新型コロナウイルス感染症関連対策における地域連携薬局等の活用のための研究

文献情報

文献番号
202106036A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナウイルス感染症関連対策における地域連携薬局等の活用のための研究
課題番号
21CA2039
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 洋一(名城大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
3,068,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和3年8月から、地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の二つの機能別の薬局認定制度が開始された。
特に地域連携薬局については、新型コロナウイルス感染症の経口治療薬の実用化に備え、自宅療養者等に滞りなく薬を提供できるよう、地域で対応できる薬局のリスト化が行われる中で、中心的な役割を果たすことが期待されている。また、医療用抗原定性検査キットの薬局での販売が可能になる中においても、小規模な薬局が取扱いやすくなるよう、地域連携薬局等が近隣の薬局に分割して販売(授与)することが求められており、コロナ禍においても地域での役割が期待されている。
こうした背景を踏まえ、実際に認定薬局がどのような役割・機能を果たしているかを把握し、経口治療薬の実用化やワクチン・検査パッケージ等のコロナ関連対策での活用方法を検討することが喫緊の課題となっていることから、本研究は、認定薬局の役割、機能、医療機関等との連携状況、その他の薬局との機能的な違い等について実態調査を行い、コロナ関連対策での活用等に向けた提言を行うとともに、認定制度の運用を円滑に進めるための検討課題の抽出及び対応策について検討することを目的としている。
なお、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う人流抑制の影響により、令和3年度には、実態調査項目の作成、調査依頼、ヒアリング受入調整を、令和4年度は、実態調査結果集計、ヒアリング実施、検討課題の抽出・対応策等の検討を実施する。
研究方法
1.実態調査項目及び客体数
調査する項目・内容は、研究協力者の協力を得て作成し、Web調査フォーム構築及び集計をNTTデータ経営研究所に委託した。
また、調査客体数は、認定薬局は可能な限り悉皆とし、その他の薬局と合わせて、令和4年2月1日現在の全国3,000件(認定薬局1500件、その他の薬局1500件)を無作為抽出した。具体的には、認定薬局は、各都道府県ホームページに公表されている令和4年2月1日時点の情報を収集し、各都道府県の認定状況に合わせて全国1,500件になるように無作為に抽出した。
調査依頼状を令和4年3月25日(金)に郵送し、Web回答の期限を4月30日(土)までとした。ただし、GWを考慮し、5月8日(日)を最終回答期限とした。
調査の回答項目は全て必須とし、任意のID・PWDによるログイン方式とした。

2.ヒアリング調査項目及び対象施設数
 実態調査の項目・内容を踏まえてヒアリング項目を作成し、具体的な取組、課題等を聴取することとした。
ヒアリングは、令和4年4月から5月に実施した。対象施設については、研究協力者、行政からの推薦も踏まえ、在宅クリニック1軒、地域連携薬局3軒、専門医療機関連携薬局2軒のヒアリングを行った。また、ヒアリングは、Zoomミーティングによりオンラインでの実施とした。
結果と考察
調査回答薬局数は、認定薬局が1,500軒のうち333軒(22.2%)、その他の薬局が1,500軒のうち210軒(14.0%)であった。調査対象薬局全体としては、543軒(18.1%)であった。
認定薬局は、認定薬局でない薬局に比べ、薬局の機能、地域との連携が薬局の規模にかかわらず充実していることが確認できた。また、薬局の機能に関し、総じて認定薬局での体制や取組内容が充実していることが確認できた。特に在宅業務や24時間対応、薬局以外の機関との連携、新型コロナウイルス感染症(コロナ対応)・災害等への対応状況については、充実した結果となっていた。中でも、24時間対応では、認定薬局が80%以上において自薬局での対応が可能な状況で、充実していた。
また、医療機関や行政との連携は、コロナ対応に関する薬局の役割を果たすうえにおいても重要事項であると考えられ、さらなる機能の強化、連携の強化のためには、今般のコロナ対応を教訓に、連携意識をもって情報を共有していく方法やシステムが求められる。
一方、ヒアリングを通じ、認定薬局制度についての認知度が低いことも確認できたため、今後、さらに広報や啓発等を行っていく必要がある。
結論
認定薬局は、その規模にかかわらず、認定薬局でない薬局に比べ、特に在宅業務や24時間対応といった地域の患者に対する対応が充実している。また、新型コロナウイルス感染症や災害等への対応や体制の確保も多く、地域住民の健康維持・管理に必要な役割を果たすことが期待できる。
以上より、認定薬局は地域の医療計画における医療提供体制の確保、地域包括ケアシステムの構築のために一役を担うことが期待できる。そして、認定薬局の役割や機能の更なる活用、連携の強化のためには、情報共有できるシステム構築に対するサポートも必要である。

公開日・更新日

公開日
2022-07-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-07-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202106036C

成果

専門的・学術的観点からの成果
令和3年8月より施行された認定薬局制度における認定薬局の役割、機能、医療機関等との連携状況、その他の薬局との機能的な違い等について調査を行った結果、認定薬局とその他の薬局では、認定薬局の方が機能も連携内容も規模に関わらず、麻薬の調剤、終末期医療への関わりが多く、特に在宅業務や24時間対応といった地域の患者に対する対応が充実していることが確認できた。また、薬局の機能に関し、新型コロナウイルス感染症や災害等への対応や体制の確保も多く、総じて認定薬局での体制や取組内容が充実していることが確認できた。
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
認定薬局は、機能も連携内容も規模に関わらず、体制や取組内容が充実していることが確認できたことから、地域住民の健康維持・管理に必要な役割を果たすとともに、地域での医療提供体制の確保、地域包括ケアシステムの構築のために、一役を担うことが期待でき、本研究内容については、今後の会議で活用される予定。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-07-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
202106036Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,988,000円
(2)補助金確定額
3,988,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 671,183円
人件費・謝金 146,822円
旅費 0円
その他 2,249,995円
間接経費 920,000円
合計 3,988,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-07-27
更新日
-