日本における肝癌治療の実態把握と費用対効果の検証についての研究

文献情報

文献番号
202108029A
報告書区分
総括
研究課題名
日本における肝癌治療の実態把握と費用対効果の検証についての研究
課題番号
20EA1018
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
國土 典宏(国立国際医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 浅岡 良成(国立国際医療研究センター病院 がん総合診療センター)
  • 長谷川 潔(東京大学大学院医学系研究科 臓器病態外科学 肝胆膵外科)
  • 建石 良介(東京大学大学院医学系研究科がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン・消化器内科)
  • 山田 康秀(国立国際医療研究センター がん総合診療センター)
  • 斎藤 明子(国立国際医療研究センター 消化器内科)
  • 福田 敬(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝細胞癌では肝硬変を合併していることが多く、腫瘍の個数、腫瘍径、脈管侵襲、肝外病変等、癌自体の病期および肝予備能に応じて、外科切除、ラジオ波焼灼術(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、肝動注療法、分子標的薬等、複数の治療方法の選択肢がある。そのため同一病期の患者であっても、受診する施設の治療方針により、初回あるいは再燃時の治療が異なる場合が少なくない。効果が同等な場合も初回治療の費用対効果解析だけで、その有用性を示すことはできないため、二次治療以降の治療実態を把握し費用対効果評価を行うことは極めて重要であるが、国外も含め行われていない。
本研究では以下の4点を目的とする。
1)悉皆性の高い肝癌研究会の全国肝癌追跡調査(肝癌DB、National Clinical Databaseの一つである)を用いて、肝癌に対し実臨床で提供されている治療方法とその効果、副作用、治療継続性等、その実態を把握し費用対効果を検討する。肝癌DBから得られる医療提供の実態を踏まえ、治療効果および費用対効果評価結果を得る。
2)国内で行われた外科切除とRFAの第Ⅲ相試験であるSURF試験に参加した患者の診療報酬明細書(レセプト)を収集し、初回治療後の再発時の治療も含め、死亡するまでの総治療費を算出し、各初回治療の費用対効果を解析する。
3)外科切除とRFA後の治療経過も踏まえレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて総医療費、生存期間の比較から、2)で得られた解析結果の外的妥当性を検証する。
4)肝癌DBおよびNational Database(NDB)等の既存大規模データベースから得られるソラフェニブ、レンバチニブ、レゴラフェニブ等分子標的薬の治療効果、副作用、医療費等を用いて、各薬剤またその治療順も含めた治療戦略の費用対効果を検討する。
研究方法
1) 日本肝癌研究会の全国肝癌追跡調査(肝癌DB)を用いた治療法に関する費用対効果の検討
臨床病期、組織型、初回治療内容等の初発時臨床情報が肝癌DB(80,000例)に入力されている症例で、分子標的治療が行われた症例の効果、副作用等の情報を肝癌DB参加施設から新たに収集しデータベースへ追加する。
2) SURF試験における外科切除とRFAの費用対効果に関する検討
診療報酬請求明細書(レセプト)・院外処方せんの調査が可能で、本調査に協力可能な施設を対象とする。SURF試験治療開始から死亡または試験期間終了時までにかかった医療費について、1人の被験者の生涯および試験治療期間における診療行為別医療費・総医療費を算出し、外科切除群とRFA群に関する医療経済学検討を実施する。
3) NDBオープンデータを用いた外科切除とRFAの費用対効果に関する検討
NDBオープンデータを用いて、再発後の治療経過も踏まえ総医療費、生存期間を調査する。
4)分子標的治療薬の至適投与法とその費用対効果に関する検討
肝癌DBおよびNDB等の既存大規模データベースから得られるソラフェニブ、レンバチニブ、レゴラフェニブ等、分子標的薬投与後の生存期間、治療効果、副作用、医療費等を用いて、各薬剤またその治療順も含めた治療戦略の費用対効果を間接比較する。
結果と考察
1)National Clinical Database (NCD)事務局と研究計画通りに業務計画を策定し、データマネジメントを委託した。株式会社健康保険医療情報総合研究所(PRRISM)で、DPC関連情報の収集は令和3年6月から(12月31日まで)開始し完了した。令和4年度に各治療法の生存期間、医療費等を用いて、治療戦略、費用対効果を評価する。
2)国内で行われた外科切除とRFAの第Ⅲ相試験であるSURF試験に参加した患者の診療報酬情報から総治療費を算出し、各初回治療の費用対効果を最終年度までに解析する。令和3年1月から医療費情報の収集、肝癌DBへの入力をほぼ完了した。令和4年度までに肝切除とラジオ波焼灼術(RFA)の費用対効果を検討した(論文投稿中)。
3)本NDBオープンデータを用いて、再発後の治療経過も踏まえ総医療費、生存期間の比較から、2)で得られた解析結果の外的妥当性を検証する。令和3年10月29日、匿名レセプト情報等の承諾通知書で、「条件付承諾」(利用場所に関する記載)となった。
4)薬物療法情報、医療費情報を格納可能となるように改修を加えた肝癌DBに全国の参加医療機関より4,378例の患者から5,868ラインの薬物関連情報が肝癌DBへ入力された(令和4年3月28日現在)。令和4年度に、肝癌DBおよびNDB等の既存大規模データベースから得られる分子標的薬投与後の生存期間、医療費等を用いて費用対効果を評価する。
結論
計画通りに研究が進んでいる。令和4年度以降も研究者間で進捗状況を確認しながら、研究を遂行する。

公開日・更新日

公開日
2022-06-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202108029Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
10,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 158,051円
人件費・謝金 0円
旅費 35,710円
その他 7,499,239円
間接経費 2,307,000円
合計 10,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-29
更新日
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