文献情報
文献番号
202107016A
報告書区分
総括
研究課題名
都道府県や県型保健所による子育て世代包括支援センターの機能強化支援のための研究
課題番号
20DA2001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 拓代(公益社団法人母子保健推進会議)
研究分担者(所属機関)
- 山縣 然太朗(山梨大学 大学院総合研究部 医学域 社会医学講座)
- 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター)
- 高橋 睦子(吉備国際大学 保健医療福祉学部)
- 福島 富士子(東邦大学 看護学部看護学科家族・生殖看護学研究室)
- 上原 里程(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部)
- 上野 昌江(関西医科大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,320,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
自治体における子育て世代包括支援センター(以下、「センター」とする)の設置推進と、厚生労働科学研究「子育て世代包括支援センターの全国展開に向けた体制構築のための研究」で作成されたセンター業務ガイドライン(改定案)とセンターにおける面談・支援の手引きの普及啓発、及びそれらの効果的研修プログラムの開発を行い、都道府県及び県型保健所と連携したセンターにおける切れ目のない妊娠・出産・子育て期における支援の充実と機能の強化をはかることを目的とする。
研究方法
1.センター設置の推進支援
県及び県型保健所の協力を得て、未設置自治体が多い自治体に対してオンラインも活用し研修を行った。
2.都道府県及び県型保健所の自治体支援の実態把握
都道府県47カ所に対し質問紙調査を行った。また、全国354カ所の県型保健所に対して質問紙調査を行った。
県及び県型保健所の協力を得て、未設置自治体が多い自治体に対してオンラインも活用し研修を行った。
2.都道府県及び県型保健所の自治体支援の実態把握
都道府県47カ所に対し質問紙調査を行った。また、全国354カ所の県型保健所に対して質問紙調査を行った。
結果と考察
【結果】
1.センター設置の推進支援
センター設置率が低い県の協力(県型保健所を含む)を得て、センター未設置の自治体にオンライン研修と意見交換会を行い、設置に向けて検討するなどの手応えがあった。
2.都道府県および県型保健所に対する調査
(1)都道府県調査
47都道府県から回答があり、回答率は100%であった。令和2年4月1日現在、センター未設置市区町村が39カ所都道府県にあり、「状況把握」89.7%、「情報交換会」46.2%等を行っていた。管轄保健所と連携しての取り組みは「情報交換会」が72.2%で実施されていた。センターの効果的な展開のための取り組みは、「関係機関連携会議の開催」76.6%、「自治体の好取組の情報提供」44.7%が多く、「PDCAサイクルの推進支援」は14.9%と少なかった。母子保健事業を評価する母子保健計画の策定が厚生労働省から示されているが、95.7%で策定されており、含まれている内容は「子育て世代包括支援センター事業」が82.2%と多く、「県型保健所の関与」は31.1%であった。センター機能強化に必要と思われる支援を分類すると「人材育成支援」40.4%、「情報共有・意見交換」が34.0%と多くあげられていた。
(2)県型保健所調査
311カ所から回答があり、回答率は87.9%であった。管内市町村数は平均4.5カ所で、令和3年4月の管轄市町村のセンター設置率は91.4%であった。センターの設置および活動に関する支援は63.3%が行っていたが、設置率との関係は見られなかった。支援を行っている保健所では「関係機関の連携支援」75.9%が多く、「地域の評価」11.5%及び「PDCAサイクルの推進支援」は5.8%と少なかった。センターの設置および活動に対する支援を行っていない36.7%では、理由が「すでに自治体がよく取り組んでいる」57.9%が最も多く、「保健所の役割でない」「センターについて知識がない」はどちらも7.0%で少なかった。母子保健に関する会議は89.7%が行っており、「母子保健担当者会議」が60.1%と多く、そのほか周産期等に関する会議やさまざまな会議がもたれていた。センター機能強化に必要と思われる支援を分類すると「情報交換・意見交換」が33.8%、「人材育成支援」が17.4%と多くあげられていた。
(3)都道府県と県型保健所の連携支援
センターは9割以上の市区町村に設置されており、次のステップは利用者にとって切れ目のない支援を進めることである。(1)(2)から、自治体の評価やPDCAサイクルの推進は支援が十分とは言いがたく、都道府県と県型保健所のさらなる連携による取り組みが重要である。
【考察】
センター未設置自治体に対する働きかけは、オンラインでも意見交換を行うことが有意義であった。
センターは9割以上の市区町村に設置されているが、都道府県や県型保健所に対する調査から、評価への支援やPDCA推進の支援が少なく、今後取り組むべき課題と考えられた。また、都道府県は「人材育成支援」が、県型保健所は「情報共有・意見交換」を多く必要と考えており、役割を分担して連携して取り組むことの必要性が示唆された。次年度の取り組みに生かしていく。
1.センター設置の推進支援
センター設置率が低い県の協力(県型保健所を含む)を得て、センター未設置の自治体にオンライン研修と意見交換会を行い、設置に向けて検討するなどの手応えがあった。
2.都道府県および県型保健所に対する調査
(1)都道府県調査
47都道府県から回答があり、回答率は100%であった。令和2年4月1日現在、センター未設置市区町村が39カ所都道府県にあり、「状況把握」89.7%、「情報交換会」46.2%等を行っていた。管轄保健所と連携しての取り組みは「情報交換会」が72.2%で実施されていた。センターの効果的な展開のための取り組みは、「関係機関連携会議の開催」76.6%、「自治体の好取組の情報提供」44.7%が多く、「PDCAサイクルの推進支援」は14.9%と少なかった。母子保健事業を評価する母子保健計画の策定が厚生労働省から示されているが、95.7%で策定されており、含まれている内容は「子育て世代包括支援センター事業」が82.2%と多く、「県型保健所の関与」は31.1%であった。センター機能強化に必要と思われる支援を分類すると「人材育成支援」40.4%、「情報共有・意見交換」が34.0%と多くあげられていた。
(2)県型保健所調査
311カ所から回答があり、回答率は87.9%であった。管内市町村数は平均4.5カ所で、令和3年4月の管轄市町村のセンター設置率は91.4%であった。センターの設置および活動に関する支援は63.3%が行っていたが、設置率との関係は見られなかった。支援を行っている保健所では「関係機関の連携支援」75.9%が多く、「地域の評価」11.5%及び「PDCAサイクルの推進支援」は5.8%と少なかった。センターの設置および活動に対する支援を行っていない36.7%では、理由が「すでに自治体がよく取り組んでいる」57.9%が最も多く、「保健所の役割でない」「センターについて知識がない」はどちらも7.0%で少なかった。母子保健に関する会議は89.7%が行っており、「母子保健担当者会議」が60.1%と多く、そのほか周産期等に関する会議やさまざまな会議がもたれていた。センター機能強化に必要と思われる支援を分類すると「情報交換・意見交換」が33.8%、「人材育成支援」が17.4%と多くあげられていた。
(3)都道府県と県型保健所の連携支援
センターは9割以上の市区町村に設置されており、次のステップは利用者にとって切れ目のない支援を進めることである。(1)(2)から、自治体の評価やPDCAサイクルの推進は支援が十分とは言いがたく、都道府県と県型保健所のさらなる連携による取り組みが重要である。
【考察】
センター未設置自治体に対する働きかけは、オンラインでも意見交換を行うことが有意義であった。
センターは9割以上の市区町村に設置されているが、都道府県や県型保健所に対する調査から、評価への支援やPDCA推進の支援が少なく、今後取り組むべき課題と考えられた。また、都道府県は「人材育成支援」が、県型保健所は「情報共有・意見交換」を多く必要と考えており、役割を分担して連携して取り組むことの必要性が示唆された。次年度の取り組みに生かしていく。
結論
センター設置率の低い県に、県や県型保健所の協力を得てオンラインで研修を行い、特に意見交換を行ったことは有意義でセンター設置の機運が高まった。都道府県や県型保健所に対する調査から、実施している支援は地域の評価やPDCA推進の支援が双方ともに少なく、また機能評価に必要な支援はそれぞれが「人材育成支援」「情報交換・意見交換」と考えており、それぞれの役割を連携させて取り組むことが重要と考えられた。これらの結果から県型保健所の好取組集を作成し、取り組みに関する手引き(仮称)を作成する予定である。
公開日・更新日
公開日
2022-07-04
更新日
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