文献情報
文献番号
202108016A
報告書区分
総括
研究課題名
希少がんの情報提供・相談支援ネットワークの形成に関する研究
課題番号
20EA1005
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
川井 章(国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
- 松浦 成昭(大阪大学医学部)
- 馬場 英司(九州大学大学院医学研究院社会環境医学講座連携社会医学分野)
- 赤司 浩一(国立大学法人九州大学 医学研究院)
- 遠藤 誠(九州大学 整形外科)
- 西田 俊朗(独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院)
- 東 尚弘(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 がん登録センター)
- 柴田 大朗(国立がん研究センター 多施設臨床試験支援センター)
- 鈴木 達也(国立研究開発法人 国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター)
- 高山 智子(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供部)
- 岩田 慎太郎(国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)
- 下井 辰徳(国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科)
- 加藤 陽子(国立がん研究センター 希少がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、我が国における希少がんに関する情報提供・相談支援の課題を解決するために、全国の数か所で情報提供・相談支援のHubとなる施設「地域希少がんセンター(仮称)」を立ち上げ、希少がん患者が、住み慣れた地域で、質の高い相談支援を受けられる体制・ネットワークを構築するためのパイロット研究を行うことを目的とする。
研究方法
令和3年度は、各施設(国立がん研究センター、大阪国際がんセンター、九州大学)における地域希少がんセンターの開設・運営、希少がんホットラインの実施と共に、3施設の研究者によってweb会議を行い、以下の研究を行った。
1. 希少がんホットラインの標準化・データベース作成のための研究:
2. 希少がんの定義のためのがんの種類の分類に関する研究:
3. がん相談支援センターとの連携に関する研究:
1. 希少がんホットラインの標準化・データベース作成のための研究:
2. 希少がんの定義のためのがんの種類の分類に関する研究:
3. がん相談支援センターとの連携に関する研究:
結果と考察
初年度に策定した「地域希少がんセンターの備えるべき機能」「希少がんホットラインの手引き」等の試案を、それぞれの地域希少がんセンターにおいて実際に運用し、その問題点および改訂すべき方向性等の検討を行うと共に、希少がんの定義のためのがんの種類の分類に関する研究、がん相談支援センターとの連携に関する研究を実施した。
1. 希少がんホットラインの標準化・データベース作成のための研究:
①各施設における希少がんホットライン実施状況調査、②各施設の希少がんホットラインの相談内容とその対応方法、③各施設の希少がんホットラインでの情報収集と記録方法、を明らかにした。また、④「希少がん診療医療機関リスト」の取り纏め手順を取り決めた。
2. 希少がんの定義のためのがんの種類の分類に関する研究:
希少がん対策の基盤となる「希少がんの定義」のための尺度について、RARECAREの分類をベースに、新しいICD-O-3.2の体系をもとに、より論理的で使いやすい分類の作成を試みた。現行のRARECARE分類ではTier1としてsarcomaがあげられているが、これを骨・末梢神経・腹膜についてそれぞれTier1として独立させ、sarcomaは組織名であるのでsite-agnostic分類として全部位に対するTier2とした。頭頚部がんでは、UICCのステージ分類の境界に従って、舌の境界部位、口蓋を口腔・口唇に変更し、下咽頭と喉頭が同一Tier1となっていたものを分離した。また、血液に関しても、骨髄、リンパ節をTier1として新たに定めた。これらのTier1, Tier2の整理によって、2020年の症例数からTier1のレベルで希少がんの候補となったものは、鼻腔・副鼻腔上咽頭、大唾液腺、小腸、肛門、気管、胸腺、膣、胎盤、精巣、陰茎、尿道、眼、中耳、盲腸、下垂体、副甲状腺、副腎、松果体、骨、腹膜、心臓、縦隔、胸膜の悪性腫瘍であった。すなわち、これらの部位に発生したがんは全て希少がんと考えてよい。さらに、これらの部位以外に発生したがんの中で、Tier2で数が少ないものも希少がんとなるが、これらに関しては引き続き検討中である。
3. がん相談支援センターとの連携に関する研究:
全国のがん相談支援センターのうち、「施設別がん登録検索システム」を利用している全64施設に対して実施したアンケート調査の結果から、希少がんに関する相談の状況や、期待される情報提供の内容等について検討を行った。
1. 希少がんホットラインの標準化・データベース作成のための研究:
①各施設における希少がんホットライン実施状況調査、②各施設の希少がんホットラインの相談内容とその対応方法、③各施設の希少がんホットラインでの情報収集と記録方法、を明らかにした。また、④「希少がん診療医療機関リスト」の取り纏め手順を取り決めた。
2. 希少がんの定義のためのがんの種類の分類に関する研究:
希少がん対策の基盤となる「希少がんの定義」のための尺度について、RARECAREの分類をベースに、新しいICD-O-3.2の体系をもとに、より論理的で使いやすい分類の作成を試みた。現行のRARECARE分類ではTier1としてsarcomaがあげられているが、これを骨・末梢神経・腹膜についてそれぞれTier1として独立させ、sarcomaは組織名であるのでsite-agnostic分類として全部位に対するTier2とした。頭頚部がんでは、UICCのステージ分類の境界に従って、舌の境界部位、口蓋を口腔・口唇に変更し、下咽頭と喉頭が同一Tier1となっていたものを分離した。また、血液に関しても、骨髄、リンパ節をTier1として新たに定めた。これらのTier1, Tier2の整理によって、2020年の症例数からTier1のレベルで希少がんの候補となったものは、鼻腔・副鼻腔上咽頭、大唾液腺、小腸、肛門、気管、胸腺、膣、胎盤、精巣、陰茎、尿道、眼、中耳、盲腸、下垂体、副甲状腺、副腎、松果体、骨、腹膜、心臓、縦隔、胸膜の悪性腫瘍であった。すなわち、これらの部位に発生したがんは全て希少がんと考えてよい。さらに、これらの部位以外に発生したがんの中で、Tier2で数が少ないものも希少がんとなるが、これらに関しては引き続き検討中である。
3. がん相談支援センターとの連携に関する研究:
全国のがん相談支援センターのうち、「施設別がん登録検索システム」を利用している全64施設に対して実施したアンケート調査の結果から、希少がんに関する相談の状況や、期待される情報提供の内容等について検討を行った。
結論
本研究は、我が国における希少がんに関する情報提供・相談支援のHubとなる施設「地域希少がんセンター(仮称)」を立ち上げ、希少がん全国ネットワークを構築するためのパイロット研究を行うことを目的としている。研究2年目の令和3年度は、各地域希少がんセンターの開設・運営、希少がんホットラインの実施と共に、①希少がんホットラインの標準化・データベース作成のための研究、②希少がんの定義のためのがんの種類の分類に関する研究、③がん相談支援センターとの連携に関する研究を行った。その中で、欧州のRARECAREの分類に代わる希少がんの定義のための新たながんの種類の分類を作成する予定である。新たながんの分類は、欧州のグループはじめ世界に広く公開し、新たな希少がんの定義の基準として世界で広く活用されることを期待している。
公開日・更新日
公開日
2022-06-17
更新日
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