝タイプによる有意差は特に認めなかった。心身発達評価として用いたCBCLの情緒行動で境界域に検出された者は6.4%(10/154)で,CBCLの高得点者の下位尺度得点は平均より高く、年齢別の下位尺度得点比較では、不安神経質尺度(2.1歳以下<2.2歳以上、P=0.0052),攻撃尺度で(2.1歳以下>2.2歳以上 P=0.04)で有意差を認めた。性別年齢得点では、発達尺度(P=0.059),攻撃尺度(P=0.02)で男児が女児よりも高得点であった。さらに、子育て早期からの睡眠教育啓発活動をめざして、保健師・委託助産師による乳児家庭訪問による睡眠実態調査と指導を実施し、地域行政の取り組みや親子で取り組める家庭の生活習慣改善への教育教材効果などを会員に対して観察中である。臨床症例ではADHDの通院児にactigraphと睡眠日誌を用い、夜間の睡眠・覚醒リズムの後退や睡眠の質の低下、薬物療法とともに睡眠に対する介入により異常行動への影響について今後症例を増やし明らかにしていく課題がある。
結論
【結論】睡眠リズムの発達評価及び遅寝の心身発達への影響は、対象数の拡大と長期的な観察が必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-09
更新日
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