発達障害者の新しい診断・治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200833031A
報告書区分
総括
研究課題名
発達障害者の新しい診断・治療法の開発に関する研究
課題番号
H19-こころ・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
奥山 眞紀子(国立成育医療センター こころの診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 神尾 陽子(国立精神・神経センター 精神保健研究所 児童・思春期精神保健部)
  • 加我 牧子(国立精神・神経センター 精神保健研究所 )
  • 杉山 登志郎(あいち小児保健医療総合センター)
  • 山下 裕史朗(久留米大学医学部小児神経・発達障害)
  • 田中 康雄(北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター)
  • 小枝 達也(鳥取大学地域学部地域教育学科 発達科学講座)
  • 宮尾 益知(国立成育医療センター こころの診療部)
  • 井上 雅彦(鳥取大学大学院 医学系研究科 臨床心理学講座)
  • 辻井 正次(中京大学社会学部 発達臨床心理学)
  • 泉 真由子(横浜国立大学 教育人間科学部 障害児教育講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害者支援法に基づき、支援を必要とする発達障害児者が適切に診断される方法を見出すこと、および発達障害児者がそのライフサイクルにあった支援を受けられるような診断・治療を明確に提示できることを目的として研究が行われた。
研究方法
全国の一般の医師が支援を必要とする発達障害児者を診断できるツールに関して、本研究に携わる研究者全員で議論を重ねた。各分担研究に関しては、昨年に引き続き、エビデンスのある診断・治療法の開発に関しての研究を継続した。
結果と考察
一般医師が支援を必要とする発達障害児者を診断するツールとして、精神障害者保健福祉手帳診断書の改訂案を提示した。また、各分担研究においては、広汎性発達障害の各年齢でのスクリーニングツールの信頼性・妥当性が示され、各種早期療育の効果判定が開始され、中間での報告がなされた。また、強度行動障害に対する新しい考え方と支援の方向性を提示した。注意欠陥/多動性障害に関しては、スクリーニングツールと治療評価ツールが提示され、患者家族及び治療者が共通に望んでいる治療法の一つがペアレントトレーニングであることが明らかになった。また、モグラーズを用いた多角的診断に関して、脳機能の視点からその特異性が明らかになった。読字障害に対する新しい早期発見・介入システムを提案・実行し、実際に発見され介入効果も確認された。PCを用いたトレーニングでは、一般生徒と異なり、読字障害では他の学習に比べてその学習効果の持続が長期にわたることが明らかとなった。大規模調査から一般の低学年生徒の約6%に書字困難児が存在することが明らかとなり、就学時の単純な図形のなぞりがきや視写の不得意がその困難に影響を与えることが明らかとなりスクリーニングの可能性が示された。ソーシャルスキルトレーニングに関しては、「困った」場面への対応と完璧主義行動の変容を目的としたプログラムを開発してその効果と限界を提示した。専門家の数に比べて非常に多い学校教師への支援として、e-learningを立ち上げて、その実行可能性を明らかにした。さまざまな特徴をもった発達障害者に対して必要に応じた適切な診断ができ、適切な支援ができる基礎ができてきている。
結論
本研究を続けて、総合的な診断・治療への提言を行うことが必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
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