文献情報
文献番号
202108034A
報告書区分
総括
研究課題名
がん検診の利益・不利益等の適切な情報提供の方法の確立に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20EA1023
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 博(青森県立中央病院)
研究分担者(所属機関)
- 中山 富雄(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター検診研究部)
- 山本 精一郎(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
- 笠原 善郎(福井県済生会病院 乳腺外科)
- 加藤 勝章(宮城県対がん協会がん検診センター)
- 齊藤 英子(国際医療福祉大学三田病院予防医学センタ-)
- 高橋 宏和(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター検診研究部検診実施管理研究室)
- 立道 昌幸(東海大学医学部)
- 雑賀 公美子(国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センター国際連携研究部)
- 町井 涼子(国立がん研究センター がん対策情報センターがん医療支援部検診実施管理支援室)
- 松坂 方士(国立大学法人弘前大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国では検診の要件が踏まえられずに検診が実施されてきており、対象がんの死亡率減少という検診の成果は現れていない。我が国には成書がなく医療者やがん検診従事者が、がん検診の理解ができていない背景がある。このため市民へも正しい情報提供がされていない。検診提供者のがん検診への理解を形成し、かつ一般市民に対する検診への正しい知識普及を目指して、情報提供資材を開発する。
研究方法
(1) 医療者・がん検診従事者向けのがん検診に関する教科書的資材の出版
わが国では死亡率が低下するという科学的根拠が確立していない検診が全国で80%以上の自治体で行われている。検診の要件⦅科学的根拠に基づく検診が前提であること等)に関する理解が急がれる。我が国で必要な教科書資材として、世界保健機関(WHO)とその欧州事務局によってそれぞれ刊行されている2冊の著書を昨年度特定し、これらの内容を精査するとともに、WHOから許可を得て、翻訳した。
(2) 一般市民向けのがん検診に関する情報提供動画の作成と公開
成果を上げている海外諸国では一般市民向けにどのように情報提供されているのかを精査し、わが国の一般市民に情報提供すべき内容を検討し、アニメーション動画を作成した。
(3) 医療者・がん検診従事者向けのe-learning資材の内容や提供方法の決定
(1)の教科書資材の内容を基に、(2)の一般市民向け資材の作成において参照した組織型検診を高い水準で実施している国々での専門家/検診実施者向けのコンテンツを参照して作成した。
(4) 医療者・がん検診従事者が自らの地域の実態を把握し、主体的に改善できるための資料コンテンツの作成
地域保健・健康増進事業報告を用い、市区町村が実施するがん検診の精度管理状況を確認するプロセス指標、がん検診の実施体制の整備状況を評価する指標である市区町村用がん検診チェックリストの意義や精度管理への利用手法の理解のためにグラフを主とした分かりやすいwebコンテンツを検討した。
わが国では死亡率が低下するという科学的根拠が確立していない検診が全国で80%以上の自治体で行われている。検診の要件⦅科学的根拠に基づく検診が前提であること等)に関する理解が急がれる。我が国で必要な教科書資材として、世界保健機関(WHO)とその欧州事務局によってそれぞれ刊行されている2冊の著書を昨年度特定し、これらの内容を精査するとともに、WHOから許可を得て、翻訳した。
(2) 一般市民向けのがん検診に関する情報提供動画の作成と公開
成果を上げている海外諸国では一般市民向けにどのように情報提供されているのかを精査し、わが国の一般市民に情報提供すべき内容を検討し、アニメーション動画を作成した。
(3) 医療者・がん検診従事者向けのe-learning資材の内容や提供方法の決定
(1)の教科書資材の内容を基に、(2)の一般市民向け資材の作成において参照した組織型検診を高い水準で実施している国々での専門家/検診実施者向けのコンテンツを参照して作成した。
(4) 医療者・がん検診従事者が自らの地域の実態を把握し、主体的に改善できるための資料コンテンツの作成
地域保健・健康増進事業報告を用い、市区町村が実施するがん検診の精度管理状況を確認するプロセス指標、がん検診の実施体制の整備状況を評価する指標である市区町村用がん検診チェックリストの意義や精度管理への利用手法の理解のためにグラフを主とした分かりやすいwebコンテンツを検討した。
結果と考察
(1) 医療者・がん検診従事者向けのがん検診に関する教科書的資材の出版
昨年同定した2資材はわが国にも適用できるがん検診の正しい運用を解説している貴重な出版物であると確認された。これらの1資材はWHO欧州事務局から翻訳、出版権を獲得し弘前大学出版会の審査により同出版会の審査・承認を経てされ刊行した。全道府県、全市区町村、各大学医学部公衆衛生学分野、医学部附属図書館、がん検診関連学会に頒布した。もう一つの資材は令和3年度に翻訳が終了し、令和4年度に刊行予定である。
(2)一般の人向けのe-learningの内容や提供方法の決定
海外諸国での市民への情報やがん検診に関する国際的な原則を踏まえて、わが国の一般市民が「がん検診の上手な受け方」が理解できるがん検診の利益・不利益について解説した10分弱の動画資材を作成した。資材は絵コンテの段階から完成段階まで数人の一般市民に供覧し、理解度を確認しながら作成した。
(3) 医療者・がん検診従事者向けのe-learning資材の内容や提供方法の決定
(1)の資材に記載されている基本的な知識を中心に、がん検診の専門知識に触れる機会が少なかったがん検診提供者向けの全篇50分程度のe-learning資材を作成した。各章は5-10分程度で視聴が可能とし、各章で理解確認のための小テストを設ける構成である。資材の使途についてがん検診関連学会等での教材としての活用等も含め広く検討した。
(4) 医療者・がん検診従事者が自らの地域の実態を把握し、主体的に改善できるための資料コンテンツの作成
検診提供者が自地域の検診の実施状況と課題を一目で把握できるように子宮頸がん検診について各地域(都道府県、市町村別)の精密検査受診率や精密検査に関連するがん検診実施体制の整備状況に関するデータがウェブで閲覧できるコンテンツを作成してHP上で公開した。他のがんについても作成中である。
昨年同定した2資材はわが国にも適用できるがん検診の正しい運用を解説している貴重な出版物であると確認された。これらの1資材はWHO欧州事務局から翻訳、出版権を獲得し弘前大学出版会の審査により同出版会の審査・承認を経てされ刊行した。全道府県、全市区町村、各大学医学部公衆衛生学分野、医学部附属図書館、がん検診関連学会に頒布した。もう一つの資材は令和3年度に翻訳が終了し、令和4年度に刊行予定である。
(2)一般の人向けのe-learningの内容や提供方法の決定
海外諸国での市民への情報やがん検診に関する国際的な原則を踏まえて、わが国の一般市民が「がん検診の上手な受け方」が理解できるがん検診の利益・不利益について解説した10分弱の動画資材を作成した。資材は絵コンテの段階から完成段階まで数人の一般市民に供覧し、理解度を確認しながら作成した。
(3) 医療者・がん検診従事者向けのe-learning資材の内容や提供方法の決定
(1)の資材に記載されている基本的な知識を中心に、がん検診の専門知識に触れる機会が少なかったがん検診提供者向けの全篇50分程度のe-learning資材を作成した。各章は5-10分程度で視聴が可能とし、各章で理解確認のための小テストを設ける構成である。資材の使途についてがん検診関連学会等での教材としての活用等も含め広く検討した。
(4) 医療者・がん検診従事者が自らの地域の実態を把握し、主体的に改善できるための資料コンテンツの作成
検診提供者が自地域の検診の実施状況と課題を一目で把握できるように子宮頸がん検診について各地域(都道府県、市町村別)の精密検査受診率や精密検査に関連するがん検診実施体制の整備状況に関するデータがウェブで閲覧できるコンテンツを作成してHP上で公開した。他のがんについても作成中である。
結論
わが国では唯一入手可能ながん検診に関する教科書的資材をはじめがん検診提供者向けの学習資材と一般市民のがん検診に対する理解を促進するための動画を作成した。がん検診提供者用資材により、検診への理解が形成され、適切な検診実施への転換が期待できるとともに、彼らから正しい情報が発信されるようになり、市民の理解も向上が期待できる。動画資材はがん検診の不利益も含めた市民の理解の形成に貢献し、市民の受診の主体的な意思決定を支援すると期待される。本研究班の目的であるがん検診に関する利益・不利益当等の適切な情報提供が、がん検診提供者と一般市民の双方において促進されると共にそのような理解促進によってがん検診に対する信頼が醸成されることも期待できる。
公開日・更新日
公開日
2022-05-27
更新日
-