がん対策の年齢調整死亡率・罹患率に及ぼす影響に関する研究

文献情報

文献番号
202108028A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策の年齢調整死亡率・罹患率に及ぼす影響に関する研究
課題番号
20EA1017
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所 予防検診政策研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 祖父江 友孝(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 社会医学講座環境医学)
  • 伊藤 ゆり(大阪医科薬科大学 医学研究支援センター医療統計室)
  • 齋藤 英子(国立研究開発法人国際医療研究センター国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター)
  • 福井 敬祐(広島大学 大学院先進理工学系研究科 数学プログラム)
  • 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 堀 芽久美(静岡県立大学 看護学部)
  • 田中 詩織(国立がん研究センター がん対策研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国のがん対策推進基本計画(以下、基本計画)(第1 期・第2 期)の全体目標の一つ、10 年間で「がんの年齢調整死亡率(75 歳未満)の20%減少」は達成されなかった。原因として喫煙率やがん検診受診率の目標値が達成できなかったことなどが定性的に指摘されたが、定量的な事後評価は行われていない。第3 期基本計画では全体の数値目標は設定されなかったが、国内外では事例が多数あり、国のがん対策における全体目標の事後的、将来的な意義を検証する必要がある。本研究では、がん対策の立案および評価における年齢調整死亡率および年齢調整罹患率の現状把握として、都道府県がん対策における年齢調整死亡率・罹患率の目標値、設定根拠などを文献的に調査してまとめることを目的とした。
研究方法
①がん対策のロジックモデルの構築
がん対策関連指標のロジックモデルとして、各種対策を上流に、ストラクチャ指標、プロセス指標、生活習慣など中間アウトカムを中流に、分野別の疾病アウトカム等を下流に配置し、最下流に全体アウトカムとしての罹患・死亡の減少、健康格差の縮小、患者本位の医療、患者・家族のQOLを配置するモデルを構築した。さらにそれらの先に目指すべき社会の姿を配置する構成とした。社会環境アプローチは上流である対策に、健康格差は全体目標および分野横断的な指標として配置する形が考えられた。

②がん対策における健康格差の指標の可能性の検討
米国、カナダでは社会経済指標別の指標が定常的にモニタリングされていた。英国では死亡率、罹患率、喫煙率などの統計指標を地理的剥奪指標(ADI: Area Deprivation Index)に基づいて社会階層5分位で算出していた。
先行研究で実施されてきた各種がんに関連する格差指標については、ストラクチャ指標は最小でも市区町村や都道府県単位となることが多かった。市区町村レベルの情報があればADIが使用でき、都道府県単位であればより直接的な地域指標が使用できることがわかった。都道府県間の格差に関しては、多くの指標に基づいて算出可能であり、全国レベルでの格差指標としては使用しやすい単位であることがわかった。

③胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、女性乳がんについて、がん対策の死亡率・罹患率への影響の定量化を行った。
結果と考察
がん対策の各種指標についてロジックモデルを構築することで、概念や指標の整理が可能になるとともに、全体目標である年齢調整罹患率・死亡率の位置づけが明確になることがわかった。がん対策における健康格差の指標について、地理的剥奪指標を加味した地域間格差の指標や社会階層別公的統計の集計が有用であることがわかった。数理モデルの適用により、疾病対策の死亡率減少効果の定量化を行い、胃がんおよび肝細胞がんで予備的な結果を得た。
結論
がん対策の各種指標についてロジックモデルを構築することで、概念や指標の整理が可能になるとともに、全体目標である年齢調整罹患率・死亡率の位置づけが明確になることがわかった。がん対策における健康格差の指標について、地理的剥奪指標を加味した地域間格差の指標や社会階層別公的統計の集計が有用であることがわかった。数理モデルの適用により、疾病対策の死亡率減少効果の定量化を行い、胃がんおよび肝細胞がんで予備的な結果を得た。

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202108028Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
11,397,000円
差引額 [(1)-(2)]
603,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,398,644円
人件費・謝金 4,050,150円
旅費 163,616円
その他 2,015,883円
間接経費 2,769,000円
合計 11,397,293円

備考

備考
(2)補助金確定額は、支出合計額の千円以下を切り捨てた金額となるため、差異が生じた

公開日・更新日

公開日
2023-09-29
更新日
-