脳死並びに心停止ドナーにおけるマージナルドナーの有効利用に関する研究

文献情報

文献番号
200832047A
報告書区分
総括
研究課題名
脳死並びに心停止ドナーにおけるマージナルドナーの有効利用に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-022
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
福嶌 教偉(大阪大学大学院医学系研究科 薬理学分子医薬分野)
研究分担者(所属機関)
  • 久志本 成樹(日本医科大学 救急医学)
  • 田中 秀治(国士舘大学院 救急救命システム)
  • 西山 謹吾(高知赤十字病院 救命救急センター)
  • 鹿野 恒(市立札幌病院 救命救急センター)
  • 杉谷 篤(藤田保健衛生大学 臓器移植再生医学講座)
  • 古川 博之(北海道大学 置換外科・再生医学講座)
  • 中山 恭伸(日本臓器移植ネットワーク 西日本支部)
  • 菊池 雅美(日本臓器移植ネットワーク 東日本支部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国の臓器提供は脳死、心停止ともに非常に少なく、マージナルドナーからの移植は回避できない。また、ドナーとその御家族の提供の意思を尊重すると言う点からも、より多くの臓器の提供を可能にすることは重要である。このようなマージナルドナーからの提供数を増加させ、移植後の成績を向上させることは非常に有意義である。
 本研究の目的は、国内外の死体臓器提供の現状を、提供・移植の両サイドから調査・分析し、国レベルのドナー評価・管理システムを構築することである。
研究方法
1)国内の死体臓器移植におけるドナー評価、管理、摘出手技、並びに摘出時の呼吸循環管理法と移植成績の調査
2)自施設の臓器提供の経験からドナーの評価・管理法の検討
3)提供施設にアンケート調査を行い、提供施設に対してどのような支援が必要かを調査
4)米国の2つの臓器提供機関(OPO)に訪問し、実態調査並びに臓器提供事例を視察
5)バルセロナとベルギーの臓器提供機関に訪問し、実態調査並びに臓器摘出術を視察
結果と考察
1)2002年以降メディカルコンサルタント制度を導入した結果、臓器提供率は、心臓(80.2%)、腎臓90.1%、肝臓72.8%、膵臓76.0%、肺63.%と高い水準を示、移植後の成績も欧米の成績と遜色なかった。
2)西・東日本の心停止腎ドナーのデータと移植後の成績を解析
3) 脳死患者28例の脳死発生を検討し、バソブレッシンなどの使用が有効であった。
4)提供施設にアンケート調査では、提供施設におけるスタッフの負担軽減、日常診療への影響の減少、および地域救急医療体制の維持のために各施設での初回臓器提供時のみでなく、2回目以降においてもドナー管理のサポート体制を確立する必要がある。
5)欧米4つの臓器提供機関に訪問し、実態調査並びに3例の臓器提供事例を視察した
結論
 脳死臓器提供においてはわが国独自のドナー評価・管理システムが有効に働いていると考えられ、さらに欧米のいい面を取り入れていくことが必要と考えられた。
 心停止臓器提供については、初年度は十分な解析はできなかったが、欧米の心停止ドナー(DCD)とはかなり異なった範疇のドナーであり、わが国独自の管理法・制度が必要であると考えられた。 臓器提供施設の支援については、これまで脳死臓器提供の経験のある施設もまだ支援が必要であり、何を支援すべきかを今後検討し、支援体制を構築する必要があると考えられた。
 

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
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