抗リウマチ薬の時間薬物療法の確立

文献情報

文献番号
200832052A
報告書区分
総括
研究課題名
抗リウマチ薬の時間薬物療法の確立
課題番号
H20-免疫・若手-027
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
藤 秀人(長崎大学医学部・歯学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 井田弘明(長崎大学医学部・歯学部附属病院 )
  • 家入一郎(九州大学大学院薬学研究院)
  • 小柳 悟(九州大学大学院薬学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、メトトレキサート(MTX)の投薬時刻の違いによる治療効果への影響について関節リウマチ(RA)患者を対象に臨床試験を実施した。また、RAモデル動物を対象にRA発症前後における生体リズムの解析を試みた。
研究方法
RA患者を対象とした臨床試験では、年齢20歳以上でRAと診断されDAS28が3.2 以上であり、現在RAに対する治療にてMTXを投薬されている患者とした。臨床研究は、被験者が投薬されていた既存の投与方法を基準として設定し、1週間における総投与量及び投与回数は変更せずに時間治療では、1日1回夕投与とした。時間治療開始前と開始後3ヶ月目のDAS28などを評価した。また、基礎研究では、CIAモデルおよびMRL/lprマウスを対象に関節炎発症前・後によって生体成分のどのような因子が変化するのか評価した。それぞれの過程において、任意の6時点に採血を行った。血清中SAA, CRP、炎症性サイトカインを測定した。
結果と考察
 臨床研究は、現在7例がエントリーしている。3ヶ月間の試験期間を終了した症例は2例である。症例1では4.48点のDAS28が3ヶ月後3.48点に、症例で2は、5.21点のDAS28が3ヶ月後4.27点といずれも約1点減少し、中等度反応を示した。また、両症例とも副作用は認められなかった。また、基礎研究ではRA症状発症後のRAモデル動物において明期に高値、暗期に低値を示す有意な概日リズムが炎症指標及び炎症性サイトカインで認められた。
 臨床研究では、投与量や投与回数を変更することなく、生体リズムに合わせたMTXの薬物治療は、安全かつ効果的にRA治療を実践できる可能性が示唆された。今後、臨床試験を進め、時間治療の有用性を検証したい。基礎研究では、複数のRAモデル動物間で生体成分の概日リズム形成及び位相には類似点が多く、RA発症による概日リズム発現には何らかの共通した因子が関与していると考えられる。今度、RA患者における生体成分の概日リズム解析及び本研究成果を踏まえ、RA発症に関与していると考えられている影響因子の同定を目指したい。
結論
薬物の服用タイミングを夜間に変更するといった非常にシンプルな投与法の変更ではあるが、RA症状を軽減できる可能性がある。生体成分の概日リズム制御因子の同定によって、より効果的な薬物の創製や投与法の開発が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-11
更新日
-