AYA世代がん患者に対する精神心理的支援プログラムおよび高校教育の提供方法の開発と実用化に関する研究

文献情報

文献番号
202108009A
報告書区分
総括
研究課題名
AYA世代がん患者に対する精神心理的支援プログラムおよび高校教育の提供方法の開発と実用化に関する研究
課題番号
19EA1012
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 藤森 麻衣子(国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 健康支援研究部)
  • 明智 龍男(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 精神・認知・行動医学分野)
  • 平山 貴敏(国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科)
  • 田中 恭子(国立成育医療研究センター こころの診療部)
  • 小澤 美和(聖路加国際病院 小児科)
  • 土屋 雅子(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターがんサバイバーシップ支援部)
  • 森 麻希子(埼玉県立小児医療センター 血液・腫瘍科)
  • 前田 尚子(国立病院機構名古屋医療センター小児科)
  • 栗本 景介(名古屋大学 医学部付属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
6,520,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、AYA世代がん患者に対して包括的な質の高い精神心理的支援および適切な後期中等教育を提供できるようにするため、①包括的精神心理支援プログラムの開発 ②疾患受容評価に基づく思春期の意思決定支援プログラムの開発 ③高校教育提供の方法および教育行政との連携方法の好事例集および保護者,医療者,高校教師に向けた高校教育支援の手引きの作成を行うことを目的とした。
研究方法
①2年目に全国8施設において実施した支援プログラムの臨床運用結果を後方視的に解析し、精神心理的支援プログラムの実施可能性と有用性を検討する。その結果を踏まえて、精神心理的支援プログラムマニュアルを作成する。②2年目に開発した意思決定能力の4要素モデルを用いたA世代版疾病受容評価面接法を用いて、面接および意思決定支援を行い、実施可能性や有用性を検討したのちに、面接法と支援をパッケージ化した意思決定支援手引きを作成する。また、A世代患者向けのリーフレットを作成する。③高校生がん患者の教育支援経験を有する施設へのインタビュー調査結果に基づいて課題の整理と好事例の類型化を行い、それをもとに好事例集を作成する。双方向性遠隔教育システムを用いた教育支援の実証研究を行う。都道府県および政令都市教育委員会を対象に行ったアンケート調査結果を分析し、教育委員会等行政と関係機関の連携のあり方を検討する。高校在学中にがん診断を受けた患者・保護者、がん診断をうけた高校生に対する教育経験を有する高校教師のインタビュー調査結果によりニーズを把握して手引きを作成する。④3つのプロジェクトで作成した成果物の関係機関への配布、ホームページでの公開、公開シンポジウム開催を通じて、AYA世代がん患者の精神心理的支援および高校教育支援のニーズと支援方法の普及啓発を図る。
結果と考察
包括的精神心理支援プログラムの開発にあたり、各施設のリソースに合わせて実施可能な支援プログラムの実施マニュアルを作成し、8施設において目標実施例数200例を大幅に上回る353例に臨床運用が行われ、包括的精神心理的支援プログラムの実施可能性と予備的有用性が示された。それを踏まえて精神心理的支援プログラムマニュアルを作成した。2年目に開発した意思決定の4要素モデルを用いたA世代版疾病受容評価面接法を7名に実施し、疾病受容評価、自律支援,多職種で行う意思決定の支援に有効である可能性が示された。これを踏まえて、疾病受容評価を用いた支援の手引と事例集を作成した。また、 A世代患者向けのトラウマインフォームドケアガイドのリーフレットを作成した。高校教育提供の方法および教育行政との連携方法の好事例集および手引きの作成に向けて、高校教育継続支援を開始するための参考になる15事例をまとめ、教育委員会調査結果を基に策定した行政側の支援モデルと合わせて好事例集を作成した。双方向性遠隔教育システムを用いた教育支援を10人の高校生に対して実証研究を行い、遠隔授業の利点と課題を明らかにした。がんと診断された高校生・保護者、医療者、高等学校の教師を対象に行ったインタビュー調査結果を踏まえて「高校生活とがん治療の両立のための教育サポートブック」を作成した。各プロジェクトにおいて作成された成果物を全国のがん診療連携拠点病院および小児がん拠点病院,小児がん連携病院の相談支援センター、関連診療科、看護部等へ、好事例集と教育サポートブックは教育関係機関にも郵送配布し、研究班のホームページにおいてもpdfを無料ダウンロードできるようにした。また、公開Webシンポジウムを開催し、普及啓発を行った。
結論
AYA世代がん患者に対して包括的な質の高い精神心理的支援、および、適切な後期中等教育を提供できるようにするため3つのプロジェクトを実施した。包括的精神心理的支援プログラムを開発し、その実施可能性と有用性を確認し、精神心理的支援プログラムマニュアルを作成した。病状説明の実態調査結果を踏まえ、思春期の意思決定支援プログラムとして、疾病受容評価評価面接法の開発、および、疾病受容支援ツールの作成を行った。高校教育提供の方法、ならびに、関係機関と行政の連携方法の15の好事例を集めた好事例集、ならびに、高校生・保護者、医療者、高等学校教師向けに教育サポートブックを作成した。これらの成果物を全国の関係機関への送付やホームページでの公開、公開シンポジウムのWeb開催を通じて普及啓発を行った。今後、AYA世代がん患者への質の高い精神心理的支援と教育支援が普及することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2022-08-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202108009B
報告書区分
総合
研究課題名
AYA世代がん患者に対する精神心理的支援プログラムおよび高校教育の提供方法の開発と実用化に関する研究
課題番号
19EA1012
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 藤森 麻衣子(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所・支持・サバイ バーシップTR研究部/行動科学研究部)
  • 明智 龍男(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 精神・認知・行動医学分野)
  • 平山 貴敏(国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科)
  • 田中 恭子(国立成育医療研究センター こころの診療部)
  • 小澤 美和(聖路加国際病院 小児科)
  • 土屋 雅子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 医療提供・サバイバーシップ政策研究部)
  • 森 麻希子(埼玉県立小児医療センター 血液・腫瘍科)
  • 前田 尚子(国立病院機構名古屋医療センター小児科)
  • 栗本 景介(名古屋大学 医学部附属病院 消化器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、AYA世代がん患者に対して包括的な質の高い精神心理的支援および適切な後期中等教育を提供できるようにするため、①包括的精神心理支援プログラムの開発 ②疾患受容評価に基づく思春期の意思決定支援プログラムの開発 ③高校教育提供の方法および教育行政との連携方法の好事例集および保護者,医療者,高校教師に向けた高校教育支援の手引きの作成を行うことを目的とした。
研究方法
国立がん研究センター中央病院の支援プログラムの後方視的解析と外的妥当性を検討した結果を踏まえて精神心理支援プログラムを策定し、各施設で実施可能なマニュアルを作成し、全国8施設において臨床運用を実施する。その結果を踏まえて、精神心理的支援プログラムマニュアルを完成させる。A世代患者への病状説明の実態調査結果を踏まえて意思決定の4要素モデルを用いたA世代版疾病受容評価面接法を開発する。それを臨床実装して実施可能性や有用性を検討したのちに、面接法と支援をパッケージ化した意思決定支援手引きを作成する。また、トラウマインフォームドケアガイドを翻訳し、A世代患者向けと親向けの2つのリーフレットを作成する。高校教育提供の現状について小児および成人診療科にアンケート調査を実施し、教育支援の実態を把握する。高校生がん患者の教育支援経験を有する施設に対してインタビュー調査を実施し、好事例について課題の整理と類型化を行い、好事例集を作成する。双方向性遠隔教育支援の実証研究を行う。都道府県および政令都市教育委員会を対象にアンケート調査を実施し、教育委員会等行政と関係機関の連携方法を検討する。高校在がん患者・保護者、高校生がん患者の教育経験を有する高校教師のインタビュー調査を行い、ニーズを把握して手引きを作成する。これらを用いて、AYA世代がん患者の精神心理的支援および高校教育支援の支援の必要性と方法の普及啓発を図る。
結果と考察
各施設のリソースに合わせて実施可能な精神心理支援支援プログラムの実施マニュアルを作成した。8施設353人に臨床運用を行い、本プログラムの実施可能性の高さが示唆された。小児がん拠点病院の医師を対象に行ったA世代に対する病状説明の実態調査結果と専門家との意見交換を踏まえてA世代版疾病受容評価面接法を開発した。疾病受容評価面接および多職種による支援を7人に実施し、回答内容と面接前後の経過について質的に検討し、支援の手引と事例集を作成した。また、A世代患者向けと親向けの2つのトラウマインフォームドケアガイドのリーフレットを作成した。高校生の教育支援の実施状況について日本小児がん研究グループ(JCCG)、および、成人白血病治療共同研究機構(JALSG)の参加施設を対象にアンケート調査を実施した。成人診療科の回答率、高校教育の継続の経験値が少なく、成人診療科への啓発の必要性が示唆された。好事例を有するJCCG参加施設への二次調査により医療機関、行政、在籍高校、特別支援学校の関わりや抱える課題を整理・類型化し、好事例集を作成した。双方向性遠隔教育システムを用いた教育支援を10人の高校生に対して実証研究を行い、遠隔授業の利点と課題を明らかにした。全国の教育委員会を対象にアンケート調査を行った。高校生入院患者の把握と教育支援に携わる機関間の調整が重要であることを踏まえて、行政側の支援モデルを策定した。高校生がん患者・保護者、がん患者の教育経験を有する高校教師のインタビュー調査を行い、高校教育支援の手引きに求められる事柄を把握し、教育サポートブックを作成した。これら成果物を全国のがん拠点病院や高等学校、行政機関に配布するとともに、ホームページでの公開、公開シンポジウム開催を通じて普及啓発を行った。
結論
AYA世代がん患者に対して包括的な質の高い精神心理的支援、および、適切な後期中等教育を提供できるようにするため3つのプロジェクトを実施した。包括的精神心理的支援プログラムを開発し、その実施可能性と有用性を確認し、精神心理的支援プログラムマニュアルを作成した。思春期の意思決定支援プログラムとして、疾病受容評価面接法の開発、および、疾病受容支援ツールの作成を行った。高校教育提供の方法、ならびに、関係機関と行政の連携方法の好事例を集めた好事例集、ならびに、高校生・保護者、医療者、高等学校教師向けに教育サポートブックを作成した。これらの成果物を全国の関係機関への送付やホームページでの公開、公開シンポジウム開催を通じて普及啓発を行った。今後、AYA世代がん患者への質の高い精神心理的支援と教育支援が普及することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2022-08-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202108009C

収支報告書

文献番号
202108009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,996,000円
(2)補助金確定額
7,996,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 259,184円
人件費・謝金 1,780,198円
旅費 0円
その他 4,480,620円
間接経費 1,476,000円
合計 7,996,002円

備考

備考
自己資金2円

公開日・更新日

公開日
2023-09-29
更新日
-