がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラム策定のための研究

文献情報

文献番号
202108047A
報告書区分
総括
研究課題名
がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラム策定のための研究
課題番号
21EA1007
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
辻 哲也(慶應義塾大学 医学部リハビリテーション医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 酒井 良忠(神戸大学大学院医学系研究科 リハビリテーション機能回復学)
  • 幸田 剣(和歌山県立医科大学医学部リハビリテーション医学講座)
  • 岡村 仁(広島大学 大学院医系科学研究科)
  • 阿部 恭子(東京医療保健大学 千葉看護学部)
  • 増島 麻里子(千葉大学 大学院看護学研究院)
  • 高倉 保幸(埼玉医科大学 保健医療学 理学療法学科)
  • 小林 毅(千葉県立保健医療大学健康科学部)
  • 櫻井 卓郎(国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)
  • 神田 亨(静岡県立静岡がんセンター リハビリテーション科)
  • 杉森 紀与(東京医科大学病院 リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
8,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん患者では治療の影響や病状の進行に伴い、日常生活動作に障害を来し、著しく生活の質が低下することから、がん領域でのリハビリテーション(以下、リハビリ)診療の重要性が指摘されている。しかし、がん診療連携拠点病院等における対策はいまだ十分ではなく、社会復帰の観点も踏まえ、外来や地域の医療機関等と連携し、がんリハビリを実施する必要がある。
そこで、H30年度~R2年度に「厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラムの策定のための研究」が実施され、がんのリハビリ研修プログラムの立案、学習目標設定、e-learningシステムによる研修プログラムの教材を作成し、一定の成果が得られた。
本研究課題では、がん診療やがんリハビリ関連学協会、がん有識者と協力体制をとり、がん患者の社会復帰や社会協働の観点を踏まえて、がんリハビリを効果的に実施するために開発した標準的な研修プログラムを普及させる体制を構築し、その研修プログラムによる(厚労省後援)がんのリハビリ研修を全国で実施し、その評価と更新および臨床現場における有用性を踏まえた検証を行うこと、がん専門医療機関での入院リハビリとともに外来や地域における適切ながんリハビリ診療やリンパ浮腫診療の実施に向けた提案を行うことを目的とする。
研究方法
2年間の計画で、開発された研修プログラムを実施し、がんのリハビリ研修プログラムの評価と更新、臨床現場における有用性を踏まえた検証を実施、適切な、がんリハビリ診療の実施に向けた提案を行うことにより、がん患者がリハビリを受けられる体制を拠点病院等に普及させる。研究の全体計画は、以下のとおりである。
・令和3年:開発した研修プログラムでの研修の実施・評価と更新・検証
・令和4年:適切ながんのリハビリ診療実施に向けた提案
令和3年度には、以下①~③の年次計画を立案した。
①開発したプログラム(がんリハビリ研修:E-CAREER)による研修の実施・評価と更新
②開発したプログラム(リンパ浮腫研修:E-LEARN)による研修の実施・評価と更新
③開発した研修プログラムの臨床現場における有用性を踏まえた検証
結果と考察
令和3年度の研究成果を以下の①~③に示した。
①開発した研修プログラム(がんリハビリ研修:E-CAREER)による研修の実施・評価と更新
E-CAREERをライフプランニングセンター主催および一部の地方で実施中である。令和4年から本格的に各地方で開催される、がんリハビリ研修へ導入できるように、地方研修の企画者用の研修マニュアルを作成し、企画者を対象とした研修会を実施した。さらに、普及啓発の一貫として、ホームページ作成、がんのリハビリテーション講演会を2回実施した。また、地域や外来でのがんリハビリ診療に関するコンテンツを作成中である。
②開発した研修プログラム(リンパ浮腫研修:E-LEARN)による研修の実施・評価と更新
e-learningシステム導入したリンパ浮腫研修(E-LEARN)および終了試験(CBT形式)を実施、合格率は98.1%で例年と同等であった。また、リンパ浮腫研修協力団体(10団体)との意見交換会を開催、研修の質の担保を目的としてオンライン視察を実施、リンパ浮腫研修協力団体の講師24名が参加し、交流研修会をオンラインワークショップ形式にて実施した。さらに、普及啓発の一貫として、地域でのリンパ浮腫診療に関する講演会を1回実施した。視聴者は第1回は371名であった。
また、地域や外来でのリンパ浮腫診療に関するコンテンツを作成中である。
③開発した研修プログラムの臨床現場における有用性を踏まえた検証
研修終了後に、開発された研修プログラムの効果の検証を行うため研修直後のアンケートを実施中であり、研修終了6か月後のアンケートも令和4年1月から開始した。
以上、研究は交付申請時の計画どおり、遅滞なく進んでいる。
第3期がん対策基本計画では、がんのリハビリ診療は重点課題とされ、がん医療におけるリハビリ診療の重要性は益々増している。本研究により、普及性の高いリハビリ研修プログラムの開発・実施を行い、各地域の拠点病院等でのがんのリハビリ診療の普及や均てん化を図ることは、国の施策の方向性と合致している 
結論
令和3年度には、開発した研修プログラムによる研修を実施し、その評価と更新を行った。普及啓発の一環として、ホームページ作成、がんリハビリやリンパ浮腫診療に関する講演会を実施した。また、地域や外来でのがんリハビリやリンパ浮腫診療に関するコンテンツの作成を開始した。さらに、がんのリハビリ研修終了後に、開発された研修プログラムの効果の検証を行うため研修直後とともに研修終了6か月後のアンケートも開始した。研究は交付申請時の計画どおり、遅滞なく進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202108047Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,375,000円
(2)補助金確定額
11,375,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 621,157円
人件費・謝金 3,594,564円
旅費 38,500円
その他 4,495,779円
間接経費 2,625,000円
合計 11,375,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-29
更新日
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