がん患者の個々のニーズに応じた質の高い相談支援の体制整備のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
202108026A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者の個々のニーズに応じた質の高い相談支援の体制整備のあり方に関する研究
課題番号
20EA1015
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
高山 智子(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 がん情報提供部)
研究分担者(所属機関)
  • 塚本 憲史(群馬大学医学部附属病院)
  • 石井 亜矢乃(岡山大学病院 総合患者支援センター)
  • 鈴宮 淳司(社会医療法人駿甲会コミュニティーホスピタル甲賀病院)
  • 藤 也寸志(九州がんセンター 消化管外科)
  • 内村 祐之(東京医科歯科大学病院 医療情報部)
  • 早川 雅代(国立がん研究センター がん対策研究所がん情報提供部)
  • 近藤 まゆみ(北里大学病院 看護部)
  • 八巻 知香子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所がん情報提供部)
  • 品田 雄市(東京医科大学 八王子医療センター 総合相談・支援センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、がん患者の個々のニーズに応じた質の高い相談支援を提供するために、環境整備が不可欠であることから、以下2つの観点から提言を行うことを目的としている。1)迅速な情報作成と活用につなげるため、全国のがん相談支援センター(以下、相談支援センター)における相談内容の定期的・継続的な収集方法を確立する。2)医療環境の変化に対応できる相談支援センターの地域や病院内のがん情報支援拠点としての機能を充実させるがん専門相談員(以下、相談員)の教育・研修プログラムを開発・評価し、継続的かつ効果的・効率的に実施するために必要な体制を策定する。さらに、がん相談支援センターの医師への周知が不十分であることが明るみになった患者体験調査の結果公表(令和2年10月)を受け、本研究班での取り組みを政策提言にも発展させる検討のため、2)の検討の中で、がんの診断早期からがん相談支援センターで相談を受けられる体制整備についても、急遽計画に追加し、検討を行うこととした。
研究方法
目的1)の相談内容の定期的・継続的な収集方法の確立に向けた検討では、(1)相談支援内容の分析と分類のプログラム開発、(2)相談支援内容の分析と分類のがん相談対応施設での検証を行い、初年度に作成したテキストマイニング技術による相談記録情報の可視化のプロトタイプを改良し、相談支援現場での実証検討を開始した。また目的2)の教育・研修プログラムの開発・評価および実施に必要な体制や方策の検討では、「情報支援研修」の地域展開に向けた検討として、(1)研修プログラムの開発、(2)チーフファシリテーターの役割、(3)研修実施を支える基盤整備、(4)研修受講者の研修効果と研修運営フィージビリティに関する検討を行い、「情報支援研修」プログラムを地域展開用に改編し、複数県を対象にしたオンライン研修を実施し、研修効果と運用フィージビリティについて検討した。2年目の後半に追加検討を行うことになった(5)診断されて間もない人への情報提供資材の評価と活用に関する研究については、がんと診断されて間もない人への情報提供資材の普及方法の検討として医師および相談員に対するアンケート、インタビュー調査の準備を行った。
結果と考察
目的1)初年度に作成したテキストマイニング技術による相談記録情報の可視化のプロトタイプを改良し、相談支援現場での実証検討を開始した。がん相談内容と対応内容のサンプルデータをもとに頻出語を可視化するWordCloudによるビジュアル化と単語の出現回数の可視化が可能になった。解析ソフトはWebブラウザのみで動くよう改良し、拠点病院の相談対応施設での実証検討を開始した。
目的2)2日間の「情報支援研修」の地域展開オンライン研修を、3地域(6県)を対象に実施し、研修効果と運用フィージビリティについて検討した。研修効果については、受講者の研修の満足度、知識、行動の観点から有用であると評価された。また運営関係者へのフィージビリティ調査でも大きな問題は見られず地域展開へ向けた次フェーズ(実展開)へつなげられると考えられた。さらにがんと診断されて間もない人への情報提供資材の普及方法の検討として医師および相談員に対するアンケート、インタビュー調査の準備を行った。
結論
目的1)では、がん相談内容と対応内容の頻出語の可視化について実臨床での検討に進めることができた。実臨床場面で、実際にどのように活用することができるかについて次年度にさらに検討を進める予定である。目的2)では、地域展開版の「情報支援研修」は、効果や運営フィージビリティの点からも、実展開へ移行できると考えられた。実展開への移行後の研修効果や運営面での課題について引き続き評価することでより確実な研修プログラムにしていくことが可能であると考えられる。一方で十分な検討ができなかったファシリテーターの教育や養成については、引き続き検討が必要である。また適時の患者への情報資材の活用に関する検討では、情報相談支援センターの地域や病院内での情報支援拠点としての機能をどのように発揮しうるかの検討でもあり、次年度に検証を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202108026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,568,000円
(2)補助金確定額
9,568,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 521,191円
人件費・謝金 3,438,209円
旅費 16,200円
その他 3,384,405円
間接経費 2,208,000円
合計 9,568,005円

備考

備考
自己資金5円

公開日・更新日

公開日
2023-09-29
更新日
-