小児がん拠点病院等及び成人診療科との連携による長期フォローアップ体制の構築のための研究

文献情報

文献番号
202108033A
報告書区分
総括
研究課題名
小児がん拠点病院等及び成人診療科との連携による長期フォローアップ体制の構築のための研究
課題番号
20EA1022
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
松本 公一(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 清谷 知賀子(独立行政法人国立成育医療研究センター腫瘍科)
  • 瀧本 哲也(国立成育医療研究センター 臨床研究センター 臨床研究推進室)
  • 原 純一(地方独立行政法人大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科)
  • 依藤 亨(大阪市立総合医療センター 小児代謝・内分泌内科)
  • 田尻 達郎(京都府立医科大学 大学院医学研究科小児外科学 小児外科学)
  • 清水 千佳子(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター がん総合診療センター / 乳腺・腫瘍内科)
  • 向井 幹夫(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 成人病ドック科)
  • 康 勝好(埼玉県立小児医療センター 血液腫瘍科)
  • 長谷川 大輔(学校法人聖路加国際大学 聖路加国際病院)
  • 佐藤 真理(順天堂大学大学院医学研究科電子医療情報管理学講座)
  • 飯島 祥彦(名古屋大学大学院医学系研究科生命倫理委員会)
  • 塩田 曜子(国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
  • 加藤 実穂(国立成育医療研究センター 小児がんセンター小児がんデータ管理科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
11,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、国立成育医療研究センターに長期フォローアップセンターを設立し、CCS サポートシステムの基盤整備とともに、情報収集・ 発信の基盤となるオンラインネットワークを構築することにある。さらに、長期フォローアップの出口である循環器、内分泌など長期合併症に対する成人施設との連携、人間ドックの活用についても課題を明らかにし、その対策を検討することも目的としている。
研究方法
国立成育医療研究センター内に長期フォローアップセンターを設置して、診療施設、中央診断・臨床研究のデータセンター、CCSおよびその家族等と連携して情報の授受を行うオンラインネットワークを構築する。これにより、本邦での小児がんの晩期合併症の実態を明らかにするとともに、情報発信を行うCCSサポートシステムを構築する。また、双方向性の情報伝達のツールとして、「小児がん長期フォローアップ計画策定システム」と連携可能なCCS個人向けアプリ「follow up」を改定する。
具体的にTCCSGコホート研究においてデータセンターとREDCapを用いたネットワークを実際に稼働して情報収集を開始する。さらに、疾患モデルとしてLCHを対象するJCCG研究LCH-12-LTFU のデータ管理を担当し、研究支援の体制を整備する。聖路加大学病院、大阪国際がんセンター等で行っているCCS用人間ドックに関して、現状と課題を抽出し、人間ドック導入の可能性を検討する。また、日本小児内分泌学会CCS委員会と連携、CCSトランジションのモデル作成を行う。
結果と考察
情報交換のインフラとなるオンラインCCSサポートシステムの構築を行い、情報セキュリティの強化を行った。TCCSG(東京小児がん研究グループ)コホート研究と、同システムを用いたランゲルハンス細胞組織球症(LCH)を対象とした長期フォローアップ研究を遂行した。CCS自身が研究参加登録を行い、医療者とともに個別データベースを作成でき、かつ双方向性コミュニケーションを可能とする体制を構築した。
TCCSGコホート研究に関しては、2022年3月末現在で、参加施設は13施設、参加登録者は108例となっている。また、JCCG心機能早期評価Pilot研究を行うこととし、画像中央診断システムのフローを用いての集積方法とCD-ROMへの記録法を検討した。さらに高リスク治療を行うユーイング肉腫委員会、肝腫瘍委員会、AML委員会でPilot研究を提案し、各委員会の同意を得て、プロトコールコンセプトを作成した。また、長期的な合併症が問題となるLCHに関して、JCCG:LCH-12-LTFU観察研究のデータ管理をRedCapにて行うこととし、研究支援の体制を整備した。
 固形腫瘍観察研究においてEDC長期合併症項目を決定した。これらの長期フォローアップの項目について、セントジュード小児病院のHudson先生らと10回以上のWEBカンファレンスを行った。セントジュード小児病院とのシステムの比較を行い、REDCapシステムに疾患横断的な収集項目案を実装した。スマホアプリに関しては、「治療のまとめ」情報からQRコードを作成・表示する仕組みを開発した。
人間ドックの応用可能性については、小児がん経験者の多くは何らかの晩期合併症を有しており、人間ドックを用いることで効率的に評価できることが示唆された。また、日本小児内分泌学会など各種学会やJCCGの各種委員会との連携も重要であると考えられた。
結論
長期フォローアップセンターの基礎を構築し、TCCSGコホート研究をモデルとして、WEBベースの運用を開始し、双方向性の情報提供に成功した。疾患モデルとして、JCCGと共同してLCH-12-LTFU研究のデータセンター支援を行うための基盤を構築した。長期フォローアップに対する疾患横断的な収集項目案については、セントジュード小児病院の専門家と協議を重ねた。また、患者向けの双方向性ツールとして、スマートフォンアプリを開発した。人間ドックや検診システムを活用することで、CCSの晩期合併症を効率的に発見できると考えられたが、経済的な課題があった。日本小児内分泌学会など各種学会やJCCGの各種委員会との連携も重要であると考えられた。循環器、内分泌など長期合併症に対する成人施設との連携に関しては、トリアージを行う窓口診療科の必要性、心理社会的視点の欠如、生殖医療に関する成人診療科からの患者教育などが必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2022-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-05-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202108033Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,000,000円
(2)補助金確定額
14,623,000円
差引額 [(1)-(2)]
377,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,907,260円
人件費・謝金 5,696,829円
旅費 145,280円
その他 3,413,754円
間接経費 3,460,000円
合計 14,623,123円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-29
更新日
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