生殖医療ガイドラインの適切な運用と今後の改良に向けた研究

文献情報

文献番号
202107025A
報告書区分
総括
研究課題名
生殖医療ガイドラインの適切な運用と今後の改良に向けた研究
課題番号
21DA2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
大須賀 穣(国立大学法人 東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 廣田 泰(東京大学 医学部附属病院)
  • 久慈 直昭(東京医科大学医学部)
  • 山田 満稔(慶應義塾大学医学部産婦人科)
  • 辻村 晃(順天堂大学医学部附属浦安病院 泌尿器科)
  • 平田 哲也(東京大学 医学部付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
少子高齢化が急速に進行し生殖医療の重要性が増している。令和2年の菅総理大臣の所信表明で不妊治療の保険適用拡大の方針が打ち出され、厚生労働省では生殖補助医療を含む不妊症診療の新しい保険制度へ移行する準備・検討が開始された。生殖医療は十分な医学的エビデンスが構築される前に新たな治療法が実地診療に導入され発展してきたこと、不妊患者の医学的背景は多岐で各医療機関で個別に診療が実施されてきたことから、治療が標準化されておらず必ずしも有効性・安全性が明らかでないものが存在していた。生殖医療の保険適用の検討に際しては、医学的エビデンスと国内の実態を基にした国内の診療・治療ガイドラインを作成する必要が生じていた。
このような社会背景のもと、生殖医療、特に生殖補助医療に焦点を当てて、エビデンスとコンセンサスに基づいた生殖医療ガイドラインの作成・刊行すること、刊行した生殖医療ガイドラインについて改訂に向けた案を検討することを目的として本研究を行った。
研究方法
生殖医療ガイドライン作成委員会(本代表・分担研究者が委員となり運営)が主体となり、日本生殖医学会と連携して生殖医療ガイドライン作成委員会を設置し、40のクリニカルクエスションを設定し、クリニカルクエスションに対して文献・情報を収集しアンサーを作成し、生殖医療ガイドラインの原案を作成した。クリニカルクエスションには生殖医療施設に求められる要件、生殖医療の適応・胚培養・卵巣刺激、合併症、胚操作、add-ons医療、心理的サポート・カウンセリング、男性不妊の検査・治療などを設定した。原案に対するパブリックコメント募集、外部評価委員で構成される生殖医療ガイドライン評価委員会で評価、日本産科婦人科学会や日本泌尿器科学会等の関連学会から意見収集した。これらの意見を基に生殖医療ガイドラインを修正し生殖医療ガイドラインを完成させ発刊した生殖医療ガイドラインに記載の医薬品について、医薬品の保険適用に向けて必要な情報収集を行った。
結果と考察
生殖医療実施に当たり適切な指標となるような水準を目標として、国内初の生殖医療ガイドラインが作成され、刊行された。これにより、エビデンスと実態に基づいて現時点での生殖医療の標準検査・治療が示された。令和4年度から開始された生殖補助医療を含む不妊症診療に関する新しい保険制度の設計には、生殖医療ガイドラインが広く引用された。
一方、現時点で十分なエビデンスがないものについて推奨レベルが低い等、生殖医療ガイドラインには議論の余地がまだ多く、ガイドラインの改定に向けて、生殖医療に関わる医療者・研究者が協力して国内でのエビデンス蓄積を進める必要があると考えられた。
結論
本研究により、国内初の生殖医療ガイドラインが作成・刊行された。令和4年度開始の不妊症の新しい保険制度は生殖医療ガイドラインが大いに引用されて設計された。

公開日・更新日

公開日
2022-08-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-08-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202107025Z