自殺未遂者および自殺者遺族等へのケアに関する研究

文献情報

文献番号
200833008A
報告書区分
総括
研究課題名
自殺未遂者および自殺者遺族等へのケアに関する研究
課題番号
H18-こころ・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 弘人(国立精神・神経センター 精神保健研究所 社会精神保健部)
研究分担者(所属機関)
  • 有賀 徹(昭和大学 医学部 救急医学)
  • 河西 千秋(公立大学法人 横浜市立大学 医学部)
  • 川野 健治(国立精神・神経センター 精神保健研究所 自殺予防総合対策センター)
  • 中村 惠子(札幌市立大学 看護学部)
  • 桑原 寛(神奈川県精神保健福祉センター)
  • 平田 豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 佐伯 俊成(広島大学病院医系総合診療科)
  • 松島 英介(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 心療・緩和医療学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自殺未遂者・自殺者遺族等へのケアに資するために、遺族ケアに関する研究、未遂者ケアに関する共同研究、および身体疾患と自殺・精神疾患に関する検討を実施した。特に、適切なケアの普及をめざして、学術団体等の組織と協力しながら、ケアのガイドライン・手引きを開発した。
研究方法
1.自殺者親族等へのケアに関する研究:遺族111名を対象としたケアニーズ調査、1,800名を対象とした態度調査を行い、研修効果測定ツールを開発し、関係諸機関と連携して検討班を組織しガイドラインを作成した。2.自殺未遂者のケアに関する研究:学会等と協力体制をとりつつ、検討班を組織して3種類のガイドラインを作成した。3.身体疾患と精神的健康に関する研究:病院糖尿病内科に教育入院となった20歳以上の2型糖尿病患者121例を対象とした研究、およびがん患者遺族500名を対象とした調査を実施した。
結果と考察
地域相談従事者のための自死遺族ケアのガイドライン1種、自殺未遂者を対象としたガイドライン3種(1.精神保健・福祉相談従事者・自治体の生活相談対応従事者のための指針、2.救急医療部門の手引き、3.精神科救急部門の手引き)、研修効果測定ツールが開発された。また、今後のケアに資する基礎的情報を、各調査研究から得ることができた。
結論
今後、開発されたガイドラインやツールが今後広く周知され、またこれらを教材とする研修会の実施などにより現場で活用されていくことが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200833008B
報告書区分
総合
研究課題名
自殺未遂者および自殺者遺族等へのケアに関する研究
課題番号
H18-こころ・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 弘人(国立精神・神経センター 精神保健研究所 社会精神保健部)
研究分担者(所属機関)
  • 有賀 徹(昭和大学 医学部 救急医学)
  • 河西 千秋(公立大学法人 横浜市立大学 医学部)
  • 川野 健治(国立精神・神経センター 精神保健研究所 自殺予防総合対策センター)
  • 瀬戸屋 雄太郎(国立精神・神経センター 精神保健研究所 社会復帰相談部)
  • 中村 惠子(札幌市立大学 看護学部)
  • 桑原 寛(神奈川県精神保健福祉センター)
  • 平田 豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 佐伯 俊成(広島大学病院医系総合診療科)
  • 松島 英介(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 心療・緩和医療学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、自殺未遂者・自殺者遺族等へのケアに資するために、希死念慮者に関する病院調査、学術団体等との未遂者ケアに関する共同研究、遺族ケアに関する研究、および身体疾患と自殺・精神疾患に関する検討を実施した。特に、適切なケアの普及をめざして、学術団体等の組織と協力しながら、ケアのガイドライン・手引きを開発した。
研究方法
1.希死念慮者に関する総合病院全国調査:精神科病床を有する1,600病院のうち無作為に抽出した約500病院の302名に対し、希死念慮者へのメッセージの内容に関するアンケート調査を行った。2.自殺未遂者のケアに関する研究:学会等と協力体制をとりつつ、検討班を組織して3種類のガイドラインを作成した。3.自殺者親族等へのケアに関する研究:遺族109名を対象としたケアニーズ調査、1,800名を対象とした態度調査を行い、研修効果測定ツールを開発し、関係諸機関と連携して検討班を組織しガイドラインを作成した。4.身体疾患と精神的健康に関する研究:病院糖尿病内科に教育入院となった20歳以上の2型糖尿病患者121例を対象とした研究、およびがん患者遺族500名を対象とした調査を実施した。
結果と考察
医師の希死念慮者への対応の構造が明らかになった。地域相談従事者のための自死遺族ケアのガイドライン1種、自殺未遂者を対象としたガイドライン3種(1.精神保健・福祉相談従事者・自治体の生活相談対応従事者のための指針、2.救急医療部門の手引き、3.精神科救急部門の手引き)、研修効果測定ツールが開発された。また、今後のケアに資する基礎的情報を、各調査研究から得ることができた。
結論
本研究成果が、自殺総合対策大綱にある重要課題への取り組みを促し、関係団体での自殺予防活動が進み、ひいては国民の活力と福祉に寄与するとともに、すみやすい社会の生成へと貢献することを願う。

公開日・更新日

公開日
2009-03-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200833008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまでほとんどデータのない自殺未遂者・自死遺族の実態把握のために調査を行い、救命救急センター調査では搬送された未遂者の81%が精神医学的診断分類に該当したこと、遺族会を中心とした調査では自死遺族の半数近くに気分・不安障害の可能性があることが見出された。調査結果を学術誌に発表するとともに、そこで各種学術団体、精神保健福祉センター長会等と協力して、救命や地域でのケアについて知見をまとめ、さらに未遂者ケア・遺族ケアのための教育ツールを開発し、効果を検証した。
臨床的観点からの成果
複数の学術団体と協力してガイドラインを開発し、それぞれの学術団体の会員である医師・看護師等にガイドラインが提供されたことで、日常の身体科・精神科救急における未遂者ケア活動を支援することにつながった。
ガイドライン等の開発
厚生労働省の下に設けられた「自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会」と連動して、自殺未遂者ケアガイドラインの作成指針、自殺者親族等のケアに関するガイドライン作成指針を作成した。さらにこれら作成指針に沿って、「自殺未遂者への対応:救急外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフのための手引き」「精神科救急医療ガイドラインー自殺未遂者への対応」「自殺に傾いた人を支えるためにー相談担当者のための指針」「自死遺族を支えるためにー相談担当者のための指針」を作成した。
その他行政的観点からの成果
開発されたガイドラインのうち、「自殺に傾いた人を支えるためにー相談担当者のための指針」「自死遺族を支えるためにー相談担当者のための指針」は2009年3月31日に厚生労働省からプレスリリースされた。「自殺未遂者への対応:救急外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフのための手引き」「精神科救急医療ガイドラインー自殺未遂者への対応」も近く公開される予定である。また、これらのガイドラインは厚生労働省が2009年3月に開催した自死遺族ケアシンポジウム及び自殺未遂者ケア研修で資料として提供された。
その他のインパクト
開発されたガイドラインのうち、「自殺に傾いた人を支えるためにー相談担当者のための指針」「自死遺族を支えるためにー相談担当者のための指針」については、マスコミ取材があった。また、国立精神・神経センター精神保健研究所での心理職等自殺対策研修、自殺対策相談支援研修において、広く医師、保健師、現場心理職、PSWらへの教育に活用されつつある。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
29件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
41件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
ガイドラインのプレス・リリース、ならびに厚生労働省が主催したシンポジウム、研修会での資料として提供
その他成果(普及・啓発活動)
7件
2つのガイドライン作成指針の作成、および5つのガイドラインの作成

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
川島大輔・小山達也・川野健治・他
希死念慮者へのメッセージにみる,自殺予防に対する医師の説明モデル―テキストマイニングによる分析
パーソナリティ研究 , 17 (2) , 121-132  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-05-28
更新日
-