がん診療連携拠点病院等の施設間の支持療法の均てん化の実現に資する研究

文献情報

文献番号
202108046A
報告書区分
総括
研究課題名
がん診療連携拠点病院等の施設間の支持療法の均てん化の実現に資する研究
課題番号
21EA1006
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
全田 貞幹(国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院 放射線治療科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐伯 俊昭(埼玉医科大学 国際医療センター乳腺腫瘍科)
  • 内富 庸介(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 支持療法開発部門)
  • 島津 太一(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部)
  • 渡邊 清高(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科)
  • 秋山 暢(帝京大学 医学部)
  • 奥山 絢子(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター院内がん登録分析室)
  • 中田 千博(国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は抗がん剤による悪心嘔吐(CINV)や発熱性好中球減少(FN)対策といった単職種で出来る単一介入(Single intervention)の普及状況について明らかにし、これらの結果を原因別に病院/医療者以外の要因、病院の体制仕組み、個人の知識の3種類に分類し、それぞれに支持療法普及の推進に資する具体的な対策案について提示する。
研究方法
CINV: 一般病院、地方部での半構造化インタビュー(CFIR)を実施し都市部がん専門病院での結果と併せて解析する。
FN: 実態調査で明らかになった費用面やガイドラインの解釈の乖離について半構造化インタビューを用いて実装普及の阻害/促進要因について明らかにする。
CIPN:MINDsに基づいたガイドラインの作成を行う。
結果と考察
研究結果
CINV:日本における化学療法誘発性悪心・嘔吐に対するガイドラインに基づく予防的制吐療法の実施に影響を与える要因:病院における質的研究の
方法と分析:
本研究は、半構造化面接を用いた病院ベースの質的研究をおこなった。対象者は、病院長、がん化学療法部・薬剤部・看護部の管理者(代理を含む)で、合目的的サンプリングにより抽出する。化学療法レジメンに含まれる制吐剤、制吐剤のルーチン使用、ガイドラインの認知度などについて、事前アンケートで情報を収集した。
初期結果としてCINVの低リスク群に対するガイドライン治療は支持療法のレシピをレジメン登録していることが施設での実施に影響し、レジメン登録を定期的に更新していることが重要であることがわかった。
FN:2020年に日本がんサポーティブケア学会および日本臨床腫瘍学会、日本血液学会、日本乳癌学会の医師会員を対象にSurveyMonkeyTMによるアンケート調査を実施した。
GLの周知・使用ならびに推奨項目の遵守に関する質問21問、回答者の属性に関する質問7問について回答を求めました。800件の回答が得られ分析可能な788件を解析した。
主な回答者は10年以上の経験を持つ専門家で、内科系医師が54%、外科系医師が46%であった。GLの周知・使用率ならびにGL推奨項目の遵守率を報告した。回答者の87%がGLを知っており、使用していた。
推奨項目を必ず行うという回答を完全遵守、半数以上の患者に行うという回答を部分遵守とすると、完全遵守率および完全+部分遵守率の中央値は、それぞれ46.4%(範囲:7.0-92.8)、77.8%(範囲:35.4-98.7)だった。
次に回答者の属性毎に利用率と遵守率を求め、これらに影響を与える属性について単変量解析(Fisher正確確率検定、Mann-WhitneyのU検定、Kruskal-Wallis検定)、多変量解析(二項ロジスティック回帰分析、線形重回帰分析)をおこなった。
その結果部分遵守を含めると女性、日本臨床腫瘍学会(JSMO)の学会員がガイドラインをしっかり参考にしていることがわかり、中でも日本臨床腫瘍学会認定薬物療法専門医が一般の医師に比べてガイドラインの完全遵守の割合が高いこと(p=0.0325)が示された

CIPN:JASCCと協働でのガイドライン政策を行っている。現在Mindsに基づいたSRの際中であり2023.3をめどに完成する。

D.考察
支持療法に特化した指標でなくても施設での支持療法の整備状況を知ることができるのではないかと考える。
また、がん薬物療法専門医のガイドライン遵守率が高かったことは専門医の信頼を上げるとともに患者さんも安心感を得ることができる結果であったと思います。また日本臨床腫瘍学会の教育システムや専門医制度が機能しているという一つの結果であり社会的影響も大きいと考える。
結論
「レジメン登録に関する会議を定期的に開催している」といった要件は間接的に支持療法の整備を後押しするものと考える。
本チームの今後の方向性としてはガイドラインの遵守率が低かった項目については一般臨床医にGLに沿った診療を促すだけでなく、阻害因子を究明して臨床で実践できることを念頭に置いたガイドラインの作成を提言していく予定である。
将来的にはどこに住んでいてもがん治療(手術、放射線治療、薬物治療)だけでなく副作用対策を含めた支持療法も充実した医療を患者さんが受けられることを目指す。

公開日・更新日

公開日
2022-08-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202108046Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,620,000円
(2)補助金確定額
7,482,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,138,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 622,233円
人件費・謝金 3,082,557円
旅費 0円
その他 1,557,882円
間接経費 2,220,000円
合計 7,482,672円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-29
更新日
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