がん患者のディーセント・ワーク実現のための就労継続・職場復帰プログラムの実用化研究

文献情報

文献番号
202108024A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者のディーセント・ワーク実現のための就労継続・職場復帰プログラムの実用化研究
課題番号
20EA1013
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
土井 俊彦(国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院 先端医療科)
研究分担者(所属機関)
  • 西田 俊朗(独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院)
  • 坂本 はと恵(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 サポーティブケア室)
  • 坪井 正博(国立がん研究センター 東病院呼吸器外科)
  • 立道 昌幸(東海大学医学部)
  • 堀之内 秀仁(独立行政法人国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、がん確定診断前後からの離職予防、治療開始後の仕事と治療の両立支援を目的として、先行研究で確立した「『仕事とがん治療の両立 お役立ちノート』(以下、お役立ちノート)を用いた両立支援プログラム ver1.0」(以下、両立支援プログラム)」の最適化、最良化、普及と社会実装化を目指す。
研究方法
(1)“仕事とがん治療の両立 お役立ちノート”(以下、お役立ちノート)を用いて行う両立支援プログラム」を用いた前向き観察研究(2021年・2022年度)
(2)“仕事とがん治療の両立 お役立ちノート”(お役立ちノート)および介入マニュアルの妥当性検証と改良(2020年・2021年度)
(3)新しい地域包括型両立支援プログラムおよび就労支援プラットフォームの開発(2020年~2023年度)
(4)両立支援プログラムの付加価値の検討(2021年~2022年度)
令和3年度は上記(2)(3)(4)を実施した。
結果と考察
1.“仕事とがん治療の両立 お役立ちノート”(お役立ちノート)および介入マニュアルの妥当性検証と改良
2020年度に事業所等の関係者に実施したヒアリング結果をもとに、お役立ちノートおよび介入マニュアルの改良を行ったうえでWEB(およびデジタルサイネージ)版を構築した。
また、2020年度の関係者ヒアリング時に、補完すべき情報として要望の高かった、がん治療の概略・疼痛緩和・運動・スキンケア・外見ケア・がん治療と食事・患者会・社会保障制度詳細版に関しては、WEB視聴可能なものとした。令和4年3月時点で24動画を作成、月平均4.369回の再生回数、利用者居住地は全国43都道府県と、広域における利用者層の獲得が実現した。
2.新しい地域包括型両立支援プログラムおよび就労支援プラットフォームの開発
本研究では、従来の事業所に勤務する患者を主たる支援対象者とした両立支援プログラムに加え、これまで十分に支援されてこなかった、自営業や家内労働の人材を含むあたらしい地域包括型両立支援プログラムやプラットフォーム構築を目指している。具体的な取り組みは以下の2点である。
(1)街・人々の社会貢献活動を支援するコミュニティの構築
2020年度に柏の葉スマートシティ・行政就業事業者との情報交換を実施した。自営業や家内労働の人材を対象とした両立支援プログラムの実現には、地域内での患者とピアサポーターら、あるいは多領域の事業主・行政・医療従事者らをつなぐコミュニティづくりが必要不可欠であることが確認された。この結果を踏まえ、我々は2021年度に柏の葉スマートシティ(柏市・企業・大学・国立がん研究センター東病院棟の公・民・学連携組織)と連動した情報発信の基盤づくりを実施、2022年度は本基盤を用いたピアサポートの場の提供ならびに各種コンテンツの作成・発信を用いた実証実験を行う予定である。
(2)ワークシェアシステムの構築
あたらしい地域包括型両立支援プログラムの対象となる自営業や家内労働の人材は、事業所に所属する産業保健専門職の支援の対象外となることから、医療機関‐行政機関による両立支援プログラムが必要である。現在、スマートシティとして未来情報都市を目指す柏の葉では、ワークシェア(短期就労)やショートワークマッチングアプリが運用されている。本研究ではこの機能をがん治療中の自営業や専業主婦(夫)での活用やがんサバイバー同志によるヘルプマッチングエコシステムでの利活用を目指している。2022年度は、柏の葉スマートシティに参画する企業ががん患者の短期就労を視野に入れて開発したバーチャル空間を用いた就労マッチングシェアシステムを用い実装実験を行う予定である。
3.両立支援プログラムの付加価値の検討
両立支援プログラムの普及には、就労支援の基幹となるがん拠点病院等医療機関、産業保健総合支援センター、事業所間のトライアングルサポートの情報共有と協調的支援が重要である。本課題をクリアすべく、2021年10月より個人情報が配慮され、かつPCやタブレット等端末を選ばすにデータアクセス可能なクラウド環境を有する企業のヘルスデータバンクとの連動について協議を開始した。2022年度はIoTプラットフォーム構築とフィージビリティを検証する予定である。
結論
2021年度は、WEB版お役立ちノートの構築および追加コンテンツの作成のほか、個人情報保護に配慮したクラウド環境整備、事業・患者への周知方法の体制整備を実施した。
今後、WEB版お役立ちノートに個人情報に配慮した情報共有プラットフォームを整備したうえで、臨床試験を行い有用性を検証する予定である。

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202108024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,400,000円
(2)補助金確定額
7,262,000円
差引額 [(1)-(2)]
3,138,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 4,862,000円
間接経費 2,400,000円
合計 7,262,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-09-29
更新日
-