気管支喘息の診断、治療判定のための簡便な指標としての簡易な気道炎症マーカーの検討-呼気NO測定オフライン法のかかりつけ医での応用の可能性-

文献情報

文献番号
200832051A
報告書区分
総括
研究課題名
気管支喘息の診断、治療判定のための簡便な指標としての簡易な気道炎症マーカーの検討-呼気NO測定オフライン法のかかりつけ医での応用の可能性-
課題番号
H20-免疫・若手-026
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
粒来 崇博(独立行政法人国立病院機構相模原病院 アレルギー科)
研究分担者(所属機関)
  • 熱田 了(順天堂大学医学部呼吸器内科)
  • 石塚 全(群馬大学医学系研究科)
  • 斎藤 純平(福島県立医科大学医学部呼吸器内科)
  • 白井 敏博(静岡県立総合病院呼吸器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
気管支喘息患者において、汎用性が高いオフライン法によるFeNO測定の診療応用の可能性を模索する。
研究方法
1)オフライン法方法論の検討
オフライン法のうちSIEVERS法、CEIS法をもちいたFeNO測定の方法論について検討した。また、喘息検出のカットオフの設定を行った。さらに遠隔地測定のためバックの運搬条件、測定までのバック内の安定度合いを評価した。
2)気道過敏性との比較
 気道過敏性とFeNOの関連をAcetylcholineをもちいた気道過敏性評価(PC20Ach)で評価した。
3)喘息診療におけるAlveolar NO測定の意義
成人喘息患者について,Two-compartment modelに基づくTsoukias and Georgeの方法により測定し,健常人対照と比較した。
4)COPDの診療におけるFeNO測定の意義
気管支喘息と鑑別を要するCOPDにおけるFeNO値の評価を行った。
5)アスリートの運動誘発性喘息検出におけるFeNOの意義
順天堂大学スポーツ健康学部陸上選手におけるEIA罹患率およびFeNO値の調査を行った。
結果と考察
1)SIEVERS法ではオンライン法の70%程度の濃度、CEIS法では測定値はオンライン法と一致すること、実用に支障ないことを証明した。カットオフはSIEVERS法では30ppb、CEIS法では38ppbであることを証明した。回収呼気は室温で24時間、4℃下で48時間以上安定していた。
2) PC20Achとオフライン法を用いたFeNO値はICS治療下であっても有意な負の相関をした。
3)alveolar NO濃度は健常人対照よりも有意な高値を示し,ピークフロー値と有意な負の相関を示した。
4)FeNO高値群は低値群と比較して吸入ステロイド投与後のFeNOの低下と症状の改善が確認された。
5)EIA30.5%のうち,自覚症状および呼吸機能検査のみでEIAと診断できた症例は20.3%,残り10.2%はFeNO高値により検出しえた。
結論
SIEVERS法、CEIS法の2法はFeNO評価法として、安定して評価できること、遠隔地測定が可能であること、気道過敏性と相関することが判明した。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-