心理学的剖検データベースを活用した自殺の原因分析に関する研究

文献情報

文献番号
200833032A
報告書区分
総括
研究課題名
心理学的剖検データベースを活用した自殺の原因分析に関する研究
課題番号
H19-こころ・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
加我 牧子(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島 正(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
  • 松本 俊彦(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
  • 高橋 祥友(防衛医科大学校 防衛医学研究センター)
  • 平山 正実(聖学院大学大学院総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
31,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、「自殺総合対策大綱」に「社会的要因を含む自殺の原因・背景、自殺に至る経過、自殺直前の心理状態等を多角的に把握し、自殺予防のための介入ポイント等を明確化するため、いわゆる『心理学的剖検』の手法を用いた遺族等に対する面接調査等を継続的に実施する」と明記されたことを受けて、わが国の自殺の詳細な実態を心理学的剖検の手法を用いた「自殺予防と遺族支援のための基礎調査」によって明らかにしていくことにある。
研究方法
自殺予防総合対策センター自殺実態分析室に調査センターを設置し、各地での調査を支援するとともに、全国組織・自治体への調査の説明、各地域での自殺対策事業を通じての調査パンフレット配布、ならびに東京都監察医務院との連携による自殺者遺族に対する調査パンフレット配布等により調査対象の募集に努めた。都道府県・政令指定市のうち、協力を得られ、かつ参加要件を満たす自治体から順次調査を実施した。
結果と考察
基礎調査に参加した都道府県・政令指定市は53箇所であった。平成21年1月末現在、42事例の面接調査が終了した。また、平成20年12月末日までの段階で面接票が到着した35事例中、面接票から調査導入経路を一つに絞ることができたのは32事例であった。なお、平成21年度に予定されている症例・対照研究の実施にあたっては、生存者を対照群とし、その近親者に調査することが最も現実的な方法と考えられた。
平成20年12月末日までの段階で面接票が到着した35事例の中間的な分析では、精神障害、身体疾患、睡眠障害、自殺未遂歴、借金などの社会的問題といった多くの点で、先行研究とほぼ一致する結果が得られたが、一方で、アルコールなどの物質関連問題との関連や精神科受診歴を持つ者の多さなど、国内の先行研究とは異なる結果もあった。
結論
今年度の研究では、わが国の自殺の詳細な実態を明らかにするため、心理学的剖検の手法を用いた「自殺予防と遺族支援のための基礎調査」を実施した。また、平成20年12月末現時点の暫定的な分析結果を報告するとともに、事例数の拡大等、平成21年度に取り組むべきことを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
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